内容説明
奇妙な読み味の怪談を披露する丸山政也による実話怪談集。いじめられっ子のルームメイトがある夜、突然変わった。いったいなにが…「赤毛の友」、病床につく弟が見た夢は傷口から虫が這い出すもの。それから暫くすると…「蛆虫と黄揚羽」、クラスで撮った集合写真に自分が写っていない。代わりに写っていたのは…「集合写真」など41話を収録。やんわりと纏わりつく厭な怖気、それを祓うことはできない。
目次
パントマイム
梅屋敷
鶴女房
置き土産
ほくろの男
品名
カメラマン
常連客
紫煙
相撲中継〔ほか〕
著者等紹介
丸山政也[マルヤママサヤ]
2011年「もうひとりのダイアナ」で第3回『幽』怪談実話コンテスト大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
135
本書も全41話と一冊に怖い話が目一杯これでもかとばかりにたくさんある中で少しは心が和む話もあって欲しいなと思いますし見つかると嬉しいですね。『頑固オヤジの店』ジンギスカンの美味しい人気店の四十代の偏屈オーナーは口うるさい頑固オヤジだったが味の良さで大繁盛していた。だが不運にもオーナーは風邪引きが元で呆気なく亡くなってしまい、オーナーの弟夫婦が会社勤めを辞めて店を引き継ぐ事となる。けれどオーナーは今も時々店の前に立っていたり、ジンギスカン鍋の肉を丁度いい焼き加減にして客の取り皿に盛り付けたりしているという。2020/11/04
HANA
61
実話怪談集。所謂因果を無視した奇妙な話を集めているが、それがハマっているものは非常に嫌な薄気味悪さを秘めている。「集合写真」や「上棟式」「古い記憶」とかは全編薄気味悪さを湛えていてとても嫌。特に「集合写真」の裏に何かありそうな感じは特筆もの。ただ起きたことがあまりにかけ離れていると、何が何だかわからないものもあるように感じられた。こう読んでいくと奇妙な話って、心霊物や狂人物が直接迫ってくるのに対して、どこか迂回して思わぬ不気味さを表してるというのがよくわかるなあ。理不尽な嫌さ、堪能させていただきました。2017/09/19
澤水月
26
著者真骨頂の多国籍怪談、パントマイムや黒妖犬などに幻惑された。純和風の怪談、梅屋敷も素晴らしい…梅を見たら魘されそう。全体に長時間かけて蓄積、磨かれてきたのだなと行間から仄見える。非常に良かった。全く偶然ながら同月刊行の竹の他著者本に謹厳な人物に秘められた 悍しさ描く似た話あり怖い。職業やその嗜好まで一緒で驚き(確実に違う出元なのに!2017/09/02
うさっち
18
「あいず」、「膝掛け」などの切ないけど、いい話が好き。「集合写真」のその後も気になる。2019/08/13
やんも
13
毎回海外怪談を楽しませていただいています。アンティークショップの怪異、時を越えて同じ名前を持つ女性たちのシンクロニシティ、エジプトの宿屋で出会った同国人等々。その間に怪談というよりも奇談といった方がふさわしい話が詰め込まれており、「そんなこともあるのだろうなぁ」と、あらぬ方向に視線を泳がせて、あれこれ思い巡らせる。中には「いや、これは思い込みだろう」と言われそうな内容もあるが、では、なぜその人はそのように感じて、思い込んだのか、そちらも想像してみる。そうして、なんとも言えぬうす気味の悪さを覚えるのである。2018/01/31