| 【戦争と人間そして非戦―山室信一氏選】 (No.278 2009. 8.18配信号) |
8月は終戦の日・原爆記念日などがあり、メディアで戦争が大きくとりあげられます。一方、私たちはそれを当然のことに感じ、戦争の本当の意味を顧みなくなっているのではないでしょうか。 今回のe-Alert Plus!では、京都大学 人文科学研究所・山室信一氏が、戦争体験を再考し、咀嚼するために選んだ本をお届けします。ぜひご確認ください。 ◇◆INDEX◆◇ 1.山室信一氏エッセイ―「戦争と人間そして非戦」 2.戦争の体験を今に受けつぐために 3.山室信一氏 その他の著作より 4.関連ブックフェアのご紹介 新宿本店5階「じんぶんや」 第五十三講 山室信一選 ― 戦争と人間そして非戦 ※紀伊國屋書店新宿本店5階「じんぶんや」第五十三講「山室信一選 ― 戦争と人間そして非戦」での選書を再構成しております。 全体をご覧になりたい方は、以下をご覧ください。 ⇒ http://bookweb.kinokuniya.jp/bookfair/prpjn531.html |
1.山室信一氏エッセイ―「戦争と人間そして非戦」 |
■山室信一氏プロフィール 1951年、熊本市生まれ。東京大学法学部卒業。衆議院法制局参事、東京大学社会科学研究所助手、東北大学助教授などを経て、京都大学人文科学研究所教授(法政思想連鎖史)。 8月になるとメディアにおいても戦争や原爆などをテーマに取り上げることが慣例となってきました。そのように単なる年中行事となっていることに違和感を覚え、惰性となっていることに倦んでしまい、却って戦争という今も絶えることのない事態から目をそむさせることになっていることも否定できない事実のようです。 しかし、世代の問題かもしれませんが、私自身は小学生の頃から、夏になれば戦争に係わるものを半ば慣習のように手に取ってきました。そして、1980年代からはアジア各地の戦跡や博物館を巡る旅を続けてきました。日本から数千キロも離れた灼熱のジャングルのなかに立つとき、故地で平穏な生活を送っていた人たちがなぜ一面識もなかった人と殺し合い、憎み合うことを強要されなければならなかったかという疑念をぬぐい去ることができません。 その想いを反芻しながら今夏もまた戦争に係わる本を手にすることだけが私個人にできることなのですが、今回はいつも読まれる本の他に是非一冊でも加えて戴きたいと願う著作を選んでみました。 私自身、直接的には戦争の体験も記憶もなく、ただ傷痍軍人の人たちの姿や占領軍の兵舎などを目にした記憶から戦争を想像することしかできません。 しかし、それだからこそ戦後64年を経て戦後生まれが8割近くになった中で体験してはならない殺傷行為としての戦争を、体験のない世代がいかに受け継ぎ伝えていくのか、という問題がさらに深く考えなければならない段階に入っているようにも思われます。 他方、矛盾するようですが、私が生まれてきて以来、日本が直接に参戦していないにせよ、世界のどこかで絶えることのなかった戦争について、どのように対処していくべきなのか、それを知らせる任務を担うのは誰なのか、を考えることも忘れてはならないはずです。 現代の戦争では、死者の9割は一般の市民になっています。戦争とは決して兵士だけの問題ではないのです。そして、日本では来年5月には、いわゆる「憲法改正に関する国民投票法」が施行されますから、第9条をはじめとする憲法のあり方を国際的な視点から構想していくことが要請されてきます。 人々は兵士としてまたジャーナリストやその家族として、戦争といかに関わってきたのか、また植民地を含む無辜の人々にとって戦争とは戦後とは何だったのか、そして今後の国際社会のなかで日本が果たしうる役割とは、いかなるものなのか・・・等々のことを考える際に、私にとって有益であった本を挙げてみましたが、その中の1冊でも平和構築国家としての日本の行く末を見定め考えて戴くための手がかりになることを祈念してやみません。 |
2.戦争の体験を今に受けつぐために |
★★から始まる文章は、山室信一氏のものです。 |
【1】 | 憲法9条の思想水脈 (朝日選書) | |
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山室信一【著】 2007/06 (朝日新聞社) 標準価格:税込\1,365 ISBN:9784022599230 |
★8月6日、麻生首相は広島で「恒久平和の実現に向けて国際社会の先頭に立つ」と表明し、同時にアメリカの「核の傘」の必要性も強調した。 日本では幕末以降、平和希求の思想が絶えず現れてきた。憲法9条は戦後突然生まれたものではない。その脈々たる流れを世界史的な観点で現代まで丹念にたどる本書は、オバマのプラハ演説を機に日本人が21世紀の世界平和を考える際の最適のテキストになるだろう。 第11回司馬遼太郎賞受賞。(朝日新聞出版 岡恵里) |
