内容説明
日常は、黒史郎の手にかかるとこんなにも厄介で醜悪で奇妙で怖い。騒音と異臭が迷惑な隣人、毎日警戒し観察していると妙な事に気がついた「おとなりさん」、温泉街で60年続けてきたマッサージ師の心に染入る怪談「瓜実」、ある夜突然、謎の光に襲われ奪われたのは…「奪光」など、底なしの漆黒の穴に読者を引き込む恐怖の実話集!真の髄から凍りつけ。
目次
幽霊すぎる
あんじゃんどうくつ
おとなりさん
お婆ちゃん、からだ、やわらかくない?
シロギツネ
ひきだし
ひどいやつ
ラプンツェル
芋虫幻想
瓜実〔ほか〕
著者等紹介
黒史郎[クロシロウ]
小説家として活動する傍ら実話怪談も多く手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
59
実話怪談集。著者独特のユーモラスな話がけっこう気に入ってる。「アンラ·マンユ」や「ダイヤモンド・アイ」「ばかT」とかは表現方法がもうね、笑い無しには読むことができない。編集者のTシャツ欲しいな。一方で嫌な話はとことんまで嫌さを追求している。特に幸福な体験が一気に暗黒に塗り替えられる「なめこ汁」とかぼかしている部分が本当に怖い。「おとなりさん」「豚女」それぞれが文中から臭い立ってくるような感じさえ受けたし。実話怪談において表現方法や文体というものが、どれほど影響を与えるか改めて教えてくれるものであった。2016/09/20
澤水月
34
うまい…! 硬軟取り混ぜ、タイトルで中身ぶわっと思い出せるような印象深い話多い。語り手の独特の擬音がとても生きてる「厠犬」…とそ、とそとそ。海外の恐怖体験「割礼の森」。まさかの展開「ばかT」…いやこれはいいものを読んだ。作家なんだなあ…とにかく文章がうまい(本書あとがき中にもあるがささやかな話でも読者に提供できるように調理に工夫凝らすのがうまい人だと思う)2016/09/05
hannahhannah
17
黒史郎による実話オカルトホラー。「あんじゃんどうくつ」や「児童予言や」「朝食の怪」や「厠犬」の不可解さが不気味。「豚女」のエグさは平山夢明の話にも通じるものがあった。「割礼の森」はひとつ上の男を目指す幽霊たちが登場。「アンラ・マンユ」は表現が面白すぎて爆笑したわ。デブ過ぎて苦手な運動は歩行と呼吸か…。「半裸族」は局部を惜しげもなく見せつける下半身だけの幽霊が百体も登場。ラストの「なめこ汁」は生理的嫌悪感を煽るような話だった。あとがきで、著者が黒木あるじが墓地の供え物の饅頭を食べたことについて言及していた。2017/03/23
柊よつか
13
黒史郎さんの単著。安定品質の一冊。傾向としては、おぞましく厭な話より不可解さが残る話が中心なので、初めて実話怪談を手に取る方にもお勧めだと思う。特に印象的な話は、謎の写真で不気味さが増す「ひきだし」、前話の繋がりと著者の焦りに妙がある「奪光?」、欠点なんて生易しいものではない「豚女」、独特な音の表現に惹かれる「厠犬」、惑わされていたのはどこからか「B専」、一番戦慄したのは食生活「アンラ·マンユ」、始めから終わりまでテンポが小気味よい「はさまる」、悲しくも優しい思い出が一気に堕ちていく「なめこ汁」。2016/09/11
☆kubo
9
やっぱり黒史郎さんの本は面白いなあ。一味違う。どれもワクワクしながら読んだ。あれ?怪談の感想と違うような気もする……まあいっか。2019/04/02