内容説明
カフェ、広場、ショーウインドーといった様々な場所、複数の言語、様々な出自をもつ芸術家の目を通して浮かびあがる都市プラハの複数性と多層性。オーストリア=ハンガリー帝国の「地方都市」からチェコスロヴァキアの「首都」となった都市空間「プラハ」の深層を解読する。
目次
第1章 離岸していく空間―リルケ『二つのプラハ物語』
第2章 断片化する都市―ボフミル・クビシュタとキュビスム
第3章 都市芸術としてのアール・ヌーヴォー―アルフォンス・ムハとスラヴ主義
第4章 “モラヴィア”の作曲家の眼差し―ヤナーチェクのオペラ“ブロウチェク氏の旅行”
第5章 消えゆく声をめぐって―作家リハルト・ヴァイネルと「広場」
第6章 光と闇の交錯―ヨゼフ・スデクの『聖ヴィート』
第7章 欲望の結晶としてのショーウインドー―インジフ・シュティルスキーの都市写真
著者等紹介
阿部賢一[アベケンイチ]
1972年、東京生まれ。東京外国語大学、カレル大学、パリ第4大学(DEA取得)で学ぶ。東京外国語大学大学院博士後期課程修了、博士(文学)。現在、立教大学文学部准教授。専門は、中欧文化論、比較文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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にとり
1
主にハプスブルク帝国支配下〜チェコスロヴァキア共和国時代のプラハについて、文芸、絵画、写真などの芸術作品を通して書かれている。チェコ系住民とドイツ系住民の間の相克や、用いる言語がすなわち政治的立場の表明になってしまうという、他民族都市ならではの複雑な状況が印象的だった。プラハ旅行の後に読んだのでより感慨が深い。日本では馴染みの薄い芸術家が多く登場したので、またプラハに行って彼らの作品を観たい。2016/11/06
yuma
1
プラハの路地に迷い込んだような不思議な読み心地。スデクについては写真集をパラパラと眺めたことしかないけれど、この一言は彼の人生をよく表していると思う。「(中略)いまでも探しているんだ、でも見つけることができずにいる。代わりにほかの何かが見つかったりする。そこでは何かが見つかる。ばら色だったかと思うと、いまは緑色になったりする。すると、どうして緑色になっているか調べたくなる。その模索が大事なんだ。」2015/11/14
zuckermen08
0
複数形。2013/07/08