出版社内容情報
大和の中心にある三輪山になぜ出雲の神様が祭られているのか? また,今なお論争の続く邪馬台国問題はどのように考えたらよいのか? 出雲をはじめ,大和・北九州などゆかりの地を歩きながら,記紀・出雲風土記・魏志倭人伝等を読みぬき,古代の出雲の存在と役割にせまる.古代史に新たな観点を打ちだす一冊.
内容説明
大和の中心にある三輪山になぜ出雲の神様が祭られているのか?それは出雲勢力が大和に早くから進出し、邪馬台国を創ったのも出雲の人々だったからではないか?ゆかりの地を歩きながら、記紀・出雲国風土記・魏志倭人伝等を読み解き、古代世界における出雲の存在と役割にせまる。古代史理解に新たな観点を打ちだす一冊。
目次
序章 三輪山幻想
第1章 出雲王国論
第2章 邪馬台国の終焉
第3章 大和王権の確立
第4章 出雲国造―その栄光と挫折
終章 再び惣社へ
著者等紹介
村井康彦[ムライヤスヒコ]
1930年山口県に生まれる。1958年京都大学文学部大学院博士課程修了。専攻は日本古代・中世史。現在、国際日本文化研究センター名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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レアル
52
出雲発祥の神様が大和にはあちこち祀られているので、その関連を知りたく手に取る。『記紀』からくる日本の神々、そして出雲発祥の神様が多い事も関連付けながら、著者のいう古代国家の現像というものを辿る本かな。著者の結論にたどり着くまでの過程が面白い。ただ一つだけ、邪馬台国畿内説から古代国家が始まった!というところ。奈良好きの私もそうであったならとどれだけ良いかと思ったか知れない。ただその土地はその時代人が住めるような、しかも古代国家の先がけになるような国造りが出来るような場所ではないのだ。2022/06/22
AICHAN
50
図書館本。出雲王朝は大和朝廷より先に畿内を制圧した。その後に大和朝廷が入り込み連合政権を打ち立てという(私は崇神が入り婿として畿内に入ったと思っている)。それであれば奈良の三輪山に祀られている神が出雲神であることにも頷ける。邪馬台国は奈良の田原本町にあったという。これには賛成しかねるが、邪馬台国と大和朝廷は連続していないという推測には唸った。神話の神武東征は邪馬台国滅亡の後に起こった実話をもとにした史実だという(私は神武ではなく崇神だと思う)。なかなか鋭い説が次から次へと展開され興味深かった。2019/01/17
金吾
30
出雲と邪馬台国の話は、興味深く読むことが出きると共にそうなのかもしれないと思いました。あまりにも知らないことが多かったためよくわからない部分がありました。ただ神社には行きたくなりました。2024/01/28
壱萬弐仟縁
23
古代のミステリー。色々な岩などの写真をみると、なんとなく、パワースポットのエネルギーを感じるのはわたくしだけであろうか。気のせいだと思うが(苦笑)。『出雲国風土記』(40頁~)。島根県木次町の池の湧き水がパワーの源。朝山六神山の一つ、桙(ほこ)山は、コブがあって民俗としても面白い(49頁)。出雲王国に対して、裏日本というような蔑称は失礼極まりないと思える。北朝鮮が出雲大社のパワーを前に、攻め入ることなどできない。そんな感想もあり得る。米軍が守っているのではなく、出雲大社、出雲王国が守っているのかもしれぬ。2014/01/24
やいっち
21
古代史や記紀神話を扱った本は、それなりに読んできたけど、かなり独創的な本。論争を呼びそうな内容。出雲神話と邪馬台国、原大和王権、本格的な大和王権との絡みを興味深く説いている。ただ、邪馬台国畿内論で多く見られる「魏志倭人伝」で、「水行十日、陸行一月」の方角を<南>と記されているのを、これでは南方の海上に至ってしまうからと、<東>との誤記だとしている点。筆者も<東>だと解釈し、瀬戸内海ではなく、日本海を経て、大和国(奈良県)に至ったとする。門外漢ながら、都合が悪い記述を勝手に読み替えることには、抵抗を覚える。2016/05/11