内容説明
読むのに覚悟がいる本である。正直に申し上げれば、すっきりとした読後感=カタルシスを得られる話は少ない。それどころか異物を飲み込んだような重苦しいものが腹の底に溜まる。なぜなら怪事は終息せず、体験者のもとで続いているからである。現在進行形の謎と呪い。ミステリー小説ならあり得ぬラストだが、実話怪談とはそういうものである。恐怖の後の安堵などという甘いプレゼントは用意されていない。ページを繰ったが最後、不条理な戦慄世界にひたすら翻弄されることになる―奇妙な歓喜と熱狂とともに。邂逅の意は「めぐりあうこと」とある。怪事に邂逅した人々の記録が本書『怪逅』である。そう、怪はめぐるのだ。貴方が本書と邂逅したことはすでに、その予兆なのかもしれない。
目次
書と楡
カーディーラー
外国人の事情アレコレ
子供から、大人まで
ある家族との対話
ヤマカンの話
望月の家
爺さんと
きじゅろ
著者等紹介
久田樹生[ヒサダタツキ]
1972年九州生まれ。超‐1/2006年大会一位入賞。2007年『「超」怖い話怪歴』で衝撃の単著デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
143
「超」怖い話シリーズの一冊で怪との出会いで邂逅ならぬ怪逅ですね。このシリーズは珍しく目次が巻末にありますよ。それから憑き物には「お祓い」が効き目抜群なのですが、もう既に本シリーズでは殆どの話でさっぱり効果がなくお手上げ状態のケースばかりなのですね。「望月の家」ではもう諦めの境地で悲惨な運命を甘受するしかなく誠にお気の毒な家族が描かれますが「爺さんと」では老境に入って淡々と飄々と旅を続けて霊の存在を見つめる老人像が描かれ悲壮感はそれ程に感じられません。最後の話の「きじゅろはまだかいの」が不気味な言葉ですね。2020/03/03
Spok
8
家族にまつわる話が多く面白かった。あとヤマカンと爺さんも良かった。2017/12/15
みーすけ
5
正体のわからない因縁が怖い。2013/10/07
pgin
4
中編多め。家系に絡む話がじりじりとおそろしい。■『書と楡』最初から重く危険な話。「見ると気がふれる書物」なんてフィクションなら若干陳腐さすらある文句だが、気のふれ方次第では恐ろしい代物にもなる。■『ボブの場合』それをテキストにするのはさすがにひどい。■『望月の家』古い集落の一家にまつわる怪異。山に棲むもの。■『祝飯』短いが印象が強い話。■『きじゅろ』これも家系に祟る怪異。減っていく家族。2017/12/02
しおつう
4
呪い的な話が多く、また現在進行形のものもあった。爺さんの話が一番怖かった。2013/10/30