内容説明
誰もがその名は知っている本居宣長の大著『古事記伝』。しかし、全巻読み通した人はほとんどいないといっていいだろう。つまみ食い的に読んで彼の思想を語る前に、まず、細部まで精緻に読み抜こうではないか。とはいえ、宣長の注解は多岐・厖大にわたり、簡単に読み切れるものではない。本書は、現代の代表的『古事記』研究者が、その責任において、徹底的に、かつわかりやすく『古事記伝』全四十四巻を読み解いていく画期的なシリーズである。そこに浮かび上がってくる宣長の無類のおもしろさ、そして思想の核心とは―。
目次
1 『古事記伝』二之巻―序文
2 『古事記伝』三之巻・神代一之巻―伊邪那岐神・伊邪那美神の登場
3 『古事記伝』四之巻・神代二之巻―淤能碁呂島、水蛭子、淡島
4 『古事記伝』五之巻・神代三之巻―国生み・神生み、伊邪那美命の死
5 『古事記伝』六之巻・神代四之巻―禊ぎ
6 『古事記伝』七之巻・神代五之巻―三貴子分治、うけい
7 『古事記伝』八之巻・神代六之巻―天の石屋ごもり
8 『古事記伝』九之巻・神代七之巻―八俣大蛇退治
9 『古事記伝』十之巻・神代八之巻―大国主神の誕生
10 『古事記伝』一之巻―総論
著者等紹介
神野志隆光[コウノシタカミツ]
1946年生まれ。和歌山県出身。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授を経て、2010年4月より明治大学大学院特任教授。東京大学博士(文学)。専攻は、日本古代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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廃
4
著者の記述は丁寧で古事記伝」の細部のこだわりにつて良くわかる。古事記伝は、強引な論のところもあるが、論理的に漏れのない一貫性を追及しようとした書物で、「すみずみまであいまいにしないで自分の立場で説明することは徹底している(p42)」ことは見習うべき態度であろう。 日本神話に関心があるなら読む価値は高い。 http://blogs.yahoo.co.jp/tong_poo_h/10733540.html
よの字
3
神野志氏のこれまでの本に比べ、特に新しい発見があるわけではないが、氏の『古事記伝』の読みには頷くことしきり。二巻が出るまでに『伝』を読み返しておこう。2010/07/16
はちめ
2
何とか読み終える。思ったよりも読みやすい。あくまでも古事記の解説ではなく、古事記伝の解説。恐らく小林秀雄とかも古事記伝自体は総論のところしか読んでいなかったのだと思う。さてこのあとどうしようか。総論の中心である直毘玉の含まれる第4巻だけにしようか悩むところだ。2017/07/12
山河童
2
まぁまぁ読みやすいかな。でも難しいというか、理解しづらいなとか、思う点もある。読みすすめることはできる“((。。*)2015/05/14
ELAT
1
宣長の古事記解釈と思想にふれたくて手に取った本。宣長の説は統一的で、筋が通っている上に周到である。中でも、黄泉行きと禊の話から悪と善の原理的関係を読み取って説くのはおもしろいと思った。また、宣長は日本書紀を批判するが、内容については古事記と同じ事を伝えるものとして整合性をとろうとしている。ただそのために、やや不自然な解釈をせざるを得なくなっている所もあった。2018/03/11