出版社内容情報
風呂トイレつき家賃3万円の古アパートをめぐって、「語り」で綴られる16年間の物語。注目の芥川賞作家、待望の、初の長篇小説。思い出すことで、見出され、つながっていくもの。
注目の芥川賞作家、初めての長篇小説。
風呂トイレつき、駅から徒歩5分で家賃3万円。古アパート「かたばみ荘」では、出るときに次の入居者を自分で探してくることになっていた。部屋を引き継いだ住人がある日失踪して……。人々の記憶と語りで綴られていく16年間の物語。
滝口 悠生[タキグチ ユウショウ]
著・文・その他
内容説明
風呂トイレつき、駅から5分で家賃3万円。古アパート・かたばみ荘では、出るときに次の入居者を自分で探してくることになっていた。部屋を引き継いだ住人がある日失踪して…。人々の記憶と語りで綴られていく16年間の物語。注目の芥川賞作家、初めての長篇小説。
著者等紹介
滝口悠生[タキグチユウショウ]
1982年東京都生まれ。2011年、「楽器」で新潮新人賞を受賞しデビュー。2015年、『愛と人生』で野間文芸新人賞受賞。2016年、「死んでいない者」で芥川龍之介賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
123
多分お初の作家さん、読みにくいな~と思っていたらそうか、芥川賞の方だと・・(他意はありません・・汗)アパートの名前からして今時感は無い(笑)内容も、古き良き時代の話だった。懐かしさを感じるのは『蒲田行進曲』が登場するからか?高架線・・なんとも素敵なタイトルを付けたものだ。それだけで絵が浮かんでくる。そこには暮らしがあったんだ。2017/10/25
なゆ
107
この立体迷路的な表紙に心惹かれてしまった。家賃3万円のおんぼろアパートかたばみ荘、の2階の手前の部屋。住人は引っ越して出ていく際に、次の住人を探さないといけない。だからか、知人の知人みたいなゆるいつながりで住人がかわっていく。それがどんな物語を生み出すのか…と思ったのだが、これがなんだか不思議に面白い。三郎の失踪にまつわる話も、最後の住人茶太郎の蒲田行進曲語りも、そして意外なラストの爽快感も。タムラックスや人のいいヤクザの隣人もよかった。人にも部屋にも掘り下げるといろいろドラマがあるんだよな、としみじみ。2018/01/09
抹茶モナカ
105
ほんの少し前に読んだ同じ著者の『茄子の輝き』よりも、滝口悠生さん独自の文体の芽生えを感じ、文章を楽しむための本であったように思う。滝口悠生さん初の長編作品とのことなのだけれど、この文章で綴れる物語はどうしても日常から離れられないだろうし、そこが長所であり、弱点でもあり、容器としては小さい文体なのかもしれない。映画『蒲田行進曲』へのリスペクトなのか、まるまるあらすじ紹介に終始しているのも、なんとか長尺にしようとしているようにも、ちょっと穿った見方をすると、とれてしまう。2017/10/26
モルク
103
西武線東長崎駅そばの家賃三万円の古いアパートかたばみ荘。そのアパートは代々部屋を明け渡すとき次の借り手を見つけてくるという暗黙のルールがある。2階手前の部屋の住人とその周りの人の話。彼らが淡々と語る。なんか癖になる文章。最初はなんだろうと思って読み始めたが、なかなか興味深い登場人物たち。そして和式トイレの付いたユニットバス?の秘密。心地よい余韻が残る。2019/03/17
アマニョッキ
80
アマニョッキです。この小説が大好きです。カタバミ荘で暮らす歴代の住人。その友達。その彼女。その近所の喫茶店の雇われ店長。大家。偽小説家。みんなのことが大好きです。カタバミ荘の間取りとか、隣はなにをする人ぞとか、白い猫とか、そういうなんでもないことをこんなにくっきりと(でもくっきり感はなく)描ける滝口さんが大好きです。HISも蒲田行進曲も大好きです。この小説にはわたしの好きなものしか詰まっていません。目線が、温度が、感覚が、すべて好きです。装画のサヌキナオヤさんも好きです。読んでほしいです。2018/06/16