岩波現代文庫<br> 空からの民俗学

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岩波現代文庫
空からの民俗学

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  • サイズ 文庫判/ページ数 243p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006030339
  • NDC分類 382.1
  • Cコード C0125

出版社内容情報

開発の進む日本列島を俯瞰し,物干にかかった洗濯物に日本人の生活の変化を読みとる.旅の巨人にかかると,なにげない1枚の写真が見事な時代の証言となる.独特な写真解読術のすべてを集成した未収録エッセイ集.

内容説明

空から見下ろす地上の風景は無限の夢をさそう―旅の巨人・宮本常一はいつもカメラを携行し、残されたネガは八万枚に及んだという。開発の進む日本列島を俯瞰し、物干しにかかった洗濯物に日本人の生活の変化を鋭く読みとるとき、なにげない一枚の写真が見事な時代の証言となる。本書は、その独特の写真解読術のすべてを集成した未収録エッセイ集。

目次

空からの民俗学(ヘラでひらいた久米島の畑;昔ながらの山口県大島の生活;生活の変遷が見られる三浦半島 ほか)
空から見る日本の農業―空から見、地上を歩いて考えさせられたこと
一枚の写真から(村の鍛冶屋;銚子の魚市場;杉皮を積んだ山地 ほか)

著者等紹介

宮本常一[ミヤモトツネイチ]
1907~81年。山口県生まれ。天王寺師範卒。民俗学者。武蔵野美術大学教授。著書「宮本常一、アフリカとアジアを歩く」「忘れられた日本人」「家郷の訓」「庶民の発見」「日本の離党」「民衆の知恵を訪ねて」「民俗学の旅」。膨大な業績は、「宮本常一著作集」に収録されている
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

34
宮本の著書の中でも大好きなもののひとつ。最晩年、「翼の王国」と「あるくみるきく」での連載、一枚の写真をもとに、むらのなりたち、人びとの暮らしを良くするための営為を読み解いていく。一つ一つは短く全33編。特に、田や畑の形から驚くほどの情報が引き出されるプロセスが素敵。◇模索の楽しみ、そのプロセスこそが宮本、という香月の解説もいい。◇それにしても、子どもの頃の旅芸人の口上をなぜ再現できるんだろう、この人の記憶の回路ってどうなってるのか。◇能登の千枚田、志摩の海苔、根釧原野の開拓、砂浜に松を植える話が特に好き。2018/05/27

Akihiro Nishio

25
主に「翼の王国」「あるくみるきく」で連載された短編をまとめたもの。1枚の写真を見て、そこで生活する人たちのなりわいや、作物の作付け、その歴史的変遷までを予測して語るという、相変わらず冴え冴えの宮本節である。今回印象に残ったのは、沿岸に砂浜があるのは当たり前ではないということ。川が大量の土砂を運ぶためには、山地で砂鉄を取っていたり、沿岸で塩を作るために大量の木材を燃やしているという背景がある。また、その砂が田に飛んでくるのに対して、風垣を作って松を植林するという努力があったということ。2018/09/07

徳島の迷人

3
前半は航空写真から、後半は雑誌「あるくみるきく」の写真1枚を用いた、宮本常一による民俗学的な解説とエッセイ。写真1枚でよくもここまで歴史と地政と現代の我々まで考えられるものだと感心する。特に志摩の「海苔の海」「萩」。それほど景観には多くのものが、過去から未来への流れが表れている。機械的になるべくしてなった景観、だけでなく一人一人の心が偶然に作用した結果でもある。解説は民俗学者の香月洋一郎。宮本と直接関わった1人としての臨場感が伝わってくる。2022/10/26

むらて

3
翼の王国などに掲載されたエッセイをまとめたもの。なので大体短いものだけれど、翼の~以外も含め「空から見た」「写真から見る」が通底している。掲載時はカラーであったであろう写真が白黒なのは残念。色についての記述もあるからね。それでも面白いなと読んでいくと香月洋一郎氏の解説での宮本常一氏自身のことばにはっとさせられたり。いや、この解説も良いんですよ。内容も文章も。この解説だけでもまず読んでみると面白いと思います。はい。2016/07/04

ponnnakano

3
30年くらい前に書かれたエッセイだが、今読んでも郷愁を誘うだけでなく、考えさせられるところが多い。 「人を忙しくさせることが文明の最終目的ではない。(中略)今我々の歩いている道は目的から少しそれはじめているのではないか。」 このままただ流れに身を任せていたら、風景も帰る場所もなくなってしまう。2014/02/10

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