出版社内容情報
戦後文学とはなんだったのか。タカハシさんの長い思索に思わぬ中断をもたらした3・11。強制終了された戦後、発見したものとは!「文学なんてもうありませんよ」
文学史そのものを小説にする「日本文学盛衰史」の次なるテーマは「戦後文学」。誰にも読まれなくなった難物を、ロックンロールやパンク、ラップにのせ、ブログやtwitter、YouTubeまで使って揉みほぐす。そんなある日、タカハシさんは「戦災」に遭う……。
オオオカ きみは死んだ。ぼくも死んだ。幸いなことに、ぼくもきみも全集は出版された。けれど、いまや、ぼくたちの読者も少ない。というか、文学そのものが風前の灯だ。
コバヤシ わかった。テレビに駆逐されたんだろう。待てよ、マンガかな。SF……ミステリー……あと、何があったっけ。
オオオカ 違うんだ、こばやし。パソコンと携帯電話だよ、文学を滅ぼそうとしているのは。
コバヤシ わけがわからん。ぱそこんに電話? それと文学にどんな関係があるの。
オオオカ アップルがマッキントッシュを発売したのが、きみが亡くなった翌年だものね。きみに理解できないのも無理はない。だが、そんな説明をする必要はあるまい。こばやし。
コバヤシ なに?
オオオカ もう、本は売れんぞ。
――「twitter上にて・続」より
高橋 源一郎[タカハシ ゲンイチロウ]
著・文・その他
内容説明
文学史そのものを小説にする「日本文学盛衰史」の次なるテーマは「戦後文学」。誰にも読まれなくなった難物を、ロックンロールやパンク、ラップにのせ、ブログやtwitter、YouTubeまで使って揉みほぐす。そんなある日、タカハシさんは「戦災」に遭う…。前作の興奮をふたたび。
目次
プロローグ 全身小説家
ラップで歌え、サルトル!
今夜はひとりぼっちかい?
政治家の文章
twitter上にて
twitter上にて・続
「革命」について
「純文学」リストラなう
アナーキー・イン・ザ・JP
サイタマの「光る海」〔ほか〕
著者等紹介
高橋源一郎[タカハシゲンイチロウ]
1951年広島県生まれ。横浜国立大学経済学部中退。1981年『さようなら、ギャングたち』が群像新人長篇小説賞優秀作となる。1988年『優雅で感傷的な日本野球』で三島由紀夫賞、2002年『日本文学盛衰史』で伊藤整文学賞、2012年『さよならクリストファー・ロビン』で谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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