内容説明
クラウド・ハンターは、空の生き物で、翼はないけど空魚みたいなものだ。船がクラウド・ハンターの翼で、帆が羽であり鱗である。空高く舞いあがり、自由に生まれついた人々なんだ。雲を狩る一族の少女とふつうの少年の、ひと夏の冒険―。
著者等紹介
シアラー,アレックス[シアラー,アレックス][Shearer,Alex]
イギリスの作家。1949年生まれ。テレビ、映画、舞台、ラジオ劇の脚本などを書いた後、小説家に。ヤングアダルト小説の第一人者として、日本でもファンが多い。イギリスのサマセット州に家族と在住
金原瑞人[カネハラミズヒト]
翻訳家。法政大学教授
秋川久美子[アキカワクミコ]
日本女子大学大学院文学研究科、博士課程満期退学。日本およびアメリカの大学で語学教育に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
113
著者は多彩な人物でテーマごとに筆致を変えること出来る作家である。物語は環境汚染等により、地球に住めなくなった人類が新たな星に居住。星では中心に太陽があり、海がなく空中に島々が浮遊している。水が重要な資源で、雲から水を精製し、雲を回収するためクラウド・ハンター(雲を追うもの)がいる。主人公クリスチャンは、クラウド・ハンターの少女ジェーニーンに好意をよせ、彼女の空船に乗り込む。いわゆる自分探しの物語で、クリスチャンとジェニーンの交流によって、それぞれがアイデンティティー(帰属意識という意味とする)を認識する。2015/04/28
ひめか*
58
不思議な話かなwこんな世界自体この世に存在しないから。だって空で暮らしているんだもの!雲を狩って雲からできた水を売って生活するクラウド・ハンターとその人々に憧れる少年のお話。主人公の男の子はその一族の女の子と仲良くなり、一緒にクラウドハンティングへ行くことに。でもその先にはいろんなことが待ち構えていて…ワクワクする冒険ファンタジーだった。子供向けとは言え人生観や宗教問題、人種差別のようなものに触れているところが、やはりYA&シアラーらしいと感じた。少し恋愛もあって。主人公は今回の旅で大きく成長したと思う。2014/08/14
七色一味
40
読破。なんとも不思議な世界の、クラウド・ハンターと呼ばれる流浪人の家族と、普通の、ちょっとお坊ちゃまな男の子の交流と冒険の物語です。世界の姿といいクラウド・ハンターといい、とても魅力的。不思議な島々、空鯨、空に飛び込んで泳ぐ! 結末は、二度と会えないお別れだったけど、男の子は、冒険を通して少し、大人へと成長したね。2013/02/06
森の三時
34
児童向けに易しく書かれていますが、表紙の絵のように楽しそうな、雲を追いかける物語ではなくて、もっともっと考えさせられました。ファンタジーの中に、現実の世界の問題点が散りばめられています。少年が新しい世界に踏み出し、自分と異なる世界に住む者たちの容姿、価値観、宗教、戒律などを知る。たとえ、もとの自分の世界に戻ってきたとしても、恥じることはなくて、きっと、少年は大人の顔になっているのだろうと思います。2020/11/21
ムー
22
アレックスシアラーさんの本を一度読んでみたいと思っていました。今回初読みです。児童書ということで、表紙からも穏やかなファンタジーものかなと思いながら、この本を選んだのですが、なかなか穏やかでない表現や場面があって、予想外でした。でも全体としては、面白い設定で一気に読めました。2017/02/13