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三十八

原口 泉

篤姫


● 原口 泉さんエッセイ

篤姫は天保6(1835)年、島津家分家の長女として鹿児島に生まれ、明治16(1883)年、徳川家の元御台所として東京に没した。48年の間、江戸と明治、島津家と徳川家、二つの時代と家をまたいでひたむきに生きた人生であった。御台所として、嫁として、見事に女子の本懐を遂げたといってよい。

 天璋院篤姫の波乱に満ちた人生を描くのが今回の大河ドラマ「篤姫」。原作も脚本も主役も女性という、これほど女性づくしのドラマも珍しい。その時代考証を私が担当している。「翔ぶが如く」(1990年)「琉球の風」(1993年)に続いて三回目だ。

 本土最南端の薩摩の地で、桜島の噴煙をみながら錦江湾で遊ぶ純朴で利発な一少女が将軍家の正室となり、1200人の大奥を束ねるという、ただならぬ人生を歩み始める。しかも藩主島津斉彬からは、将軍の世継ぎに大奥が嫌う水戸家出身の一橋慶喜を推すようにという密命を帯びていた。

 しかし、この世継ぎ問題が思うにまかせないまま、たった一年半で夫・家定と養父・斉彬に死なれ、密命とは違う将軍家茂に嫁いできた孝明天皇の妹・和宮との確執に悩む。のちに和宮(静寛院)とも心を通わす仲になり、敵となってしまった実家(薩軍・官軍)に対して、二人とも必死に徳川家を守ろうとする。その結果、江戸城の無血開城に成功。篤姫は生き延びた徳川家の血筋を守って、後継者・16代家達(6歳の田安亀之助)を立派に育てることに余生を捧げる。

 私が篤姫に惹かれるのは、愛する故郷薩摩が、そして皮肉にも婚礼の支度役であった西郷隆盛が官軍を率いて刃を向けてきたとき、旭日の実家よりも落日の婚家を守り通そうとしたその姿勢に、日本人が失ってしまった、そして今の日本人に何よりも必要な「何か」が秘められているのではないか―。そう思うからである。

【原口 泉】


●原口 泉さんプロフィール

<略歴>
原口 泉(はらぐち いずみ)
1947年鹿児島市に生まれる。
東京大学大学院博士課程単位取得、1979年鹿児島大学法文学部助手を経て、現在、鹿児島大学生涯学習教育研究センター長・法文学部教授(専門・日本近世・近代史)。

主要著書に『鹿児島県の歴史』(山川出版社)、『都城市史』(都城市)、『薩摩藩文化官僚の幕末・明治−木脇啓四郎『萬留』翻刻と注釈』(岩田書店)ほかがある。

●吉川弘文館PR

吉川弘文館は平成19(2007)年で、安政4(1857)年の創業以来、150年を迎えました。「歴史書の吉川弘文館」として、明治・大正・昭和・平成にわたり日本歴史を中心に、民俗・考古・美術・宗教・国文学などの出版に微力を尽くしてまいりました。今後も150周年記念出版をはじめ、歴史学界、読書界の要望と期待に応え得る良書の出版をめざします。

<150周年記念出版>
『歴史考古学大辞典』 全1巻/『日本女性史大辞典』 全1巻
『戦争の日本史』 全23巻(刊行中)/『現代語訳 吾妻鑑』 全16巻(刊行中)

<主な出版物>
『国史大辞典』 全15巻/『人物叢書』 既刊250冊/『歴史文化ライブラリー』 既刊250冊
『新訂増補 国史大系』 全66冊/

●歴史書懇話会PR

1968年6月に歴史書を刊行する有志出版社7社で結成され、現在15社が加盟しています。結成以来、「歴史書懇話会はすぐれた歴史書の普及とその販売を積極的に推進する。本会はその目的達成のため、会員相互の協力によって必要な研究ならびに事業を行う」(会規約)の精神に基づき活動しています
会員社|青木書店・明石書店・校倉書房・大月書店・学生社・柏書房・思文閣出版・東京大学出版会・東京堂出版・刀水書房・同成社・塙書房・法藏館・山川出版社・吉川弘文館

<歴史書通信>
会員社の新刊・重版情報、書店フェアの案内等を掲載する出版情報誌です。隔月で年6回発行しています。歴史関連のエッセイも掲載し、歴史知識の普及をはかっています。紀伊國屋書店ほか、全国の書店で読者の皆さまに無料配布しています。

●原口 泉さんの選んだ本


天璋院篤姫〈上巻〉 天璋院篤姫〈上巻〉

宮尾登美子【著】
講談社(2007-03-15出版)
ISBN:9784062756846
700円(税込)