【2】 | 世代を超えて語り継ぎたい戦争文学 | |
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澤地久枝 / 佐高信【著】 2009/06 (岩波書店) 標準価格:税込\1,785 ISBN:9784000236843 |
★★自らも手練れの歴史の語り部である二人が、編集者としてまた調査助手として親炙した作家の素顔に触れながら、現時点で戦争文学を読むこと、そして語り継ぐことの意義を語る。それ自体が貴重な歴史的証言となっているが、平易で優れた読書案内として何よりも有用である。 できれば、日本が軍備強化をすべきだと考えられる方にこそ、自らが兵士として見も知らない人に銃を放つ場面を想像しながら読んで戴きたい。(山室) |
【3】 | 戦争の日本近現代史―東大式レッスン!征韓論から太平洋戦争まで (講談社現代新書) | |
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加藤陽子【著】 2002/03 (講談社) 標準価格:税込\798 ISBN:9784061495999 |
★★1945年までの日本は、日清戦争以後、ほぼ10年ごとに戦争を繰り返してきたが、なぜそうしたスパイラルに入りこんでしまったのか、なぜ日本人の意識や政策決定者において戦争が肯定されたのかを簡潔・明快に分析した著作。 読み物主義の昭和史が流行るなかでどれを信頼すべきか不安な方、そして戦争について書かれた専門研究書があまりにも多すぎて、どこから入っていけばいいのか惑われている方には良き指針となるはずの一冊。(山室) |
【4】 | 昭和陸軍の研究〈上〉 (朝日文庫) | |
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保阪正康【著】 2006/02 (朝日新聞社) 標準価格:税込\1,260 ISBN:9784022615008 |
昭和陸軍の研究〈下〉 (朝日文庫) | ||
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保阪正康【著】 2006/02 (朝日新聞社) 標準価格:税込\1,260 ISBN:9784022615015 |
★★研究と銘打たれた大部の本であるために躊躇されかねないが、叙述はあくまで日本陸軍を主軸に据えて描かれた昭和史であり、インタビューなどの着実な手順を踏んだうえで、なぜ日本において「戦争」という政治的選択がなされざるをえなかったのかを問い質す姿勢が貫かれている。靖国問題などにも影を落とす旧軍組織や遺族が戦後社会において果たした意義についても追及されている。(山室) |
【5】 | 日本軍のインテリジェンス―なぜ情報が活かされないのか (講談社選書メチエ) | |
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小谷賢【著】 2007/04 (講談社) 標準価格:税込\1,680 ISBN:9784062583862 |
★★旧日本軍の組織や意識における欠陥や問題点については、多くの指摘がなされてきた。本書では情報の収集・分析・利用に関するインテリジェンスについて、それが政策や戦略の決定にどのように組み込まれ、あるいはなぜ活かされなかったのかを冷静に分析している。情報と戦争、さらには日本のあらゆる組織における情報への関わり方を考える際にも示唆に富む。(山室) |
【6】 | ボクの満州―漫画家たちの敗戦体験 | |
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中国引揚げ漫画家の会【編】 / 赤塚不二夫 / 上田トシコ / 北見けんいち / 高井研一郎 / ちばてつや【ほか著】 1995/07 (亜紀書房) 標準価格:税込\1,580 ISBN:9784750595245 |
★★赤塚不二夫、ちばてつや、北見けんいち、上田トシコ、森田拳次、高井 研一郎などの満洲に生活していた漫画家たちが、敗戦から引き揚げに至る日々を少年・少女の目で見た記憶を描き出した画文集。 その悲惨な体験の中から、逆に赤塚の「これでいいのだ」という柔軟で不屈の精神が育まれたことなど、人間の生命力が逆境において横溢することにも感動する。(山室) |
【7】 | 収容所(ラーゲリ)から来た遺書 (文春文庫) | |
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辺見じゅん【著】 1992/06 (文芸春秋) 標準価格:税込\530 ISBN:9784167342036 |
