出版社内容情報
アジアの近現代をめぐる歴史認識問題が対立の火種となっているいま,和解と協力を展望しうる新たな東アジア地域史の視座を提示した通史.下巻は1935年から現在まで.「アジア太平洋戦争と「大東亜共栄圏」」「アジア諸戦争の時代」「ベトナム戦争の時代」「経済発展と民主革命」「共同討議 和解と協力の未来へ」から成る.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
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5頁。世界恐慌後の1930年1月ロンドンで開催され三ヶ月後に調印をみたロンドン海軍軍縮条約こそ、激動の昭和史の起点をなすものであった。この条約を対英米屈辱外交と非難した海軍強硬派、それに同調する官民現状打破勢力は、条約調印は「統帥権干犯」なりを合言葉に政治に対する圧力を強めた。その結果、第一次世界大戦後かろうじて維持されてきた対英米協調路線が、事実上終止符を打たれる端緒となった。それだけでなく軍部という武力組織が、その暴力手段に訴えて国内政治への介入を本格化する契機ともなった。2022/12/22
Masa
0
日本の今現在の世界の中での立ち位置を知りたくて、読みました。上下巻の間にウェスタッドの「冷戦」を挟んだので、この3月は約100年間の現代世界史を概観したことになります。敗戦後日本は西側という枠組みの中に取り込まれ、日米同盟という形で東アジアの地域秩序の形成に積極的な役割を果たしていた、ということがわかります。しかし日本人はそのことに無自覚過ぎたようです。教科書的記述が多くなるのは本書の性格上致し方ない所でしょうし、私のような初学者には適切な内容かな、と思います。2022/03/27