出版社内容情報
人気の恐怖箱シリーズ最新刊。
内容説明
「坑怪」は同じ読みである「後悔」を掛けている。体験者たちの後悔、無念がテーマであると同時に、読まなければよかったと思うほどに凄絶な話ですよ、という意味だ。怪談ジャンキーの期待を裏切らぬ恐怖だけは詰めこんだ。それらはすべて本物、実際に起きた事象である。ゆえに安易なオチ=救いはないことをここでお断りしておく…。
目次
不感蒸散
もみじ
君だけに愛を
改築
遺品整理
猿達の沈黙
運び屋
穢獅子
大事な宝物
産廃〔ほか〕
著者等紹介
神沼三平太[カミヌマサンペイタ]
神奈川県出身。大学の講師として働く傍ら、趣味で実話怪談の蒐集を始めた。実話怪談コンテスト超‐1/2010年大会、稲川賞受賞。第8回ビーケーワン怪談大賞優秀賞受賞。2011年『恐怖箱臨怪』(竹書房文庫刊)にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
53
実話怪談集。最初の二三話は微妙と思ったのだが後半になれば後味の悪い話が次から次へてんこ盛りで、怪談に含まれる「嫌さ」を存分に味わう事が出来た。全体的に因果を含んだ話が多く、普段であればそういう因縁じみた話は怪談を濁す不純物のように感じるのだが、今回に限っては「嫌さ」が話全体に思う存分塗されている為あまり気にはならず。後、土俗的な話も多く日本の湿気を感じさせるようなウェットさが、本書自体を覆っているような読後感。やっぱり土俗と因縁と怪談って実に相性がいい事を再確認させられました。日本的な粘着感というか……。2015/05/07
あたびー
36
2015年に出た本というから、作者の出版物の中では割と初期のものらしい。そのせいか、一寸ウエットだったり、冗長だったりする所がある気がした。反対に言うと、最近の作品はこの頃より見違えるほど磨きがかかっているという事だ。巻末「それは人には長すぎる」や「蜜柑屋敷」は家と一族にまつわる不幸の話で、題材的にはとても怖いのだが、筋と関係ない部分にも文章を沢山使ってしまっていて、薄まっているような感じが残念だ。今の作者の力量ならさぞかし良いものになると思うのだが、書き直してくれないかにゃ……2023/03/27
鈴
28
【日本の夏は、やっぱり怪談】②昼間は大丈夫だけど、夜に読んだら怖いー。しかもこの表紙(´д`|||)見るたびゾゾゾーだよ。どの話だったか、読んでたら右肩が痛くなった(怖)これは実話なんだろうか?2015/08/10
澤水月
20
非常によろしくない話が混じっているようで読みながら面白い(厭に怖い)のに2度も長時間意識失う…特に冒頭数話で。検索したら昨年も全く同じ日に矢張り寝込んだ旨書いてて驚き。遺品整理と蜜柑屋敷が厭だったな…獅子舞に流派あるとは知らず興味深かった2015/03/01
hannahhannah
17
神沼三平太によるオカルトホラー。前作『崩怪』よりエグさがやや減退した気がする。それでも前半の「猿達の沈黙」はエグい。『羊たちの沈黙』を読みたくなる。中盤は犬や猫が酷い目に遭う話がいくつかあって、気分が暗くなった。後半は廃墟や、寺、開かずの間などに出かけて何かを触ったり壊したりして、祟られる話が多い。何か似たようなパターンだった。「それは人には長すぎる」は人間ドラマの部分が長すぎる。九割人間ドラマで、怪談は一割かそれ以下。ラストの「蜜柑屋敷」は恐ろしさと人間の悲しい業を感じさせる話だった。後悔先に立たず…。2017/09/06