★★60万人にも及ぶ不法なシベリヤ抑留。そこは戦場とはまた異なった意味で生死の境が、どちらに転ぶかわからない修羅場でもあった。その中で人々は落命を強いられる不条理に抗いつつ、ダモイ(帰国)だけを希望に生きた。しかし、7万人に近い人が異国の土となった。 その中の一人の遺書を送り届けることで戦後を生きた人たちの足跡を辿ることによって、戦争と戦後処理の「無情」と収容所で奪われた生の証を忘れまいとする人たちの「有情」を伝えている。(山室) |
【8】 | 香月泰男 一瞬一生の画集 (アートセレクション) | |
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香月婦美子【監修】 2004/03 (小学館) 標準価格:税込\1,995 ISBN:9784096070185 |
★★シベリヤ抑留から帰って、多くの人々がその体験や記憶を絵画に描いてきた。抑留者は過酷な記憶だけしか持ち帰れなかったからである。その中で「一瞬に一生をかけることがある。一生が一瞬に思える時があるだろう」と書いた香月は、その一瞬の意味を一生の時間をかけて可視化していったが、それを可能としたのは妻・婦美子さんや家族の情愛と故郷の風土であったことが胸に迫る。 宮崎静夫『絵を描く俘虜』(石風社)も忘れられない一冊。(山室) ※関連書 |
絵を描く俘虜 | ||
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宮崎静夫【著】 1999/07 ((福岡)石風社) 標準価格:税込\2,100 ISBN:9784883440436 |
【9】 | 戦場―二人のピュリツァー賞カメラマン | |
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共同通信社【編】 / 沢田教一 / 酒井淑夫【写真】 2002/03 (共同通信社) 標準価格:税込\2,100 ISBN:9784764105041 |
★★私たちが戦争の恐怖を「実感」し、戦争を否定するのは、戦争の全貌を知ることにおいてではない。一枚の写真が、人々に戦争への疑問と怒りを噴き出させることを私たちはベトナム戦争で知った。その写真の威力を知らしめたのが、澤田教一であり、酒井淑夫であり、一ノ瀬泰造らであった。その命をかけた営みが今の私たちに何を伝えるのか、頁を開いて静かに直視していきたい。(山室) |
【10】 | 新聞と戦争 | |
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朝日新聞「新聞と戦争」取材班【著】 2008/06 (朝日新聞出版) 標準価格:税込\2,415 ISBN:9784022504425 |
★★新聞は権力を規制する第4の権力としての任務と社会の木鐸として国民世論を形成する職責を負っていたはずである。しかし、なぜ、新聞はその本来の任務を果たさず、戦争煽動の機関と化したのか、自らの過去を直視するという、当然に行われるべくして看過されてきたことへの自省のうえに、その報道の時点に立ち帰って検証した自己点検の書。 過去に目をつむっても過去は消え去ることはなく、過去に目を向けることで現在と明日の立ち位置が見えてくる。(山室) |
【11】 | 戦争責任論―現代史からの問い (岩波現代文庫) | |
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荒井信一【著】 2005/06 (岩波書店) 標準価格:税込\1,260 ISBN:9784006001469 |
★★第一次大戦後に初めて提起された戦争責任論は、戦争違法化の流れとともに人々の戦争観に転換をもたらすはずであった。しかし、日本の指導者層にとっては、それが強く意識されることはなかった。そのことが昭和期の戦争を日本人が19世紀の観念で対処した大きな要因になったのではないか、という問いをもって書かれた本書は、ほとんどの日本人にとって意識されることの少ない第一次世界大戦の歴史的意味に目を向けさせてくれる。(山室) |
【12】 | キムはなぜ裁かれたのか―朝鮮人BC級戦犯の軌跡 (朝日選書) | |
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内海愛子【著】 2008/10 (朝日新聞出版) 標準価格:税込\1,575 ISBN:9784022599483 |
★★日本の戦争は日本人のみによって遂行されたわけではなく、植民地の人々も軍人・軍属として、また慰安婦として動員された。そして、捕虜虐待の罪を科せられた旧植民地の人々は、戦後もかつて日本人であったがゆえに罪に問われ、他方、もはや日本人でないがゆえに補償の対象として認められることはなかった。 BC級戦犯において加害と被害の双面性が交錯するのなかに、植民地と戦争の「二重のくびき」を負った朝鮮人軍属たちの宿業が描き出されている。(山室) |
【13】 | 検証 戦争責任〈上〉 (中公文庫) | |
