出版社内容情報
世界的数学者,類体論の高木貞治(一八七五―一九六〇)が独特の語り口で,ガウス,アーベル,ガロアらの発見を語る.巨人たちを輩出した近世数学の勃興期――フランス革命後一九世紀前半までの数学史を論じて数多くの数学少年の夢を育てた本書は,そのロマンティックな時代の空気までも伝えて読む者を倦ませない. (注・解説 杉浦光夫)
内容説明
世界的数学者、類体論の高木貞治(1875‐1960)が独特の語り口で、ガウス、アーベル、ガロアらの発見を語る。巨人たちを輩出した近世数学の勃興期―フランス革命後19世紀前半までの数学史を論じて数多くの数学少年の夢を育てた本書は、そのロマンティックな時代の空気までも伝えて読む者を倦ませない。
目次
正十七角形のセンセーション
近世数学の発端
ガウス略歴
研究と発表
ガウス文書
レムニスケート函数の発見
数字計算とガウス
書かれなかった楕円函数論
パリ工芸学校
三つのL〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zirou1984
31
数学において最も発展を遂げた時代とはすなわち19世紀であり、それは自然科学の興隆の呼び水になると同時に20世紀初頭における数学の危機を呼び起こす前兆となった。『解析概論』という教科書の名著で有名な著者がそうした発展の立役者であるガウスやコーシー、ガロアといった数学の天才たちの人となりや業績について味のある古風な語り口で記している。如何せん数式の部分はさっぱり理解できないのが門外漢にとっての辛いところだが、数学者とはある種人間のリミッターを外したものばかりで、その生涯についてのエピソードだけでも楽しめる。2014/08/31
nbhd
17
ペンペケペンペンと三味線が聞こえてくるような古風な語り口でつづられた数学史談。まさしく『談』。19世紀以降の数学は追いつけないので脳みそパーンッなのだけど、箇所箇所のエピソードはじゅうぶん楽しめた。とくに、いま僕が気になっている数学者の一人で、20世紀最高の数学者ともいわれるヒルベルト大師匠のおっちょこエピソードがステキだ。来客があって、ネクタイを取り替えに自室にもどったら、いつもの癖でそのまま寝ちゃった、とかって…もはや天才数学者とか関係なくね、ってあたりに味がある。2016/02/13
LUNE MER
12
例えばフランスの場合、文系の女子高生でもガロワという偉大な数学者がいたことは知っている。しかしここ日本では、理系の大学生ですら数学を専攻しない限りは著者の高木貞治先生を知らない。近代日本において初めて世界レベルの数学に到達した偉人であるにも関わらず。高木先生は文才にも恵まれており、本書を読んで数学を志した少年少女も多かったと聞く。若者よ、読め!2020/08/15
BIN
5
表紙のようにガウスに始まり、アーベル、ガロアらについて述べられたものです。完璧主義者なガウスはまとまるまで発表しなかったので、後進たちが発表したら、もう遠の昔にガウスが発見していたということが多々あり、天才ぶりを称賛しているかのようだった。計算も書いてはあるが、正直突発的であり、難しい。楕円関数論とか。それにしても著者の高木氏はヒルベルトと直に会ったとか、なんか凄い。2022/03/22
むらさき
2
いやー良い本。数学者をストーリーを合わせて語っている。その数学の進みかたや人間ドラマがとても瑞々しく書かれている。数学者が作り上げた歴史の上で数学を学ぶというモチベーションにもなる。2020/02/03