内容説明
女は裂かれた腹から胃腸を抜き取られ、男は冒されるはずのない高山病で死んでいた。鍵のかかった工場内、かつ窓やドアの開かない事故車で見つかった二つの遺体。刑事たちの捜査は混迷を深める。その後も男女の親族は、一人、また一人と「密室」で不可解な死を遂げていく―。読み手を圧倒する謎の連打と、想像を絶するトリックに瞠目必至の長編ミステリー。
著者等紹介
小島正樹[コジママサキ]
埼玉県生まれ。2005年、島田荘司との共著『天に還る舟』でデビュー。2008年、『十三回忌』でソロデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
267
無理は承知で面白い(笑)。シリーズ前作よりも面白くなっている。ただ、探偵役の海老原が、なんかキャラが変わって見えるのが気になる。冒頭の、車の中で高山病の死体という謎がかなり良く、その後も畳み掛けてくるが、二番目のサト江殺害に関しては、前作でも感じたように、文章だけで理解しづらく、現場を密室にした理由も無いように思える。トリックを詰め込む事で、解決編が長くなってしまい、間延びする傾向があり、警察と一緒に一つ一つ検証しながら答えあわせしていくようなやり方が海老原の存在感を薄めてしまっているなと強く感じる。2016/09/04
nobby
126
とにかく事件に惹き込まれる序盤と怒濤の真相解明が進む終盤には圧倒される。それ故にか全般的に平坦な印象が強い…ある廃工場に突っ込んだMR2(懐かしい!)車内で見つかった男女の死体、女は腹から胃腸を抜き取られ、男の死因はありえない高山病。そこから続けて描かれる数々の密室やミイラまがいのぐるぐる包帯巻き死体に、突如の死体出現などは、まさにやり過ぎ、むしろやりたい放題(笑)相変わらず何気ないエピソードの丁寧な回収や、一度検討して晴らした事実を見事に覆すのは爽快!残念なのは奇想天外なトリックが想像しにくいことかな…2019/05/23
ダイ@2019.11.2~一時休止
117
海老原浩一その3。相変わらずの無茶なトリックではあるが一応伏線は回収してる?。2016/07/15
papako
70
やりすぎミステリ海老原シリーズ2冊目。またいろいろ考えましたねー。だけど、美衣子が不憫すぎる。そんなのいじめてくれって言ってるようなもんじゃない!どんなに言い繕ったって、助けるべきだし、会実が守るべきだ。なので同情しません。本筋よりも、小沢刑事の過去が切ない。さてさて次ですね。2020/06/03
tengen
63
工場内の壁に激突して閉じ込められた車の中で男女の死体が発見された。女は腹を割かれ内臓が無く、男はなんと平地ではありえない高山病で死んでいた。そして、その工場には頑丈な鍵が掛けられていた。二重の密室で起こったこの奇怪な殺人は始まりでしかなかった。☆彡いやぁ初読みですがなんと奇抜な、まるで島田荘司さん、と思ったら解説で知りました。関係あったんですね。探偵海老原浩一が御手洗潔っぽい。海老原シリーズ追おうかな。2015/10/19