内容説明
日本の鉄道の混雑は、異常である。大都市圏の通勤、通学は、不快であるだけでなく、危険もあり、混雑ゆえのトラブル、乗客同士のいさかいも多発している。鉄道事業者は、マナーを呼びかけ、秩序を維持しようと必死だが、それで問題が解決するわけではない。混雑を解消するために必要なことは、第1に鉄道事業者の姿勢の問い直しであり、第2は、交通政策、政治の転換である。本書は、混雑の本質的な原因を指摘すると共に、鉄道が本来持っている存在価値、特にローカル線の存在価値を再確認すると共に、リニア新幹線の負の側面についても言及する。
目次
第1章 なぜ電車は混むか
第2章 交通は人権である
第3章 電車から見える日本社会
第4章 「マナー」にご注意!
第5章 ローカル線が日本を守る
第6章 鉄道はエコでなくてよい
第7章 リニアより詰め込み解消を
著者等紹介
上岡直見[カミオカナオミ]
1953年東京都生まれ。環境経済研究所代表。1977年早稲田大学大学院修士課程修了。技術士(化学部門)。1977年~2000年化学プラントの設計・安全性評価に従事。2002年より法政大学非常勤講師(環境政策)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koji
12
首都圏の電車通勤は不条理です。私に関しては、混雑率は度々250%(電車が揺れるたびに体が斜めになって身動きできない)になり、朝の定時運行はおそらく20%以下です。一方、(会社から支給される定期代を考えると)それ以外の交通手段はありません。更に車だけで鉄道がなければ、東京圏だけで45兆円の経済損失と言われれば「混雑」は必要悪と思ってしまいます。本書の著者は技術士で、データをもとに日本の交通に人権がないことを証明してみせ手並みは鮮やかです。(少し潔癖すぎと思いますが)マナー問題等鉄道の課題を仔細にあげています2017/02/12
えすてい
7
読み物というよりかは各章ごとに膨大な注をつけた一種の「論文」とも見て取れるが、底辺にあるのは「日本の鉄道は世界一」に異議を申し、交通問題はすなわち人権問題であり、高すぎる運賃にしろ過剰な混雑にしろ現在の鉄道は過剰に利用者の「マナー」の徹底に依存し存在は鉄道事業者側の都合一辺倒であり利用者本位のものになっていないという現状の問題提起である。リニア中央新幹線にも疑問をつけリニアより東海道新幹線の運賃値下げを求める。マナーの名のもと利用者に過剰な犠牲を強いる事業者の合理化は全く利用者の目線には立っていないのだ。2016/07/12
Tatsuo Mizouchi
2
☆☆☆ 日本が世界に誇る定時性って見方を変えると人を人として扱っていないということ。速度を追い求めるあまり、快適性や景観などを犠牲にしている。2017/05/16
つみき
1
広場恐怖で超満員電車にはほぼほぼ乗れないから読んだ。小池都知事の公約が実現するといいなあ。満員電車は俺からすれば異常すぎるものだから無くなって欲しい。電車は公共交通だから、高齢者や障害者を含めて誰もが安心して利用できる環境になってほしい。あと、酔っ払いはホームに入れないか、駅員が同行して電車に乗るとかしていいんじゃないか。ホームに落ちる可能性があるし、電車内で誰かとトラブルになる可能性もあるし。1番重要なのは、公共交通であるということ。どんな人でも利用できる環境を目指す必要がある。それは主に鉄道会社の力が2017/03/02
犬養三千代
0
北海道は廃線ラッシュの真っ只中。昨日のニュース。この本を読みかけていたので 妙に納得。いえ、地方はもうズタズタになるんだなぁと。いっそ、極論 東京、名古屋、大阪、福岡圏以外には人が住めなくなるのかなぁ⁉2017/03/19