出版社内容情報
考現学の創始者として知られる今和次郎(一八八八‐一九七三)による日本の民家についての簡潔な入門書.大正年間,柳田国男らの手引で行なった民間調査にもとづいて書かれたもので,民家の構造や間取りについての比較文化史的考察は今日読んでも新鮮である.著者自身の民家スケッチを多数収録.日本民家研究史上の名著. (解説 藤森照信)
内容説明
考現学の創始者として知られる今和次郎による日本民家についての簡潔な入門書。大正年間、柳田国男らの手引でおこなった民家調査にもとづいて書かれたものだが、村の人々の日常生活を含めて描きだされた民家の小宇宙は、しみじみとした郷愁に満ちてあたたかい。著書自身によるスケッチを多数収録。
目次
日本の民家(田舎の人たちの家;構造について;間取について)
間取の由来考
採集
調査(相模国津久井郡内郷村;武蔵国秩父郡浦山村;武蔵国南多摩郡恩方村)
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- 評価
稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のんき
6
初版大正11(1922)年、その後幾度かの改版・内容異同を経て、1989年文庫化(底本は相模書房刊1970年増訂第三刷)。日本各地の民家を訪ね歩き紹介したもの。解説(藤森照信)によると「民家」という言葉を世間に広めた書とのこと。現在あちこちにある「民家園」、かつて誰かが住んでいた家、自分と密着したものではない、というイメージのものだけど、その距離感は著者の「民家」を見るまなざしにも既に含まれていて感慨深い。2010/02/05
ymazda1
4
デッサン力を買われて柳田國男のフィールドワークに同行したことがきっかけになった本らしいけど、著者がその道の門外漢だけあって、過去から現在までの時間軸への事象の落し込みによる、民俗学にありがちな自説的なニオイが感じられないぶん、客観性の担保という意味で、史料的な価値の高い本に思えた。 民家のバラエティの多さは、生活と生業の一体化という利便性が個々に追求された結果?みたいなことを考えながら、スケッチを眺めたりしてた。
iwasabi47
4
再読。昨年柳田をそれなりに読んだ後なので、その連続性を感じれた。2021/02/04
たつや
3
図書館で偶然見つけ、借りた。古典らしい。この本が無ければ、民家というフレーズは存在していないという解説に驚いたが、簡素だが緻密なイラストが多く掲載され、多種多様な田舎の古民家の構造や、部落、の記録が面白く、読んでいると心は江戸や大正、昭和初期を旅できる。間取図も完璧なので、住みたい農家もいくつかある。水車小屋に舟小屋等、家以外も網羅している。素晴らしい本です。2022/12/25
おりひら
2
とても興味深い内容でした。 解説でも書いてありますが、単純な民家の紹介に収まらない感じで、東京出身でありいながら郷愁と居ても立っても居られない思いに駆られ、遠くへと旅をしたくなってしまいました。 なるほど学術的目的の収集としての機能は、あまりにも地味な所に目が行っているのでしょうが、しかしこの文章の魅力は、堪らないものがあります。 本屋に立ち寄り、なんとなく手に取った本でしたが、とてもよかったです。2017/10/13