内容説明
日本の医療の未来は、国民の選択にかかっている。より良い医療を維持発展させていくために求められる条件とは何か。現在、日本の医療が直面する問題について、医療費、国民皆保険制度、超高齢社会、薬剤、治療法など、さまざまな角度から論点を示し、その選択の道を考える。国民ひとり一人が未来の指針を得るための一冊。
目次
第1章 二つの選択肢(アメリカで起きていること;イギリスの失敗 ほか)
第2章 危うい国民皆保険制度(沢内村の挑戦;医療費はタダがよいのか ほか)
第3章 超高齢社会に立ち向かう(超高齢社会の到来;老いるということ ほか)
第4章 新しい治療法を目指して(新しい治療法を受け入れる;薬が変える病気の治療 ほか)
終章 医療の選択(医療のあり方を選択すること;医療のあり方を改革すること ほか)
著者等紹介
桐野高明[キリノタカアキ]
1946年佐賀県生まれ。1972年東京大学医学部卒業。東京大学大学院医学系研究科脳神経外科学教授、同研究科長・医学部長、東京大学副学長、独立行政法人国立国際医療研究センター総長などをへて現在、独立行政法人国立病院機構理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロッキーのパパ
14
まず、現在の医療の問題を医療費の高騰の面から説明している。その解決策としてアメリカ式の市場型医療と日本や西欧の福祉型医療を提示している。もちろん著者なりの意見はあるんだろうけどそれを押しつけず、読者、ひいては国民の判断に任せるところにとどめている。自分の負担だけを考えると福祉型が望ましいけど、簡単には答えは出せない。2014/10/21
パズル
11
日本の医療制度について、その論点がわかりやすく書かれています。興味深い話しが多く、自分用にいくつかメモを残しました。医療は基本的人権だと思うので、国民皆保険やかかりやすさを重視した体制は変えて欲しくないと感じています。TPPによって、医療にまでアメリカからの圧力がかかっているとは知りませんでした。2015/01/07
ぐっち
10
高度経済成長時代と違い、日本経済の低成長が続くと見込まれるなかで低負担・高福祉は不可能なので、国民は選択しないといけない。「低負担・低福祉」か「高負担・高福祉」のどちらかを。今の国民皆保険制度などを持続させようと思ったら、国民の負担(税率の引き上げ)はやむを得ないことなのかもしれない。2015/04/24
Aki
8
日本人としてどんな未来を望んでいるのか?を医療体制の面から問いかけてくる。諸外国の制度との比較から過去に日本が選択してきた制度は、問題は種々あるが全体としては出来過ぎなくらいよく出来ていたと改めて感じた。最後に東日本大震災に際して日本人が困難に敢然と立ち上がったことから、我々は悲観を上回る希望があると結んでいる。未来は一人一人で良い方向に切り拓けると信じたい。2014/10/25
きくだい
7
図書館にて。 日本の医療制度、米英の医療制度、医療の歴史、これから先の医療の問題など解りやすく書かれてて、日本の医療の現状と課題をざっくり学べる良い本だと思う。 載っているデータも最近のものがあり、勉強になった。抗生物質であるペニシリンが、鼻水とカビをきっかけに発見されたことには驚いた。2014/10/02