天璋院篤姫〈下巻〉 天璋院篤姫〈下巻〉

宮尾登美子【著】
講談社(2007-03-15出版)
ISBN:9784062756853
700円(税込)

篤姫―わたくしこと一命にかけ 徳川の「家」を守り抜いた女の生涯 篤姫―わたくしこと一命にかけ 徳川の「家」を守り抜いた女の生涯

原口 泉【著】
グラフ社(2008-01-01出版)
ISBN:9784766211115
1,260円(税込)

2008年1月に放送が始まったNHK大河ドラマ「篤姫」の時代考証を担当する原口泉・鹿児島大学教授の著書『篤姫わたくしこと一命にかけ』が発売された。史実を基に、13代将軍家定の御台所となった篤姫が幕末の混乱期をいかに生き抜いたかを考える。優しい語り口でわかりやすく解説。過去のテレビドラマの話題も登場し、共感を呼ぶ内容になっている。タイトルは江戸城総攻撃の危機が迫るなか、篤姫が官軍の前線司令官に送った嘆願書の言葉から。命に代えてまでも、嫁いだ徳川家を守ろうとした篤姫の姿に注目した。「家を守る」という決して現代的ではない生き方に、嫁姑問題が絡み合う。篤姫が、14代将軍家茂の正室となった和宮との関係に悩みながらも、ともに婚家を守った姿に今も通じる意義を見出し、対立関係だけが強調される嫁姑関係を見直すことを提案する。過去に放送されたドラマ「大奥」や宮尾登美子著の原作を例に出して説明しており、歴史になじみのない人でも親しみやすい。大河ドラマのヒロイン像への理解が深まり、興味がわいてくる。

画像はありません NHK かごしま歴史散歩

原口 泉【著】、NHK鹿児島放送局【編】
日本放送出版協会(1986-05-30出版)
ISBN:9784140084861
1,365円(税込)

鹿児島県の歴史 鹿児島県の歴史

原口 泉、永山修一、日隈正守、松尾千歳、皆村武一【著】
山川出版社(1999-08-25出版)
ISBN:9784634324602
1,995円(税込)

図説・薩摩の群像―鎌倉武士から幕末・維新まで時代をかけ抜けた男たち 図説・薩摩の群像―鎌倉武士から幕末・維新まで時代をかけ抜けた男たち

原口 泉【著】
学習研究社(2008-01出版)
ISBN:9784056048346
1,995円(税込)

画像はありません 幕末の薩摩―悲劇の改革者、調所笑左衛門

原口虎雄【著】
中央公論新社(1966-04出版)
ISBN:9784121001016
693円(税込)

徳川将軍家の結婚 徳川将軍家の結婚

山本博文【著】
文藝春秋(2005-12-20出版)
ISBN:9784166604807
766円(税込)

御殿女中―鳶魚江戸文庫〈17〉 御殿女中―鳶魚江戸文庫〈17〉

三田村鳶魚【著】、朝倉治彦【編】
中央公論社(1998-01-18出版)
ISBN:9784122030497
979円(税込)

海舟語録 海舟語録

勝 海舟【著】、江藤 淳、松浦 玲【編】
講談社(2004-10-10出版)
ISBN:9784061596771
1,050円(税込)

江戸人のこころ 江戸人のこころ

山本博文【著】
角川学芸出版(2007-09-30出版)
ISBN:9784047034150
1,470円(税込)

幕末の大奥―天璋院と薩摩藩 幕末の大奥―天璋院と薩摩藩

畑 尚子【著】
岩波書店(2007-12-20出版)
ISBN:9784004311096
777円(税込)

天璋院篤姫のすべて 天璋院篤姫のすべて

芳 即正【著】
新人物往来社(2007-11-15出版)
ISBN:9784404034915
2,940円(税込)

島津斉彬 島津斉彬

芳 即正【著】
吉川弘文館(1993-11-10出版)
ISBN:9784642051972
1,995円(税込)

幕末の薩摩藩主島津斉彬は、曽祖父重豪の薫陶により吸収した洋学知識と、琉球を通して知りえた外国情報により、世界に目を向けた開明的な視野で施政を行った。国政においては一橋派を支持して幕政改革を企図し、藩政においては殖産興業・富国強兵の道を進んだ。人格・識見に優れた斉彬の影響のもと、薩摩から明治維新に活躍した輝かしい人材を輩出する。

画像はありません 島津重豪

芳 即正【著】
吉川弘文館(1988-11-01出版)
ISBN:9784642051378
1,942円(税込)

画像はありません 調所広郷

芳 即正【著】
吉川弘文館(1987-05-10出版)
ISBN:9784642050814
1,896円(税込)

