内容説明
二〇一三年、「子どもの貧困対策法」が成立した。教育、医療、保育、生活。政策課題が多々あるなかで、プライオリティは何か?現金給付、現物(サービス)給付、それぞれの利点と欠点は?国内外の貧困研究のこれまでの知見と洞察を総動員して、政策の優先順位と子どもの貧困指標の考え方を整理する。社会政策論入門としても最適な一冊。
目次
第1章 子どもの貧困の現状
第2章 要因は何か
第3章 政策を選択する
第4章 対象者を選定する
第5章 現金給付を考える
第6章 現物(サービス)給付を考える
第7章 教育と就労
終章 政策目標としての子どもの貧困削減
著者等紹介
阿部彩[アベアヤ]
マサチューセッツ工科大学卒業。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院修士号・博士号取得。国際連合、海外経済協力基金を経て、1999年、国立社会保障・人口問題研究所国際関係部第2室長に就任、現在は同研究所社会保障応用分析研究部部長。2011~13年、内閣官房社会的包摂推進室企画官(併任)。そのほか、厚生労働省社会保障審議会臨時委員(生活保護基準部会)、国家戦略室フロンティア分科会幸福のフロンティア部会長、内閣府男女共同参画会議専門委員などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
WATA
87
子どもの貧困について、その原因と対策を探る本。文章から、今できる範囲で最大の効果をあげる対策を提案したい、という著者の真剣さが伝わってくる。現金給付と現物給付は一長一短があるため場合によって使い分けるべきという話や、子どもに一番悪影響をあたえるのは乳幼児期の貧困という話など、データに裏付けされた具体的な提案が多く、読んでいて納得する部分が多い。今後、日本はさらなる少子高齢社会になっていく。日本の活力を維持するためには、一人一人の子どもの能力が最大限発揮されるよう、貧困対策を進めていくことが重要だと感じた。2014/07/30
Kawai Hideki
65
日本の子どもの貧困率は約16%。6人に1人が貧困状態にある。一体どこにそんな子供たちがいるのか、また、どのような支援策があるのだろうかを知ろうと思って読んだ。本書は、子供が貧困に陥る要因、政策の考え方、現金支給と現物支給の利点/欠点、学力格差と収入格差の連鎖、などについて網羅的かつ、わかりやすくまとめられている。惜しむらくは、日本では貧困率や学力格差を解消する政策や手法について、十分な効果測定がなされていない点である。「善意で貧困はなくせるか」を読んだ直後だったので、余計に効果測定の必要性を強く感じた。2014/05/12
こばまり
57
貧困を放置すれば社会的コストが発生するという考え方が明解。子は未来の国力。まさに宝なのだ、皆で支えなくてどうする。さて、天下の岩波新書でありえないことだが、グラフの転記ミスのように見える箇所があり気になって仕方がない。2018/11/14
vinlandmbit
55
古本屋で購入。難しい問題ですが、何か自分に出来ることをいつか…と、今は学びです。2020/04/14
ヒデミン@もも
33
いろんなところでご活躍の阿部彩さん。さすが。研究者の目から。2017/08/02