出版社内容情報
「自分は犬である」と夢想する房恵は思いをよせる女性の飼い犬となるため魂の契約を交わすが・・・・・・。ファン待望の本格長編小説。
内容説明
あの人の犬になりたい。そして、人間では辿り着くことのできない心の深みに飛び込んで行きたい―『親指Pの修業時代』から14年。今、新たに切り開かれる魂とセクシュアリティ。
著者等紹介
松浦理英子[マツウラリエコ]
愛媛県生まれ。青山学院大学文学部卒業。1978年、『葬儀の日』で文學界新人賞、1994年、『親指Pの修業時代』で女流文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シナモン
154
図書館本。犬が好きで犬になりたいと本気で願う主人公房恵。念願かない妖しいバーのマスター朱尾によって見事犬に転生する。フサと名付けられ、大好きなご主人様梓のもとで幸せな犬生を送るはずが、梓の家族がとんでもない人達と知り…。あまりのボリューム、陰鬱な描写、気色悪い母親、おぞましい兄とのやりとり。読んでて疲れるし、イメージしてたのとは余りにも違う物語でしたが妙に先が気になる、不思議な読書体験でした。明るいラストだったのが救いかな。それにしてもあのブログ、一体誰が書いたんだろう…。朱尾さんの正体って…。2020/02/17
miroku
26
種同一性障害・・・か。悪魔(・・・でいいと思う)との取引で犬になった女性。幸せな犬生を送った場合、または飼い主に欲情した場合は魂を渡すというのがその条件。「ファウスト」かと思ったら、なんかドロドロの展開のあげく・・・。妙な作家である。2014/09/19
松本直哉
24
長年人間をやっていると、人間であることに倦みはてて、人間の限界に嫌気がさし、ほかの生き物に生まれ変わりたいとさえ思えることがある。人間の限界、それは言葉と性にとらわれてしまうこと。人間である限り言葉の外には出られず、男女どちらかに割り振られて、性的な目で見たり見られたりするのを免れない。犬に変身した房恵と飼い主となった梓の間に生まれる、言葉や性を超越したやりとり、互いを特別なものと思う気持ちは、ひるがえって人間同士の間でもそのような交わりがもしも可能であるならばどんなにすてきだろうかと思わせる。2025/06/07
ナハチガル
22
長いけど長いことが気にならない(分厚いのは持ちにくいけど)良作。牡犬になった犬好きの女性の楽しさやもどかしさが面白いのはもちろん、この基本設定が、相手から人間と認識されずに人間と同居して人間を観察する手段として機能しているのが秀逸。『透明人間の告白』を思い出したりした。フサが梓と結ばれることもあり得たのかなとか、朱尾は一体何者なのか(メフィストフェレスみたいなもの?)とか、回収されない伏線や謎らしきものが散りばめられているのも楽しい。ラストは救いがあってよい。日本の小説では今年読んだベストかも。A+。2023/12/25
ぐうぐう
22
犬になりたいと願う女性が本当に犬になり、女性陶芸家のペットとして飼われることになるという物語。ここで松浦理英子が試みるのは、セックスのない親密な人間関係は成立するかといったことだと思う。それを描くのに男女の友情といった生半可な設定ではなく、人間と犬という大胆な関係を用意するあたりが松浦理英子らしい。犬となった主人公が垣間見るのは、一対の兄妹の歪な関係なのだが、それが犬となった自身と飼い主との、ある意味裏返しのような関係であることが、この物語をより象徴的に、そしてシビアな現実社会の一面をダークに照らし出す。2009/09/06