島津久光と明治維新―久光はなぜ討幕を決意したのか 島津久光と明治維新―久光はなぜ討幕を決意したのか

芳 即正【著】
新人物往来社(2002-12-30出版)
ISBN:9784404029959
2,940円(税込)

画像はありません 島津斉彬公伝

池田俊彦【著】
中央公論社(1994-05-10出版)
ISBN:9784122020986
998円(税込)

三百諸侯中英明第一とうたわれ、近代様式工業の導入、西郷をはじめいくたの人材抜擢、外様大名ながら国策画定への関与など、時代をはるかに超える見識をもって幕末史に偉大な足跡をしるした開明派大名の事績と人間性を、豊富な史料を駆使して描き出す。

和宮様御留 和宮様御留

有吉佐和子【著】
講談社(1981-07出版)
ISBN:9784061317024
660円(税込)

西郷隆盛〈第1巻〉 西郷隆盛〈第1巻〉

海音寺潮五郎【著】
朝日新聞社(2007-11-30出版)
ISBN:9784022503442
1,995円(税込)

没後百三十年、いまだに人気の衰えない西郷隆盛。誕生から幕末動乱期を描いた傑作史伝文学の新装版だ。史料に基づきながら豊富な知識と圧倒的な表現力で読ませる。第1巻では薩摩藩の歴史から始まり、島津斉彬と西郷の運命的な出会い、そしていよいよペリー来航と、大老・井伊直弼の登場までが描かれる。巻末で著者は西郷の伝記を書く理由を「栓ずるところは、好きだからというに尽きます。好きで好きでたまらないから、その好きであるところを世間の人々に知ってもらいたい」と語る。全体に西郷への敬愛の情がみなぎる。

西郷隆盛〈第2巻〉 西郷隆盛〈第2巻〉

海音寺潮五郎【著】
朝日新聞社(2007-11-30出版)
ISBN:9784022503459
1,995円(税込)

画像はありません 江戸城大奥列伝

海音寺潮五郎【著】
講談社(1988-11-15出版)
ISBN:9784061843240
376円(税込)

徳川家に伝わる徳川四百年の内緒話 徳川家に伝わる徳川四百年の内緒話

徳川宗英【著】
文芸春秋(2004-08-10出版)
ISBN:9784167679224
590円(税込)

大名の暮らしと食 大名の暮らしと食

江後迪子【著】
同成社(2002-11-10出版)
ISBN:9784886212603
2,730円(税込)

天璋院篤姫と幕末動乱 天璋院篤姫と幕末動乱

新人物往来社(2007-09出版)
ISBN:9784404033826
1,890円(税込)

将軍家・大名家 お姫さまの幕末維新―古写真で甦る姫君たちの面影 将軍家・大名家 お姫さまの幕末維新―古写真で甦る姫君たちの面影

新人物往来社(2007-10出版)
ISBN:9784404033857
1,890円(税込)

天璋院篤姫の生涯―篤姫をめぐる160人の群像 天璋院篤姫の生涯―篤姫をめぐる160人の群像

新人物往来社(2007-11出版)
ISBN:9784404033871
1,890円(税込)

天璋院篤姫―徳川家を護った将軍御台所 天璋院篤姫―徳川家を護った将軍御台所

徳永和喜【著】
新人物往来社(2007-12-10出版)
ISBN:9784404035073
1,890円(税込)

天璋院篤姫 天璋院篤姫

寺尾美保【著】
高城書房(2007-06出版)
ISBN:9784887771048
1,575円(税込)

幕末の尼将軍―篤姫 幕末の尼将軍―篤姫

童門冬二【著】
日本放送出版協会(2007-10-25出版)
ISBN:9784140055328
1,575円(税込)

篤姫の生涯 篤姫の生涯

宮尾登美子【著】
日本放送出版協会(2007-11-25出版)
ISBN:9784140055342
1,365円(税込)

篤姫〈前編〉 NHK大河ドラマ・ストーリー 篤姫〈前編〉 NHK大河ドラマ・ストーリー

日本放送出版協会(2007-12出版)
ISBN:9784149233475
1,050円(税込)

篤姫 NHK大河ドラマ歴史ハンドブック 篤姫 NHK大河ドラマ歴史ハンドブック

日本放送出版協会(2007-12出版)
ISBN:9784149106557
997円(税込)

画像はありません 『鹿児島県県史料 斉彬公史料 全4巻』

鹿児島県

画像はありません 定本 江戸城大奥

永島今四郎、太田贇雄【編】
新人物往来社(1995-01-15出版)
ISBN:9784404021717
5,096円(税込)



■場所 紀伊國屋書店新宿本店 5Fカウンター前
■会期 2008年2月1日(金)〜2月29日(金)
■お問合せ 紀伊國屋書店新宿本店 03-3354-0131

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