犬―クラフト・エヴィング商会プレゼンツ

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  • サイズ B6判/ページ数 189p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120035371
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

犬は人なり。数を少なく質をよく、一人一犬を原則とするのが愛犬家心得のひとつである-名犬、番犬、野良犬と暮らした作家達の幻の散文集。

内容説明

名犬、番犬、野良犬と暮らした作家達の幻の随筆集。

目次

赤毛の犬(阿部知二)
犬たち(網野菊)
犬と私(伊藤整)
わが犬の記 愛犬家心得(川端康成)
あか(幸田文)
クマ 雪の遠足(志賀直哉)
トム公の居候(徳川夢声)
「犬の家」の主人と家族(長谷川如是閑)
犬(林芙美子)
ゆっくり犬の冒険―距離を置くの巻(クラフト・エヴィング商会)

著者等紹介

阿部知二[アベトモジ]
1903‐73。岡山県生まれ。小説家、評論家、英文学者。幼少を島根県の一村で過ごし、自然の美に目覚める。東大英文科在学中、短編『化生』を発表、大学院在籍中『日独対抗競技』を発表し、新興芸術派の新人として文壇に登場した。後に本格的に英米文学の研究をはじめ、評伝、翻訳をまとめた。東北大英文科講師、上海聖約翰(S.John’s)の大学講師を経て昭和20年に帰国

網野菊[アミノキク]
1900‐78。東京生まれ。小説家。早大露文科聴講生のとき知り合った湯浅芳子とともに志賀直哉を訪ね、生涯の師とする。志賀に勧められ、『家』『光子』を発表。『金の棺』で鎌倉文庫の女流文学賞、短編集『さくらの花』で第一回女流文学賞と芸術選奨とを受けた。昭和42年、『一期一会』で読売文学賞受賞、同年に芸術院賞も受賞した。44年、芸術院会員となり全集も刊行された

伊藤整[イトウセイ]
1905‐69。北海道生まれ。小説家、評論家。昭和3年、東京商科大本科入学、翌年批評雑誌「文芸レビュー」を創刊し、処女小説『飛躍の型』を書いて小説に転じた。25年『チャタレイ夫人の恋人』の完訳でわいせつ文書頒布の疑いで起訴され、「チャタレイ裁判」の渦中の人となるが、根強い法廷論争に人間的鍛錬を加え、一躍人気作家となる

川端康成[カワバタヤスナリ]
1899‐1972。大阪生まれ。小説家。十六歳までに父母、姉、祖父母を亡くし、孤独な時代を送る。大正9年東大英文科に入学、翌年国文科に移り「新思潮」を発刊、菊池寛らの激賞を受けて新感覚派の代表作家となる。昭和34年国際ペンのゲーテ・メダル、35年フランスの芸術文化勲章、36年文化勲章を受章。43年、日本人初のノーベル文学賞を受賞。47年、ガス自殺

幸田文[コウダアヤ]
1904‐90。東京生まれ。小説家、随筆家。昭和22年、小説家の父露伴の追悼記『葬送の記』を発表して注目される。優れた文章家として認められるとともに、重要な資料を編纂、刊行して露伴研究に大きく寄与した。29年『黒い裾』で読売文学賞、30年『流れる』で新潮社文学賞、芸術院賞を受賞
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

コジ

30
★★★★★ およそ60年前に発行されたエッセイ・アンソロジー「犬」。文豪達の犬に対する思いを読むことが出できる。再刊にあってクラフト・エヴィング商會が装丁を改め、オマケもつけた。姉妹書は「猫」。両方を数作品づつ交互に読んでみた。半世紀以上前の人と犬の関わりを垣間見ることができる作品もあり、とても興味深く読めた。当時の犬達は番犬など人間の生活に有益であることが前提で飼われている様子。それでも愛犬家は深い愛情と洞察力を持って犬に接していたようだ。昔の愛犬家は生真面目な人が多かったのかもしれない。2016/06/09

ヒロくま

23
文豪と犬。一つの物語として、時にはエッセイに、可愛いだけじゃない犬に対する色々な思いとそれぞれの距離感が面白かった。文学的犬本。「猫」もあるらしいので探してみようと思います。2017/09/24

うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)

6
昨今のペットブームによって様々な犬が飼われていますが、昔と比べると人と犬との関係が随分変わってきたようです。昔は犬を家族のように可愛がってはいても、あくまでも主従関係。それに比べ現在はその関係が随分ぼやけてきたように思います。「「犬の家」の主人と家族」の話は飼い主さん必読です。★★★2009/05/16

まある

5
文豪などの犬にまつわるエッセイ。今と昔とでは、人間と犬の関係や環境が随分異なると感じる。今は犬は家族、我が子のように可愛がるが昔は番犬という意味合いが強い。戦後では人間の食べ物も十分でない中で飼うことは、飼うことに実質的な利益がないといけないわけで、癒しなどというボンヤリした理由で飼うものでは無かったのだと感じる。我が子のように可愛がるひとりであるわたしには正直あっさりしすぎな飼い主に物足りなさも感じてしまう。川端康成の愛犬家心得などは面白く読める。2015/07/17

Jun Shino

3
川端康成は多くの犬を飼い、伊藤整は川端訪問のたびに吠えたてられてビビり、志賀直哉は愛犬のためにバスを飛び降りて東京の町を爆走するー。林芙美子は犬で動物嫌いが治るが、川端のつてでもらったみみづくに心が移り愛犬家出?文人が小説や随想で犬を描く。犬はそれぞれで性格や癖がある。また、川端の心得ー。 「愛する犬のうちに人間を見出すべきではなく、愛する犬のうちに犬を見出すべきである」 「忠犬は忠臣よりも遥かに自然である。犬の忠実さには、本能的な生の喜びがいつぱい溢れ、それが動物のありがたさである。」得心がいく言葉。2020/07/03

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