内容説明
怪異の体験者の話を直接聞き、怪異が起こった現場と言われる場所に足を向ける。そうして綴られた奇譚の数々―。待望の子供が突然死、以来、身辺になにやら気配が…「祓われない子」、アンティークの帯に纏わる奇妙な出来事、紐解かれる黒い過去とは?「帯の祟り」、誰のものでもない夜中の足音、それはやがて自分に近づいて…「縁切り傷」など38話収録。体験者たちの生々しい恐怖を追体験せよ!
目次
別れを告げに
邪魔
祓われない子
白くて丸い
いつもそこにいる
外泊デート
狐憑き
深夜零時の女
深夜零時の女、をモニタリング
黒がいい〔ほか〕
著者等紹介
川奈まり子[カワナマリコ]
『義母の艶香』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
65
実話怪談集。この著者の場合、怪談と随筆と地誌が混然としたような話が多くまた自分もそれが好きなのであるが、今回はオーソドックスな実話怪談集であった。全体的に淡々とした話が多いように感じられたのだが、中には「ビデオテープ」とか「縁切り傷」のような実に嫌な話も含まれているので油断できない。あと、話の中には年代を詳しく書いているのも多く、当時の世相を思わせる部分が多分に含まれていたのが著者らしいなとも思う。特にそれが感じられるのは「帯の祟り」。最後の最後に著者らしい考証が出ており、そういう部分が何とも堪らない。2018/06/01
あたびー
41
「邪魔」~「祓われない子」は涙無くして読めない怪談。話を語ろうとする語り手と聞こうとする作者をイタズラするように邪魔する存在、それは語り手が生まれてすぐに亡くした長男だった。祓ったりしないと約束すると嬉しそうにしたり、家族と共に暮らし成長までする。霊なのかタルパなのか。私でも祓ったりはできないだろうと思った。姑を惨殺した人物の帯が同じ念を催させる「帯の祟り」はアンティーク着物好きには怖い話。でも私ならその話を聞いたら帯を解いてみたくなる。2022/08/29
澤水月
24
資料引用が減り実話怪談作品として非常に読みやすくなり、独自の「知的だけど官能的で情念深い」文体が際立ってとても良い。ガラス障子、縁切り傷、呪うつもりが 辺りは自分が鬱に転びそうになり危なく引きずられそうな迫力(弱っている時は避けた方がいいかも…)。帯の祟りは興味深かった。過去著作に比べ考証と叙情のバランスは本書が一番良く感じた2018/06/04
あーびん
20
現地調査を踏まえた実話怪談とあるが、今までの資料や文献を多用した随筆っぽいスタイルからシンプルな実話怪談形式へと変化していて読みやすかった。いつもながら女の情念系の怖い話はじっとりとした繊細さで上手い。馬の幽霊も興味深い。「縁切り傷」やっぱり人を恨むのはよくないですね...2018/06/07
うさっち
18
実話系怪談集。幽霊に「見えてるんだろ」って言われたら…私なら目を閉じて走って逃げる。2018/08/16