内容説明
新たな怪異の紡ぎ手が登場した!「数年をかけて取材をしてきたなかから、底味のある怖い話を“私”というフィルターを通して採話」したという99話。念願の古民家を購入したが、夜毎に何かが現れる気配がする。調べて見たら…「探しもの」(21話)、幽霊が出るというロータリーで感じた奇妙な視線。その日の学校で起きた不可解な出来事「授業参観」(96話)他、奇妙さとじわりと舐めるような恐怖が淡々と描かれる。日常の隙間から覗く魔の刻―怒濤の百物語を存分にお楽しみいただきたい。
目次
魔の置物
八珍柿
ライター
プリクラ
作家の死
名もなき母子
三河屋の主人
車椅子
皆既日食
赤線地帯〔ほか〕
著者等紹介
丸山政也[マルヤママサヤ]
2011年「もうひとりのダイアナ」で第3回『幽』怪談実話コンテスト大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
139
百物語を一冊まるごと一人で書き切ると言う著者の姿勢は誠に天晴れですし、1頁に満たない余白にも次の話をびっしりと書いて行く頁の節約精神にも好感が持てましたね。『神童』ある人の息子が三歳の時から数を学ぶが何故か何度教えても十三以上の数字を覚えられなかった。しかし小学校になると苦手を克服し成績優秀となって末は東大かと期待されたが、十二歳の時に交通事故に遭い惜しくも亡くなってしまった。『祈り』ローマの街で女性が交通事故に遭って死に祈りを捧げずに道を通る者に不幸が訪れると噂された。次に土地の3人の若者が事故に遭う。2020/11/01
HANA
55
実話怪談集。百物語の名に恥じずきっちり九十九話収められている。一話一話は短いものの、話の密度はなかなか濃く面白い。内容的には奇妙な話と心霊関係が半々といったところだが、幽霊の話が割と凡庸なのに対して奇妙な話はバラエティに富んでいるように思った。話が短い為に出来事だけを切り取ったスナップ写真を見ているようで、そこの片隅に奇妙なものが写り込んでいるような印象。因と果が上手く繋がらない不安定な気分にさせられるなあ。最近蛇足の部分が読ませる実話怪談が多かったが、こういう短く締まった怪談もやはりいいものであった。2017/03/18
澤水月
32
今回も海外生活の体験人脈から外国の怪奇譚多いが1番今も澱のように蠱惑・嫌悪混じる忘れ難いのが日本でのサキュバス談。こんなにいやらしく恐ろしくかつ切ない話があるだろうか。ほか幾つか性に纏わる話が淡々と記述され却って想像を掻き立てる。ロマの呪文、某国スナッフ海賊放送?など怪奇の方向が心霊に限らずまさに奇譚。津山三十人殺しの地にほど近い護法実は未知で実に恐ろしい。以前よりも深く広く興趣に富み格段に筆が良く。みっしり詰まって面白く少しずつ時間かけ読んだ。長短メリハリも良い。しかし階段落ち●●、1人しか浮かばない…2017/01/31
ラルル
29
この方の怪談は西洋の話がポツポツと混じるのがなかなか興味深く面白いです。近頃怪談の流行りが「ひたすら怖い」から「よくわからない奇妙なもの」に変わって来ている気がしますね。どちらも面白くて好きですが。2017/03/31
鬼灯の金魚草
25
「味噌汁」怖い。どんな味だったんでしょうね?「おまもり」も不思議な話。あー怖かった。2017/06/29