もうすぐ絶滅するという紙の書物について

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もうすぐ絶滅するという紙の書物について

  • ISBN:9784484101132

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内容説明

ウンベルト・エーコ/ジャン=クロード・カリエール
老練愛書家2人による書物をめぐる対話。
「電子書籍元年」といわれる今こそ読んでおきたい1冊!

インターネットが隆盛を極める今日、「紙の書物に未来はあるのか?」との問いに、「ある」と答えて始まる対談形式の文化論。
東西の歴史を振り返りつつ、物体・物質としての書物、人類の遺産としての書物、収集対象としての書物などさまざまな角度から「書物とその未来について」、老練な愛書家2人が徹底的に語り合う。
博覧強記はとどまるところを知らず、文学、芸術、宗教、歴史と、またヨーロッパから中東、インド、中国、南米へとさまざまな時空を駆けめぐる。

この対談は、マーシャル・マクルーハンが「グーテンベルクの銀河系」と呼んだ書物の宇宙への温かい賛辞であり、本を読み愛玩するすべての人々を魅了するでしょう。すでに電子書籍を愛用している人だって本書を読んで紙の本が恋しくならないともかぎりません。(ジャン=フィリップ・ド・トナック 「序文」より)

目次

本は死なない
耐久メディアほどはかないものはない
鶏が道を横切らなくなるのには一世紀かかった
ワーテルローの戦いの参戦者全員の名前を列挙すること
落選者たちの復活戦
今日出版される本はいずれもポスト・インキュナビュラである
是が非でも私たちのもとに届くことを望んだ書物たち
過去についての我々の知識は、馬鹿や間抜けや敵が書いたものに由来している
何によっても止められない自己顕示
珍説愚説礼讃
インターネット、あるいは「記憶抹殺刑」の不可能性
炎による検閲
我々が読まなかったすべての本
祭壇上のミサ典書、「地獄」にかくまわれた非公開本
死んだあと蔵書をどうするか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マエダ

106
まず本自体の天、地、小口が青いところから衝撃であり素晴らしい。内容はウンベルト・エーコとジャン=クロード・カリエールとの対話形式で古書講談となっている。二人とも年季の入った古書収集家、古書愛好家であり日本とは違った欧州の読書の感性がみえるところも良い。2016/06/22

藤月はな(灯れ松明の火)

47
以前、電子書籍が台頭してくる昨今での書物のあり方を市の読書に関する会のパネリストとして討論したことがあります。本の内容、焚書や量産化による書物の価値の変化、書物に対するフェチズムや亡き後の本の行方などが本だけでなく、作者、映画、歴史などの様々な面を織り交ぜて討論しています。図書館で借りたのがもったいないほど、だだもれんばかりの知識を噛み締めたくなる一冊でした。「読書が依存となっている」という指摘にはドキッとなりました^^;あと、深海のような青色の小口などの装丁がすごく素敵><2012/02/15

そふぃあ

31
結論、本は絶滅しない。いくら電子化が進もうが、書物は生き残ると冒頭から説明があった。最初混乱したけど、あとがきに、原題は「本から離れようったってそうはいかない」だと書いてあったから納得した。今の題名になったのは、電子書籍元年という2010年出版時の世相を反映したから。この本は、世界に名高く本の蒐集家でもある知識人二人が、本についてあらゆることを語り合う、ぜいたくな対談本。知識量の多さに圧倒されたけど、彼らにも読んでない本があり、読んでない本について語ることもあると知って、なんだか安心した。2016/01/18

おおた

30
本に飛び交う蝶のような2人が知識という花粉をあちこちに運ぶようなやりとり。本という文化を早送りで見ているような、それでいて分かりやすい内容・形式。適度に枯れたおっさんのトークほどおもしろいものはなくて、自分ちにある値段がつかないような古書の話や、持っている本すべてを読むなんて不可能などさらりさらりといい話が詰まっている。「読むべき本」なんかもなくて、己の感性に従って楽しい読書をすればいいというスタンスも、しがない一読者として励みになる。読書に疲れた時に読みたい一冊。2016/10/14

kasim

29
碩学二人のとりとめなく読みやすい対談集。目を惹く邦題だが、二人が特に紙に固執しているのではなく、本の歴史や古書が話題の中心にあるため当然紙の本が前提にある、という程度。ただインターネットに対する懐疑はたしかに挟まれる。あと過去を軽視するアメリカ的価値観への敵意も。書物が生まれたことで記憶術は衰退し、ネット時代の今、人の記憶はますます衰えている。しかし本もネットも道具であり、使いこなすためには結局「自分自身の記憶を維持しなければならない」、その意味で知識や暗記を嘲笑するのは危険な態度だ。2024/02/07

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