内容説明
じんわりとやってくる奇妙さと、やがて覆いかぶさる恐怖―黒史郎が紡ぐ暗黒の実話怪談集。肝試しで行った廃病院で見つけたモノ「影響」、虫が好きな祖父が亡くなり家を掃除したら…「虫爺」、左足だけが動ない金縛り、その夜はそれだけではなかった「左縛り」など35編を収録。
著者等紹介
黒史郎[クロシロウ]
2007年『夜は一緒に散歩しよ』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
138
これは単なる冗談ですから皆さまお気を悪くされません様にね。宮史郎さんと言えば、ぴんから兄弟、黒史郎さんを外人風に姓名逆に読むと白黒テレビになりますね。冗談はさておき中身は期待通りの出来でバッチリですよ。『Yは危険かもしれません』男三人女二人でS県の有名な心霊スポット古墳時代の遺跡Yへ行く。記念写真を撮って確認して行くと、不気味にも中央の女子の鼻が皺だらけの老婆に変わっていた。語り手が「視える人」の母に画像を見せると拳で真剣に何度も殴られる。母は悪霊を追い出したと言い、女子と友人は後に恐ろしい死に方をする。2020/07/11
HANA
56
実話怪談集。一読して本書はあくまで「聞き書き」という事にこだわった一冊である気がする。他の怪談集のようにまとまった風ではなく、あくまで宙ぶらりんに置かれているような。それでもその宙ぶらりんの部分が極めて怖い。話者の知らない所で、何かが起きて終わってしまっている、それが嫌な不安感を醸し出しているような。語り方が上手いのかなあ。もちろん怖いだけではなく、著者独特の奇妙なノスタルジーを感じるような話も健在。「キメラ」とか「キスの思い出」とか「モヤモヤボール」とか。いい怪談を読んだ後の満足感を存分に味わった。2016/07/01
pulpo8
28
「イタリア映画」で、怖いのか私が麻痺しているのか、と著者が悩む部分があるのだが、何が怖くて何が怖くないかぐらいは自分で考えた上で書いてほしいし、それがプロなんじゃないの、と言いたくなる。本書に収録された話は基本的に怖くないし面白くない。ただ「虚ろな貌」「気を引きたくて」はネタ自体はいいと思う。どうも怪談の書き方が下手にしか思えないのだが…。「腕ウォッチ」「虫爺」のようないじめられっ子や低所得者層の生活感がにじみ出る話はノスタルジックで甘い感傷があっていい味。著者の上手さは圧倒的にこちらにあるように感じる。2016/11/10
澤水月
26
運動部の秘め事、たぬきでわなし、山本、ごめん…題含め作品で素晴らしい。キスの思い出、腕ウォッチも良かった。自分の生育地に近い某所が人死に出るほどやばいところと知り慄き。大体スポと知らなかった…。怪異はいつも最新鋭の技術に這い込んでくるが遂にLINE怪談も! 今巻は「怪談ではないかも」と断る話が多いが奇譚集として面白く読めた。つまり筆力が他とダンチ2016/02/06
hannahhannah
14
黒史郎による実話オカルトホラー。タイトルからThe SecretやHexisみたいなブラッケンド・ハードコアのような黒さを期待してたけど、そんなに黒くなかった。「腕ウォッチ」と「薄らぐ人」は良い話。「父の影を追う」が不可解で不気味。「虫爺」が虫が多すぎてヤバいわ。虫が大量にいて幽霊とか、そういう系が霞むくらいの嫌さがあった。黒史郎の怪談に出てくる若者って怒りっぽいのが多い気がする。ほとんどの国で殺人を犯してるのは20代がダントツで多いが、現代の日本では逆で中高年の方が人を殺している。今の若者は大人しいよ。2017/03/21