内容説明
西田幾多郎の中心概念「永遠の今」を外部の多様な言説に向けて開放することで、西田哲学の新たな可能性を切り開く。プラトン、アウグスティヌス、ハイデッガー、九鬼周造、デリダ、アガンベン、木村敏といった西洋哲学、宗教学、現代思想、精神病理学の代表者たちの議論と西田の言説を突き合わせ、その緻密な解釈と検証を通して、これまで時間論で見逃されてきたカイロスの系譜とその意義を照らし出す。既成の西田研究に問題を投げかける著者十年の集大成。岩波現代文庫オリジナル版。
目次
第1章 今―永遠の今と他者
第2章 言葉―言葉が消えゆき、生まれ出るところ
第3章 場所―逸脱するコーラと無化する場所
第4章 瞬間―断絶する今
第5章 偶然―偶然性の時間論
第6章 現在―カイロスの系譜
著者等紹介
小林敏明[コバヤシトシアキ]
1948年岐阜県生まれ。ベルリン自由大学博士号取得。ライプツィヒ大学東アジア研究所教授。哲学、精神病理学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さえきかずひこ
10
第6章が西田のいう"永遠の今"=現-在概念に肉薄した論考としてすこぶる面白い。アウグスティヌス、キルケゴール 、ハイデガー、上田照閑、アガンベンを援用し、木村敏の精神病理学の知見も交えて、西田哲学における時間概念を精密に読み解いていく手つきには惚れ惚れした。本書全体を通して、フッサールについての言及も多く、彼の世界=時間(性)を理解する上でも有用だと思う。西田哲学に限らず、通俗的な時間概念の根源にある本質的な時間概念に触れてみたいという時間論に関心のある方にも格好の手引きになるだろう。ぜひオススメです!!2019/09/01
記憶喪失した男
7
京都学派について書かれた解説書。2017/02/15
ポカホンタス
2
時間論の資料にあたっていて、西田の永遠の今についての概説を読みたくて読んだ。だいたいの見当はつけることができた。けれど確かに、他のレヴューアーの書いているとおり、もっともらしいことを言っている風で何も言っていない感じはある。この著者のこういうところ、前から気になっていたんだけど、なんでなんだろう。2016/04/24
ねこみ
0
もっともらしいこと言ってる風に何も言ってない感。とゆうかこれは西田論ではないのね(*_*)2013/08/12