サーカスの犬

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 279p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784334961664
  • NDC分類 953
  • Cコード C0098

内容説明

俺たちバルトラングは、サーカスの裏方だ。テントの設営と解体が俺たちの仕事。華やかな舞台の陰で、興行が無事にすむように汗水たらして働いている。ある日、テントにやせこけた灰色の犬が迷い込んできた。シェパと名づけたその犬は、俺たちのアイドルになった。だが、それだけではなかった…。実はシェパは、ショーのために生まれたような天才犬だったのだ。シェパをスターにして、俺たちのサーカスを作ろう!バルトラングの男たちの夢が始まった。年間最優秀作品とフランスの文学界が絶賛!!カルフール・サヴォワール新人賞、2003年シネレクト賞受賞。

著者等紹介

ルーボディ,リュドヴィック[ルーボディ,リュドヴィック][Roubaudi,Ludovic]
1963年パリ生まれ。中等教育を終了すると、サーカス団で働き、その後消防士に。画期的な牡蛎開け用ナイフを発明し、自ら各地の市場で実演販売も経験。三面記事のジャーナリストを経て、現在は「駆け出し」の中間管理職。夫人と三人の子供とシャロン・スュール・サオンに在住。『サーカスの犬』が処女作

永田千奈[ナガタチナ]
1967年東京生まれ。翻訳家。早稲田大学第一文学部仏文専修卒
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

313
タイトルからは犬が主人公かと思いそうだが、その期待は裏切られる。しかも、小説の最後で今度は物語にも裏切られることになる。それにも関わらず、淡々と語られる小説は深い余韻を残す。幕切れはコスタ・ガブラスの"Z"に似ているだろう。結局はエクリチュールの勝利であると言えるかもしれない。フランスでの、この作品に対する書評には「ピアフの歌が聞こえてきそう」、「フェリーニの映画を思わせる」などというのがあるそうだが、実に言い得て妙である。こんな批評の方法もあるのだと目を開かれた思い。このフランス風のペーソスはなかなか。2018/06/09

NAO

65
【戌年に犬の本】旅を続けるサーカス団。華やかなサーカスの舞台裏、そのテントの片隅で、姿を見られないようにして暮らしている人々。彼らの辛く厳しい日々の労働の疲れを癒してくれる、一匹の犬。常に日陰で暮らしていた男たちが、自分たちも表舞台に出られるかもしれない、日の当たる場所で生きていけるかもしれないと、賭けた夢。その夢は、なんと明るく、優しく、輝いていたことか。淡いセピア色の懐かしい昔の写真を見るような、ノスタルジックな話だった。2018/03/03

oldman獺祭魚翁

46
図書館 僕としては珍しいフランス物を読んだ。 いや面白かった。なんとなくこんな終わり方なんだろうと思った通りの終わり方であり、決してハッピーエンドではないが、それでも楽しかった。 タイトルに「サーカスの犬」とあるが、犬が主役ではない。 だが原題の「LES BALTRINGUES」(俗語で厄介者やよそ者の意味)は実にぴったりで、登場する人物は、現実世界では関わりたくない面々なのに、この話の中では実に魅力的だ。 彼らは社会のはみ出し者かもしれないが、実に陽気に世間を渡っていく。2020/11/21

不在証明

9
こんなにうまくいくはずはないから、どこかに落とし穴はあるだろうなとは思ってた。でもなんだ、あまりにもあっけない。団員たちからすれば、儚い夢だったなどと割り切れるものか。変わって観客たちの視点に立つと、また違った面が見えてくる。あの夜の熱気と興奮、豪華絢爛なサーカスを忘れることなどできようか。たった一回限りの演目、もう二度と見ることのできない、一夜の夢幻と成り果ててしまった。きっと将来、好事家の間でひっそりと、都市伝説のように語り継がれるであろう-『バルトラング・サーカス』という、一座がいたと。2015/11/01

なむさん

4
犬好きなので、途中に出てくる挿絵を愛でながら、 そしてやはりフランスに政治と美と衝撃のラストは必須なんだな、と思いながら読みました。 読み終わった後、ただただ喪失感でいっぱいになり、泣くに泣けない。 後頭部をズシッと殴られた気分。 軽く鬱っぽくなりました。1週間くらい。 シェパのぐにゃぐにゃ。あ、これだけでまた泣ける…2016/11/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/56483
  • ご注意事項