内容説明
1964年のある大雪の夜。医師デイヴィッドと妻ノラは、男女の双子に恵まれるが、女児はダウン症だった。デイヴィッドは妻を悲しませたくないがために、とっさに娘を人手に渡し、妻には死産だったと偽るのだが…。一見裕福で幸せそうな夫婦、娘を預かった孤独な女、別々に育てられる兄妹―たったひとつの嘘によって、それぞれの人生がもつれた糸のように複雑に絡み合ってゆく。口コミで広まり、1年半にわたって全米ベストセラーとなった異例の小説。
著者等紹介
エドワーズ,キム[エドワーズ,キム][Edwards,Kim]
作家。ケンタッキー大学准教授。短編集The Secrets of the Fire Kingで、1998年のPEN/ヘミングウェイ賞の最終候補に残る。長編小説は『メモリー・キーパーの娘』が初めて。過去に神奈川県小田原市で、2年間英語を教えていた経験もある親日派
宮崎真紀[ミヤザキマキ]
英米文学・スペイン文学翻訳家。東京外国語大学スペイン語学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あっちゃん
31
1964年吹雪の夜、医師の妻が双子を出産し、誕生した息子と娘、しかし娘はダウン症だった!医師は妻には死んだと告げ看護婦に預ける。医師一家と娘を引き取り街を逃げ出した看護婦と娘の人生を描く!コレ、現代じゃないから価値観も考え方も違う!でも、一気読み必至の良作でした!しかし、私的には医師が悪いんだろうけど、医師の妻がムチャ気に入らない!アンタ、娘が居たら居たで文句言ったタイプじゃない?とか思っちゃう!やっぱ、これ同族嫌悪かな(笑)2016/02/09
星落秋風五丈原
23
夫の勝手な判断で双子のうちダウン症の娘が家族から抹殺される。夫を慕っていた看護婦が密かに娘を育てるが。2024/01/18
安部圭二
17
完璧な幸せを家族に与えたいと思っていたデイビットと自分で掴みたいと思った妻のノラ、息子のポール。そしてダウン症で産まれたため、デイビットに恋心を抱いていたキャロラインに育てられることになった双子のフィービ。双子が産まれた年から年ごとに章が別れていて、前の章では赤ん坊だった双子が次ではたってたりと彼らの成長がみにみえるようで、家族の一員になったような気がした。明確なハッピーエンドはないけれどそれぞれの前に立ちはだかっていた壁は薄くなったんじゃないかな。個人的には比喩が美しくて短歌につかいたいのばっかり。2016/05/06
風眠
11
医師夫婦のもとに男女の双子が生まれた。女の子の方はダウン症だった。妻を悲しませないために、夫は「死産だった」と嘘をつき、看護師に女の子を預け、施設に入れる。しかし、施設があまりにも劣悪な環境だったために、看護師はその女の子を自分の娘として育てることを決心する。月日が流れて、何も知らずに男の子と女の子は別々の場所で成長していく。人間の弱さ、エゴ、愛、哀しみ、喜び、さまざまな感情がごちゃまぜに迫ってくる物語だった。言いたいことはたくさんあるのに、うまく言えない、そんな読後感だ。2012/06/14
ケイティ
7
誰も故意に傷つけようとしてないのに、むしろ守りすぎたがために、家族がゆっくり壊れていくさまが生々しい。立場が違えばそれぞれの言い分も理解出来てしまいそうな、妙なリアリティが痛々しかった。自分が親になったらまた感じ方が違うのだろう。2010/02/10