出版社内容情報
選挙とはもっとも人間的な営みである。政治ジャーナリスト生活40年余、永田町の裏表を知りつくした著者の体験に根ざした制度論。 小選挙区比例代表並立制の導入から20年近くが経ちました。「あれは誤りだった」とする声が大きくなってきたの一方で、あいかわらず「これは過渡期、産みの苦しみであって小選挙区制度自体はまちがっていない」との開き直りとも見えかねない意見もあります。河野洋平・太郎父子などはいまやまったく正反対の意見をもっています。
いまの選挙制度は、どのように評価するにせよ自民党の分裂、もっといえば竹下登と小沢一郎の暗闘の産物である(産物にすぎない)ことを否定することはできません。また、この制度の最大の受益者は当時「導入絶対反対」だった小泉純一郎であり、その後の政治家の変質を決定づけたことも明らかです。
一票の格差も大事ですが、現行制度についてあらためて歴史的に(それも人物本位で生臭く、物語風に)ふりかえっておくことは重要だと考えます。少なくとも新憲法制定における「押し付け論」とそれへの反論くらいには成立の経緯を常識として押さえておきたいものです。政治ジャーナリスト生活40年余、永田町の裏表をつぶさに見てきた著者の体験に根ざした選挙論です。
浅川 博忠[アサカワ ヒロタダ]
著・文・その他
内容説明
「最悪の制度」はどうして生まれ、国家を迷走させつづけているのか?
目次
第1章 五五年体制下の政治と選挙―自民党派閥政治の全盛から批判へ。カネと怨念の政治に疲れ果てた末に…。
第2章 「竹小戦争」―首相も野党も、学者もメディアも、みな経世会内の内紛に振り回された。
第3章 非自民政権の誕生―八党派の寄り合い所帯は早々に脆さを露呈するも、小選挙区比例代表並立制の導入が決定。
第4章 「自社さ」連立政権と新進党―政党の不可解な離合集散と、初めての小選挙区制による選挙。有権者は困惑する。
第5章 小沢のサバイバル―新進党を解党した小沢は自民党との連立を志向。いっぽう小渕、竹下、梶山らは死去。
第6章 小泉旋風―はるか格下と思っていた小泉の首相就任に小沢の心は波立つ。「小小戦争」の勃発!
第7章 郵政解散―小選挙区制への最大の反対者だった小泉が、最大の果実を得た皮肉。
第8章 安倍、福田、麻生―五年五ヵ月の小泉政権のあとは一年単位の短命政権ばかり。自民党の落日。
第9章 政権交代―総選挙圧勝の期待を大きく裏切る鳩山と菅。首相の資質とは?
第10章 おそるべき振り子現象―野田佳彦は「一内閣一仕事」の信念で消費税率アップを決めるも総選挙には惨敗。
第11章 アベノミクスの向こうは…―再登板の安倍は議席の数を恃んで、悲願の改憲へと突き進むのか…。
著者等紹介
浅川博忠[アサカワヒロタダ]
1942年東京生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。民間シンクタンク・産業計画会議研究員を経て政治評論家として独立。40年にわたり永田町の現場で数多くの政治家から直接取材(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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