出版社内容情報
意識のことなんて、絶対わかりっこない!?
実際どうなってんのかなんてわからねぇ。俺には俺の気持ちしかわかんねぇ。
─エミネム「ラヴ・ザ・ウェイ・ユー・ライ」
「必要なのはデータだよ、データ!
とにかく材料がないんだ! 粘土がなければレンガだって作れないんだよ!」
─アーサー= コナン=ドイル
『名探偵ホームズぶな屋敷のなぞ』
歯がズキズキ痛む。歯髄から脳に送られた信号のせい? それで納得できる? 有機物の塊にすぎない脳の何がそんな感覚を生むのか。意識と脳の関係は解決不能!?
この難問にどう立ち向かってきたか。第一人者の本音を聞こう。
著者クリストフ・コッホは一九五六年生まれ。出身はドイツだが、現在は米国カリフォルニア工科大学の教授。カリフォルニア工科大学は通称カルテクと称され、かのファインマンが教授を務めていた全米でももっとも優秀な学生が集まると言われる大学。
父親が外交官だったために、生まれは米国カンザス・シティー、その後、アムステルダム、ボン、オタワと転々とし、高校はモロッコのリセを卒業。大学は、ドイツ屈指のエリート大学の一つであるチュービンゲン大学。そこで物理学を専攻、大学院では神経科学に興味をもち、生物物理学の博士号の学位を取得。学位取得後、米国マサチューセッツ工科大学に移り、以来、米国在住今でこそ、年相応のロマンスグレーで、長身の紳士然としているが、若い頃は髪を赤やオレンジに染めたり、ド派手なTシャツに凝ったりと、まったく大学教授とは思えない風貌をしていた(ド派手なTシャツを見ると目が離せないのは今も変わらない)。また、日本の村上春樹の大ファンであり、ロック・クライミングにはまって山で死にかけたこともある。左腕には、自身の研究テーマでもあるニューロンの刺青が彫ってあるらしい。刺青屋の店の壁にあった以下の文句が気に入っているとのこと。
―「他人から何を言われようと、墓石の下に行儀良く収まるより、チクショーなんてこった、なんて叫びながら楽しく行くほうがいいんじゃないか」
目次
第1章
マインド・ボディ・プロブレム(意識と脳の問題)。どうしてこの大問題が論理と実験の積み重ねによって解決されるべきなのか。フランシス・クリックとの出会いと、彼の意識問題に対する考え方。個人的な告白と人生の悲しみ。
第2章
宗教と合理的科学をめぐる個人的な葛藤の源について。将来の夢は科学者。ビーカー教授のピンバッジ。二人目のメンターとの出会い。
第3章
なぜ意識と脳の問題は現代科学の世界観に問題を突きつけるのか?どのような手法を使えば、意識というとらえどころのなさそうなものを実証的に手堅く科学で研究できるか? 自己意識は意識と脳の謎を解くためにはそれほど重要でない。自己意識をもたないような動物も意識をもつ。
第4章
手品師と科学者は似たものどうし。目で見ているものが意識にのぼるとはかぎらない。意識にのぼらない情報が脳内に残す足跡。注意と意識は異なる情報処理プロセス。
第5章
神経内科医と神経外科医から学べる四つのこと。1 脳には有名人に反応するニューロンがある。2 大脳皮質を二つに割っても意識が半分に減るわけではない。3 皮質のある部分が損なわれると世界から色が消える。4 脳幹や視床組織がわずかに損なわれるだけで意識が永久に失われる。
第6章
若いころの自分にはバカバカしく思えた無意識についての二つの事実。1 ほとんどが意識にのぼらない脳内プロセス。2 自分の行動のほとんどをコントロールしているのは、自分の意志ではなくゾンビ・システム。
第7章
自由意志、ニーベルングの指輪、そして決定論について物理学が言えること。自分が思っているほどには、私たちは自由な意志決定ができないこと。脳内の意志決定に関わる処理と、それが意識にのぼるまでの時間の遅れ。自由意志も一種の主観的な感覚であること。
第8章
いくつかの条件を満たしたネットワークの基本特性としての意識。意識にまつわる多くの謎を説明する統合情報理論。統合情報理論に基づく、意識をもつ機械の設計図。
第9章
意識メーターの開発。ゲノム技術を利用してマウスの意識を追え。私の「脳」観測所。
第10章
科学者が立ち入るべきでないとみなされている領域にあえて踏み込む。科学と宗教の関係。神の存在。神が世界に介入する? フランシス・クリックの死。個人的な試練。
内容説明
歯がズキズキ痛む。この痛さはどこから来るの?歯髄から脳に送られた信号のせい?そんな説明じゃあ納得できっこない。単に有機物の塊にすぎない脳のどこの何が、この痛いという感じをつくるっていうんだ!そもそもそう悩んでいる、この自分という感覚だって何なのだろう。考えれば考えるほどややこしい。意識と脳の関係なんて解決不能だ…。長年、この問題を追いかけてきた著者の本音。深い真理への挑戦。
著者等紹介
コッホ,クリストフ[コッホ,クリストフ] [Koch,Christof]
米国カリフォルニア工科大学生物物理学科教授。アレン脳科学研究所(シアトル)所長
土谷尚嗣[ツチヤナオツグ]
オーストラリア・モナッシュ大学医学部心理学科
小畑史哉[オバタフミヤ]
翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
禿童子
踊る猫
あっきー
yooou
モモのすけ