出版社内容情報
本書は,第一次世界大戦において戦歿した学生五十余名の手紙を抜萃し,戦死した日付順に配列したものである.明日しれぬ戦場にあって,文学や哲学に親しんだ学生達が,人間精神に関することに深く思いを寄せていたことは,悲壮な戦闘の記述に劣らず感動的であるばかりでなく,戦争の最も忠実な記録と言えよう.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
VC
5
第一次世界大戦で戦死したドイツ学生の手紙集。「西部戦線異状なし」で描かれたように、最初は愛国心に燃え戦場にでることを誇りにしている者も半年後や一年後の手紙をみると戦場は嫌な場所で、自分は故郷にきっと帰れないという言葉ばかりになっている。ただ、日本の「きけわだつみのこえ」などと異なるのは、彼らがキリスト教などの宗教を信仰していたため、神に頼む描写が出てきていることである。2011/11/10
paumi
2
あまり記憶に無いのだが、ずっと前から読みたかった本だったはず。後に復刊されて喜んで本書を手に取って読んだ。旧仮名遣いで書かれているし、文字も小さいので読書初心者には読みづらいかもしれないが、そこそこ本を読んでいれば十分に読み応えのある内容である。なんといっても訳の日本語が格式高く美しい。戦死者たちの深淵で詩的、哲学的とも言える手紙は私の心の奥深くに訴えかけてくる。死を前にしているからこその彼らの決意や感じた真実、そして友情が、むしろ死のその先に燦然と輝いているように私は見える。2022/03/30