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岩波新書
水の未来―グローバルリスクと日本

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  • サイズ 新書判/ページ数 224p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004315971
  • NDC分類 517
  • Cコード C0244

内容説明

環境問題の深刻化が国家間紛争をも招くのか。日本に波及するグローバルリスクの中で最も注目される水問題への取組は、エネルギーや食料の安全保障、気候変動への適応策を達成する鍵である。「ウォーターフットプリント」「仮想水」を手がかりに問題を明らかにし、悲観論に陥ることなく、持続可能な未来を構築する道を探る。

目次

第1章 地球の水の何が問題か(なぜ、どのように、水危機がグローバルリスクなのか;「水が足りない」とは;使うと汚れる水;世界の川、地下水、湖をめぐる問題;水は無くならない)
第2章 グローバル水リスクに備える―ウォーターフットプリントとは何か(災害リスクをどうとらえるか;世界の水リスク管理の動き;国際標準ウォーターフットプリント;ウォーターフットプリントをどう使うか)
第3章 仮想水貿易から見た食料安全保障(世界の水に頼る日本の暮らし―仮想水貿易とは;水から見た食料問題;水だけが問題ではない)
第4章 気候変動と水(気候変動問題とは何か;気候変動のリスクをどう捉えるか;適応策とグローバルリスクマネジメント;気候変動問題のこれから)
終章 未来可能性の構築へ向けて

著者等紹介

沖大幹[オキタイカン]
1964年生まれ、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了、博士(工学)、気象予報士。現在、東京大学生産技術研究所教授。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書統括執筆責任者、国土審議会委員などを務める。日本学士院学術奨励賞、日経地球環境技術賞、生態学琵琶湖賞など表彰多数。水文学分野で日本人初のアメリカ地球物理学連合フェロー。専攻は水文学、河川・水質源学、土木工学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

37
国や地域の間での社会経済的な結びつきが強くなり、各国の命運が一蓮托生になると、もともと各地域では重大だった水問題が、グローバルにも中心課題となったという(5頁)。地球が狭くなったという謂いもあるが、移動距離が長く、速くなったことも影響しているだろう。飲み水の問題が、開発から取り残されて、そこから抜け出せない状態の象徴(7頁)。帯水層:間隙が比較的多く地下水を豊富に含む地層。国際河川と同様、複数国にまたがる帯水層=国際帯水層(22頁)。2016/12/06

skunk_c

31
水という環境に欠かせないものについての多角的な考察。水文学なる分野の存在を初めて知ったが、極めて学際的で興味深い。「ウォーター・フットスタンプ」やISO関連指標から水を如何に捉えるか、「ヴァーチャル・ウォーター」の考え方による、食料輸入は本来ローカル資源で貿易の対象になりにくい水を取引していると考えられることなど、学ぶ点が多かった。一方気候変動にもコミットしているが、二酸化炭素排出制限による緩和だけでなく、現実の災害などへの対処の重要性を説くなど、現実的で首肯できる内容。難しい内容の割に文章も読みやすい。2018/08/29

みつ

14
家から1キロメートル歩かないと1人一日あたり最低20リットルの安全な飲み水を得られないというのが「安全な水へのアクセスがない」ということの目安・•など、新たな情報が満載。そのうえでローカルにしか利用できないはずの水がグローバル経済の下にあることを、ウォーターフットプリントや仮想水貿易の観点から明らかにする。世界の水問題は水の偏在以上に貧困や水供給システムの不適切なマネジメントが問題であると筆者は説く。なお、単位については、1立方キロm=10億キロℓ(10億t)であることを念頭において読み進める必要がある。2021/10/25

coolflat

13
水のグローバル問題に関する本なので、てっきりウォーターバロンの詳しい記述があるかと思ったが、一切なかったので拍子抜けした。8頁。水汲みは重労働である。一人一日あたり必要な最低限の水の量は20~30L。水汲み労働は女性の仕事である場合が世界的に多いが、子供が手伝っている場合には教育を受ける機会が失われ、人的資本の形成に大きな損失がもたらされる。喉が渇いたり健康を害したりして死にそうになるから、というよりは、時間が奪われ、労働や教育の機会損失によって社会経済的な開発が阻害されるのが、水汲み労働の本質的な問題。2016/08/17

kenitirokikuti

10
他の方のレビューによると〈平成30年度全日本高校模擬国連大会書類選考の課題図書〉。大学入試にも採用例あり▲著者の『水の危機 ほんとうの話』は2012年刊行で、本書は2016年刊行。2014年に7月にウォータープリント推計に関する国際標準がISO14046として発行され、ダボス会議で知られる世界経済フォーラムは水危機のグローバルリスクとした。気候変動は所与として、それが水危機として現れる。。先行したカーボンプリントは国際標準にはならず、技術仕様書という位置づけ(TS14067)。2018/09/04

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