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岩波新書
中世ローマ帝国 - 世界史を見直す

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  • サイズ 新書判/ページ数 234p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004201243
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C0200

出版社内容情報

ローマ帝国は紀元四七六年に滅亡したとされている.著者は,この西欧古代史学界の定説を批判し,ローマ帝国が,その中心を東半部に移し,首都をコンスタンティノープルに定めて,中世においても存続しつづけたことを実証する.地中海周辺における民族移動,地中海的生活様式など,丹念な実証的研究にもとづいて描き直された中世史像.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Takayuki Oohashi

14
私たちは西欧中心に世界史のことを捉えていると作者は書きます。西ローマ帝国の滅亡でローマ帝国は潰れ、中世時代は暗黒期だと思っています。しかし、洗練されたギリシャ・ローマ文化とキリスト教の継承者であるビザンツ帝国が、中世初期に輝いていたと、作者は説きます。本当は小難しいことをこの作者はいろいろと羅列しているのですが、この本の肝はそういうことなんじゃないかな、と僕は思います。内容的には、キリスト教により神聖で不可侵とされたビザンツ皇帝の位が、その神聖さがゆえに逆に追い落とされ易かったという逆説が面白かったです。2016/07/30

Francis

9
「中世ローマ帝国」と言うのは普通はビザンティン帝国と呼ばれることが多いローマ帝国の中世時代を著者がこう呼んでいるもの。中世の民族移動と中世ローマ帝国がどうかかわっているか、ローマ皇帝を支えるイデオロギー、中世シリアで展開されたオリーブ・プランテーションなどについて考察。非常に面白いのだが、新書と言う限られたページ数ではやや消化不良な感じがするのはやむを得ないところか。2016/07/21

K.H.

7
一読して思ったのは、ビザンツ帝国を軸に据えると、今までのゲルマン中心の視点とは、ヨーロッパ中世の印象がだいぶ変わるなあ、ということ。ビザンツ宮廷で行われていた儀式やレトリックの論も面白かった。著者が最も力を入れていると思われる、後半のビザンツ領シリアにおけるオリーブ・プランテーションの話は、今まで視界に入ってきていなかった世界だった。2024/04/08

うえ

5
一章ではコンスタンティノス七世が息子ロマノスの為に残した『帝国の統治について』を中心に記される。元々は帝国周縁の『諸民族について』という編纂物だったらしい。929年に資料集めが始まるが951年に編纂方針が代わり、翌年成人式を迎える皇太子の為の外交指南書となった。とはいえ皇太子は政治的な無力に加え知的好奇心もなく早世したという。本来の用途を為さず我々に残された遺産。他三篇の論文を含むがカントロヴィチ『王の二つの身体』を用いた分析など意外と新しい。ビザンツ政治神学の上演としての宮廷儀式について言及していく。2021/09/22

スズツキ

5
非常に細かいデータの羅列と引用が多く四苦八苦。いくつかの章分けがしてあるが、そもそも何を目的として分析をしていくのかが途中までわからず、どう着地したいのかすら判断不能だった。これはちょっと難易度が高かったかなぁ。2016/05/25

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