内容説明
東京裁判冒頭で東条英機の頭を叩き、精神病院に収容された民間人唯一のＡ級戦犯、イスラームに造詣の深い宗教学者、インドなど植民地への視点を堅持した特異なアジア主義者、いくつかのクーデタを計画した国家主義者―大川周明はナショナリズム、アジア、イスラーム、天皇制等々、現代の難問を解く鍵である。渾身の評伝。
目次
可能性の「アジア」
アジア主義の問題
道義としての日本
日本への回帰
伝統と革新
ナショナルな改造運動
『日本二千六百年史』改訂の意味
アジア・アフリカにおける革命の命運
侵略と連帯の分水嶺
戦中のアジアの独立運動
ぜんぶ人の話
北一輝という生涯のライバル
まわり道・一章
大東亜戦争のイデオローグ
東京裁判まで
東京裁判
持続される戦争
アジアからの反照
「大川周明」の現代への復帰
大川周明とその時代
著者等紹介
松本健一［マツモトケンイチ］
１９４６年群馬県に生まれる。東京大学経済学部卒業。評論家。麗沢大学教授
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感想・レビュー
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かんやん
13
話が前後する上に、あちこち飛んで、肝心の5・15事件との係わりがわかりづらい。周知の事実ということか。北一輝と比較の上で不人気の理由をアレコレ分析するのも、どうもズレてる印象。これは大川周明を知るには読む本を間違えたみたいだ。では、つまらないか、というと全然そんなことはなく、東京裁判へ向けて尻上がりにヒートアップしてくる。大川の言葉自体はいま読むと空虚でしかないが、当時は熱狂的に人を駆り立てるものだったに違いない。その理想が現実に裏切られていくとき、彼はどう戦ったのか。時流に流されただけなのではないか。2017/04/23
i-miya
10
（年譜）（あとがき） 鳥海山のふもと、日満学校。いまは、女子短大。アジアの近代＝アジアがアジアでなくなる100年。今年、1986年。生誕100年。『正論』連載。（1984.06-1986.03）（現代文庫あとがき）古びていない、大川周明という問題。1995.06.12 司馬遼太郎から手紙「大川は右翼でなかった（の範疇に入らない）はよきめききでした」ドイツ・ローマン派（井筒利彦）1999.08 『ハンチントンは大川周明を超えたか』序章 可能性のアジア2010/01/26
フンフン
5
ヘーゲルの歴史観を学ばないからみなとんちんかんなことを書くことになる。著者はヘーゲルを読むには読んだらしいから、読んでも理解できなかった、ということなのだろう。2022/08/12
脳疣沼
3
大川周明はA級戦犯にまでなったのに現代では忘れ去られている。北一輝とは雲泥の差だ。昨今のイスラム国騒動においても大川周明なんて出てこないしね。本書を読むと、大川周明のまともさがその理由の一つかなと思う。まともな考えはつまらないのでわざわざ言及されるものではない。右翼だと言っても、支那との軋轢に心を痛める人だし、天皇も明治維新を遂行した英雄として捉えているわけで、神だなんだと言っているわけではない。東西文明を超越しているというイスラム教の一面に大日本帝国のあるべき姿を見たのではないかという分析は面白い。2017/02/07
結城あすか
2
この本は主に大川の思想をその著作活動によって年代順に追っている内容で、一般的な大川の経歴とかを記した本じゃないから、初心者にはとっつきにくいにょ。しかも、なんか著者の興味によってテーマが点々してると思ったら、なんか昔、雑誌に連載されてたのをそのまままとめただけみたいにょ。しかし、岩波書店から「大川周明は右翼ではない」と書いた本が出るなんて、時代も変わったものだにょ。2005/09/07
