出版社内容情報
「冷静と情熱のあいだ」から20年
辻仁成最新作はいまの東京を舞台にした性と愛の物語
子どもが同じ幼稚園に通う二組の夫婦。
パートナーに対するほんの少しの隙間から始まった不倫が、
4人の運命を大きくかえてゆく。
妻を抱かない夫
夫に関心のない妻
娘の友達の母親と関係を持った男
妻子のある男を誘惑した女
漂流する4人の男女、そのたどり着く先は…?
内容説明
愛はあるけれど性などいらない夫、愛も性も求める妻、性のために愛を見失う夫、性も愛も超えた魂の結びつきを求める妻。子どもが同じ幼稚園に通う二組の夫婦。パートナーに対するほんの少しの隙間から始まった不倫が、4人の運命を大きくかえてゆく。
著者等紹介
辻仁成[ツジヒトナリ]
東京都生まれ。フランス在住。1989年『ピアニシモ』ですばる文学賞を受賞し、作家デビュー。1997年『海峡の光』で芥川賞、1999年『白仏』で仏フェミナ賞・外国小説賞を日本人として初めて受賞。多数の著書があり、世界各国で翻訳されている。現在は、ミュージシャン、映画監督、演出家として多岐にわたり活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
184
辻 仁成は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、愛情漂流男女四人近場不倫物語でした。どうして皆さんは、安直に近場の不倫に走るのでしょうか?第二部はいらない気がします。著者は、中山美穂との離婚から立ち直って、パリの素敵な女性と恋愛しているのでしょうか?【読メエロ部】2019/07/04
じいじ
105
辻仁成の新刊、表題が面白そうなので久々に読んでみた。私はこの作家の言葉遣いが好きで、文章のリズム感もフィットして読み易い。さて、今作は、家族づき合いする仲の良い二組の夫婦の物語。ベタな筋書きだが、無難に進展するかに見えた不倫の恋が発覚、夫婦四人が漂流の渦に巻き込まれる。後半へきて、中身のドロドロに肩が凝ってくたびれた。その疲れも、著者のユーモアある文学的な性愛描写とそれぞれの子供らの存在で救われた。男と女の関係には、いろいろな愛のカタチがあるものだ。だから人生はオモシロイのかもしれない。2019/06/14
よつば🍀
79
芽依汰・理沙夫婦と娘の二希、純志・早希夫婦と娘のミミ、二組の家族を通して描かれた不倫小説。二希とミミは同じ幼稚園に通う一番の仲良しだが、親達はパートナーチェンジの様な付き合い方をしている。狭い世界の中で愛欲に溺れる理沙と純志には危うさと共に嫌悪感を感じる。一方、性的関係はないものの、ソウルメイトの様に相手を求める芽依汰と早希にも身勝手さを禁じ得ない。皆、我が子を愛していながらも自身の欠落した部分を埋めるように行動し、そこには結婚を継続している意味などない。セクシャリティにも触れているが軽い印象が拭えない。2019/06/30
ゆのん
75
【10月生まれの作家】子供が同じ幼稚園に通う二組の夫婦。愛はあるけど性などいらない夫と愛も性も求める妻、性の為に愛を見失う夫と性も愛も超えた魂の結びつきを求める妻。こうやって文字にすると美しく感じるが実際に読むと悲惨な物語。子供の友達の母親と不倫するなんて…しかも双方の配偶者に知られるとなると悲惨以外の何物でもない。被害者となる幼い子供達が本当に可哀想だった。共感出来ない内容とは言え、愛や性だけでは無く諸々の理由で漂流しているように感じる事はあるのかもしれない。2292020/10/08
Kei
58
私は面白かったです!こういうすれ違いを書かせると、辻仁成は絶妙。気持ちと身体がぴったり寄り添うには、そのどこにより力点が置かれるのか、愛し合っていると思い込んでいる二人でも、実は難しいですよね。恋愛ではなく結婚という枠で、属するコミニュティの枠組みで、どこかにメイトがいるかも?ただ、作中のご両親達の子供に対する愛情は確かで、不快ではありませんでした。2019/08/23