内容説明
人間社会の発展に「バンド」「部族」「首長制社会」「未開国家」の4段階を設定したエルマン・サーヴィスの社会進化理論は、現代の文化人類学に大きな影響を与えた。本書においてサーヴィスは、現代世界におけるそれぞれのサンプルを確かな民族誌学的記述によって示す。現代の地球上にわずかに残された未開社会を踏査し、その多彩な生活様式を、様々な生態学的・歴史的条件のうちに探究した画期的労作。
目次
はじめに エルマン・サーヴィスの社会進化説について
1 バンド(アンダマン諸島人;カラハリ砂漠の!クン・サン)
2 部族(上部ナイル河のヌアー族;アメリカ南西部のナバホ族)
3 首長制社会(メラネシアのトローブリアンド諸島民;ポリネシアのタヒチ島人)
4 未開国家(ペルーのインカ帝国;南アフリカのズールー族)
5 現代民俗社会(ユカタンの村チャン・コム;モロッコの村)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hal
2
少し古い本だそうだが、民族学の雰囲気を掴むにはいい本だった。バンドや部族社会からインカ、モロッコの村まで、都市文明以外の様々な社会の概要を描いている。これらの社会が人類の歴史の中の社会の発展と必ずしも一致するわけではないとのことだが、この点についての参考文献も提示されているので、それも一度調べてみたい。2019/06/22
★★★★★
0
民族誌のエッセンス。理論偏重でない人類学教育のために。名著。2006/12/09
遊動する旧石器人
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1991年3月10日第1刷発行。エルマン・R・サーヴィスの『未開の社会組織』『狩猟民』を読み終えて、次に手に取った1冊。本書は序文やはじめにに書かれているように、民族誌学の1冊である。バンド2事例、部族2事例、首長制社会2事例、未開国家2事例、現代民俗社会2事例の計10事例の具体的な様相(経済や親族構成など)が述べられる。元々はProfiles in Ethnologyで23事例が述べられていたが、翻訳書では10事例に絞られている。本書の中では、それらの民族誌学をまとめた記述はなく、具体例の提示で終わる。2020/05/18