内容説明
北海道は「北怪道」。地元を愛してやまぬ著者が、あやしと不思議に満ちた道内の怪異譚を丹念な取材で聞き集めた実話怪談集。病院跡地のスロープで三人の男が見たものは…「U別炭鉱周辺の闇」、自殺があったと噂の湯船で聞いた音…「S笏湖の廃墟」、はぐれた夫婦がそれぞれに体験した異界…「M周湖の霧人」、墓地でふざけた男の辿る末路…「T田墓地に眠る魂」他、札幌、千歳を皮切りに、旭川、富良野を通って釧路、弟子屈、そこから紋別、稚内と北上し、海岸沿いに石狩、小樽と下って道南の函館、松前に至る一大怪拓記。アイヌや開拓の歴史を背景に生まれたしばれる恐怖。北海道のもうひとつのガイドブックとして楽しんでいただければ幸いである。
目次
M南公園の花魁淵
A別アパートの兇
H和の滝の異
T稲の旅館の暗
旧K別沢トンネルに潜むモノ
Hヶ丘展望台の白渦
N岡の住宅街の話
N岡公園の音
M園アパートの騒
ある交差点の花束〔ほか〕
著者等紹介
服部義史[ハットリヨシフミ]
北海道出身。幼少期にオカルトに触れ、その世界観に魅了される。全道の心霊スポット探訪、怪異歴訪家を経て、道内の心霊小冊子などで覆面ライターを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
163
北の大地・広大な北海道を舞台にした地域限定怪談噺集。昔の本だったらズバリ直球で地名を堂々と明記したり詳しい地図まで載っていたりしますが、最近は気を遣ってS 幌と書かれていますね。定番はマニアの連中が心霊スポットへの肝試しに行って甘く見て酷い目に遭い二度と行きたくないと懲り懲りになるパターンで単純ながら王道の鉄板ネタですね。『T田墓地に眠る魂』屯田兵も眠る墓地に霊を信じない二人が深夜やって来て霊を馬鹿にした男が小さな墓に足をひっかけ倒してしまいふざけて墓石を前後逆に戻すと歩く内に同じ墓石に二度も躓いて転ぶ。2020/09/12
yoshida
92
寒い季節に読む北海道の実話怪談。北海道は出張で一度だけ訪問。室蘭、伊達、札幌に滞在。強行日程でバタバタ過ごしました。北海道は歴史の新しい場所で、怪談は少ないと思ったら色々と記載されています。松前城の耳塚、氷雪の門、屯田兵墓地、難工事だったトンネル等。心霊スポットを訪れた好事家が容赦ない被害に遭う話しが多い。まったく霊感のない私ですが、心霊スポットに行かないと胸に刻みました。アイヌの話しも印象的。ラストの耳塚の話しは災難だなと思う。以前に京都旅行に行った際に、朝鮮征伐の耳塚に偶然辿り着いた経験を思い出した。2022/01/23
かおりんご
29
ホラー。北海道の怪異譚。微妙にイニシャルにしなくてもよさそうだけど、「お前ら行くな」や城谷怪談を思い起こしながら読むと、めちゃくちゃ楽しい。北海道では、ホラースポットに行くつもりがなくても、足を踏み入れることがありそうだ。2021/04/25
あーびん
26
地名はイニシャル表記だけれど、観光地や公園が多く道民にはまるわかり。心霊スポットとは知らずにひとりで訪れていた場所もチラホラ… ビビり神社やM前城耳塚、Oタモイは洒落にならない怖さ。しかし普通に観光に行って怪異に憑かれたらたまったもんじゃないな… アイヌ関連の話が多いのは北海道ならではといった感じ。注意喚起のためにも道民は読むべし。2018/10/24
りらこ
24
肝試しに行った人たちが大変な目に遭う話が多く、文章の構成?何度も読んであぁなるほどとなる文章力。でも心霊スポットに面白半分な気持ちで行ってはいけないし、物でも人でもなんでも敬う気持ちが大切。そして北海道のあちこちの地名がS幌などと地名に詳しくない私にもわかる伏せ字。と、突っ込みつつ、羊蹄山で遭難した魂と一緒に下山する話は心がスッとしました。一緒に励まされながら降りてこられたら泣くよね。だから待ってるのかもしれないね。でもそしたらエベレストなどの人たちはどうなんだろう?2021/08/08