内容説明
怪談の名手、平谷美樹が書き下ろした、日常生活に潜む恐怖27話。東北にある「怪談倶楽部」という集まりで、メンバーが語る信じられない自身の怪異や知人の驚愕の心霊現象―海辺にある廃墟の洋館で語り継がれている怪奇や、駅前にあった黒いゴミ袋が追いかけてくる話…。さらに、誰もいない部屋で鳴る携帯、一人で釣りに行くと出会うもの…。風呂場に潜む恐怖、死を告げ来るもの、ペットにも起こる怪異、病院の秘密の儀式、父が残した香りの謎…など。あなたの眼前にこれらの恐怖がリアルに立ち上がり、伝染し、内臓が凍え震えて眠りを奪うだろう―。
著者等紹介
平谷美樹[ヒラヤヨシキ]
1960年岩手出身。大阪芸術大学卒。美術教師を長年勤める。2007年退職し、専業作家に。2000年6月『エンデュミオン エンデュミオン』で小説家デビュー、同年長編SF『エリ・エリ』で第1回小松左京賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
150
「実録怪談シリーズ百物語」の既刊12冊でお馴染みの平谷美樹さんが竹書房の本に書かかれると恐怖の度合いが格段にアップして怪談本としては誠にいい具合ですね。嘗ての高級娼館「高楼館」を描く連作怪談噺の中でも最恐の一編。『狂女』由紀路(ゆきじ)という源氏名の娼婦を町議会議長の息子・孝一が贔屓にして、いずれ見請けすると二人は約束していたが次第に孝一の足が遠のき結婚の噂が聞こえると真剣だった由紀路は狂う。柳葉包丁を震える手に握った由紀路が炎天下の町を彷徨い家々に孝一を訪ねて回るが最後には高楼館から来た若い衆に捕まる。2020/08/10
ゆっき~
6
あまり怖くなくて良かった。普通の人が体験した怖い話・不思議な話ってかんじがして好みでした。幽霊あまり関係ないけど、沢ガニの話が一番怖かった(>_<)2014/12/30
dotkawahagi_bk@だいたいホラー小説しか読まない
4
数ヶ月に一回届くメール。そこには日時と場所だけが記されており、そこでは秘密の会合が開かれる。その名は『怪談倶楽部』。まるで秘密結社の様に怪談倶楽部と名の入ったカードを持って集まるその会は、各々の怪談を語り合う場なのであった。 *** こちらは初読みの方の怪談集。『怪談倶楽部』という怪しげな集会で語り明かされる数々の怪談たち。怪談倶楽部に所属する会員が語った話がまとめられている一冊であったが、単発の話と単発の話から著者が独自に取材をし、その話の詳細を紐解いた話(高楼館シリーズと呼ぶべきか?)2024/12/18
山崎にう
4
購入。作者も所属する怪談愛好者の団体・怪談倶楽部で発表されたという実話怪談が27話。作者が小説家であるからか、聞き書き形式の短編でも、真に迫った恐怖や心霊現象の描写が映像のように鮮やかで、今まで読んだ中でいちばん質の高い話だと思う。カバーイラストも、作中でもっとも印象的な建物をモチーフにしており、恐い中にも妖しさがある。ある町に根付いた怨念の歴史がいくつもの怪談で語られ、日本の怪談の原点は土着ホラーだな、と改めて感じる。2022/02/21
鬼灯の金魚草
4
高楼館の娼婦の話は悲しい。遠く故郷のことを思いながら、亡くなったのかもしれない。紅い傘の男はぞっとする。結局なんだったんだろう。2014/03/13