内容説明
教育を重要施策として位置づける安倍政権は、日本の教育をどう変えるのか。道徳教育の強化、学校週6日制の導入や6・3・3・4制の見直し、教師に対する管理強化、教師教育や教育委員会制度の改革など、その個々の政策の危険な本質について、教育学の専門家の立場から検証する。
目次
1 虚妄と妄想による教育改革
2 教育の危機を増幅させる改革―教育格差・教科書・教育制度・教師教育
3 教育委員会制度改革の問題点
4 教師に対する管理強化と教育の国家統制
著者等紹介
佐藤学[サトウマナブ]
1951年広島県生まれ。学習院大学文学部教授。専門は学校教育学。全米教育アカデミー(NAE)会員、日本学術会議第一部(人文社会科学)部長、日本教育学会前会長
勝野正章[カツノマサアキ]
1965年長野県生まれ。東京大学大学院教育学研究科准教授。専門は学校経営・教育政策(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
11
新刊棚より。いじめ問題が問題だった時代は、中曽根政権に遡及するという(5頁)。良からぬへの隠蔽体質(6頁~)。学校関係者が取りがちな行動である。最高裁判決にも逆らいかねない教育行政になりかねないのはいけない(14頁)。教委を廃止する方向にもあるようだ(34頁)。悪く言えば、文科省と現場の間に位置するわけで、安倍内閣がどのようにポスト教委の教育行政を展開するのか。首長の意向がかなり濃厚に反映する方式である(35頁)。教師が管理強化されれば、教師は生徒を管理強化するだろうな。信頼されるのが教育の基本だが・・。2013/07/29
Hachi_bee
2
2013年6月4日発行の≪予言の書≫を再読。 まだここまでは行っていないかな。 ただし、2章「教育の危機を増幅させる改革」の内、貧困とイデオロギー支配の項は予言どおりの気がします。また、同章学校週六日制は、私立では当たり前になりつつあるし、2018年のキッズウィーク導入以降は、公立校も巻き込まれそう。教育改革なんて、明治時代以来失敗し続けているのだから、金だけ出して口を出さずに20年くらい放っておいたらいいと思う。そんな社会実験はできませんかね?2017/10/29
Hachi_bee
2
@AbeShinzo さんはこんなことを考えていたんですね。 @akieabe さんは違うと信じたいです。この本に書いてある通りの「改革」が行われたら大変なことになってしまいます。沢山の人に読んでいただいて、『大問題』であることを多くの方に知ってもらいたい。2013/11/11
入江・ろばーと
2
突っ込みどころ満載だけど二点だけ。①学校、教育委員会による「いじめ隠蔽」への反例として二例が挙げられているが、こんな特殊な事例を取り上げられてもためにする批判にしか映らない。②道徳教育について、本書で引用されている同調査では「指導の効果を把握することが困難である」「効果的な指導方法が分からない」がそれぞれ47%、35%と課題を感じている教師が多いことが読み取れるのだが、その点についてはガン無視。授業時数をきちんと取っているのにこの課題、「矛盾」は感じないのだろうか。2015/11/09
Don
2
結局のところ,教育改革によって,何が変わるかというと,国の統制が強くなり,より競争を煽られることになるということでしょうか。 授業日数が増えることが学力の向上につながらないことが他の国の例から述べられていたが,このあたりは自分の普段の生活を振り返れば,「時間があるからと言って,効率が上がるわけではない」ことぐらいわかりそうなものだが・・・。 いろいろな改革が教員になりたいという人を減らす方向にしか働かないような気がするのは気のせいだろうか?2013/08/31