内容説明
怪異に魅入られた元女医、神薫がその独特の視線と語りで描き出す実話怪談譚。営業のために訪れたとある街で出会った男、その肩に見えたおぞましいモノ「ギドラ」、家の山に古くから伝わる黄金が埋まっている話、掘り出せない恐ろしいわけ「死蔵金」、婦人科病院に突然駆け込んできた男の目的「うでおろし」、少女時代に経験した切ない痛み「幻尾痛」、不思議な光に遭遇するたびに男を襲う忌まわしい出来事「骸拾い」、など全27話を収録
目次
ネタバレ厳禁
厄病医
つぶつぶ
上へ参ります
当世妖怪気質
チャンバラナイト
ギドラ
こっつこっつ
セルロイドの娘
介護現場から〔ほか〕
著者等紹介
神薫[ジンカオル]
元女医。「FKB饗宴」シリーズから参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
227
元女医の神薫さんの実話怪談は重苦しく堅苦しいものでは全くなくて奇妙なユーモアにも満ちていますので構える事なく気軽に楽しく読めますね。『ギドラ』営業職に就く青年・山瀬さんはサッカーどころとして知られるS県某地区が担当エリアで中部は真冬でも滅多に雪の降らない温暖な土地の故にホームレス数も全国の上位だという。ある日彼が駅の公衆トイレに駆け込むとサッカーの話題を延々と独演するホームレス男〈ギドラ〉氏が入って来る。彼を無視して深く自分の世界に入る男と山瀬さんは翌週に街中で再び出くわす。山瀬さんには弱い霊感があった。2021/05/13
HANA
47
実話怪談集。これは最近の実話怪談全てに言える事だろうが、全体的に淡々とした話が多い。恐怖より奇妙な話を重視しているせいだろうけど、個人的には怪談に求めているものは恐怖感なのでそこから離れすぎると寂しいのだ。さて本書もその中心となっているのは奇妙な話だが、そんな中にもいくつもの凄惨な話、「死蔵金」「オルゴイ・コルコイ」「骸拾い」等が含まれており、それらは読み応え抜群。特に「骸拾い」のだんだん高まっていく恐怖感と最後、そして余韻を引く終わり方と最近読んだ実話怪談の中では白眉の出来。やっぱ怖がれるっていいなあ。2014/09/29
猫子
13
日本の夏は、やっぱり怪談<其の三・和洋折衷>(8月21日-31日)月末恒例「実話怪談」もの。シリーズFKB怪幽霊録。作者は女医さんという珍しいお方。医療系のお話もありますが、そうでないのも多々。表題作品が不気味で良かった(´ω`)2014/08/31
澤水月
12
前作よりいい。幻尾痛が切なくて素敵、ヰタ・セクスアリスはものすごく「行間が叫んでる」! 気になる! カメオ、セルロイドの娘は酷いのにどこか温かい。ギ●ラは題名など含めも少し構成どうにかしたほうが生きたように思う。女医を前面に押し出さないのは正解かと2014/09/03
arisaka
11
「幻尾痛」は恒川光太郎の短編のよう。全体的に闇というより薄暮、ぼんやりとその先に見える影こそが、恐ろしい。表題作の「骸拾い」は読み終わった瞬間に、ぞわっとくる。人間一人分の骸を集めて、何を作ろうというのだろうか。2014/11/15