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読売新聞戦争責任検証委員会【著】 2009/06 (中央公論新社) 標準価格:税込\599 ISBN:9784122051614 |
検証 戦争責任〈下〉 (中公文庫) | ||
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読売新聞戦争責任検証委員会【著】 2009/07 (中央公論新社) 標準価格:税込\660 ISBN:9784122051775 |
★★混乱をきわめる靖国問題の根源には、日本人自身がA級戦犯について検証を怠ってきたために戦争責任についての基本的な認識をもてないことがあるのではないか、という視点から満州事変以後の日本の歩みを再検証し、責任を総括している。 ここからは、史実に忠実であれば歴史観の如何に拘わらず、一定の結論が導き出されることが確認される。ただ、最終的には一部の軍部や政治家の責任だけを問う、という結論になってしまっていることについては異論もありうるだろう。(山室) |
【14】 | 朝日新聞の秘蔵写真が語る戦争 | |
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朝日新聞社「写真が語る戦争」取材班【著】 2009/04 (朝日新聞出版) 標準価格:税込\1,890 ISBN:9784023304222 |
★★朝日新聞大阪本社に眠っていた7万点の写真や読者から提供された写真のなかから厳選された写真が撮られた現場を記者が再訪し、そこに隠されていた真実や秘話を発掘することによって過去と現在とを合わせ鏡のなかに読み解こうとする試みの集成。 張作霖爆殺直後のスクープ写真や検閲によって掲載不許可となった写真、そして植民地や戦場の日常的な風景などからは、写真がもつ一瞬を永久に変える威力と魅力、そして人を惑わせる魔力の意味が伝わってくる。(山室) |
【15】 | レンズに映った昭和 (集英社新書) | |
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江成常夫【著】 2005/04 (集英社) 標準価格:税込\714 ISBN:9784087202885 |
★★フリーのカメラマンとして、戦争花嫁や中国に取り残された戦争孤児、ヒロシマのヒバクシャなどの忘れてはならない過去や忘却を強いられている戦後などを対象に、大病と闘うなかでもレンズの向こうにある被写体との対話を絶やさなかった人の歩みの記録。 この驚異的なまでに持続する意志の底には、終わりなき「負の昭和」と対峙しつづけることだけが、昭和という時代に生をうけた写真家の天命であるとの揺るぎなき確信と強靱なプロ意識が息づいている。(山室) |
【16】 | 戦争の記憶を歩く 東南アジアのいま | |
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早瀬晋三【著】 2007/03 (岩波書店) 標準価格:税込\2,415 ISBN:9784000236676 |
★★東南アジア歴史研究の最前線を疾走している著者が、今に遺る過去の記憶や戦跡そして新たに建てられた記念碑や博物館などの実態を自らの足と目で確認するために続けた旅の丹念な報告書。 この空間と時間と共に越えて旅する視線は、フィールドワークによって鍛えられ、現実への旺盛な関心に裏打ちされている。東南アジアでは日本の戦争のことなど忘れているといった言説が、何ら根拠のない、ためにする議論にすぎないことを本書は何よりも如実に示している。(山室) |
【17】 | 戦争を論ずる―正戦のモラル・リアリティ | |
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ウォルツァー,マイケル【著】〈Walzer,Michael〉 / 駒村圭吾 / 鈴木正彦 / 松元雅和【訳】 2008/04 (風行社) 標準価格:税込\2,940 ISBN:9784938662820 |
★★著者は、大量虐殺や暴虐な専制者や核兵器の拡散などによって蝕まれた世界において武力行使をいかなる場合においても拒絶することは、不正への降伏であると説く。その意味で絶対的非戦論に反対するが、そうした立場に立つからこそ、あらゆる戦争を同列に扱うのではなく、一つ一つの戦争行為の根拠と意味を厳密に問い詰めていくことを自らに課す。 筆者の議論に賛成するか反対するか、それを自問自答していくことで私達の戦争観も鍛えられていくはずである。(山室) |
【18】 | グローバリゼーションと人間の安全保障 | |
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セン,アマルティア【著】〈Sen,Amartya〉 / 山脇直司【解題】 / 加藤幹雄【訳】 2009/02 (日本経団連出版) 標準価格:税込\1,890 ISBN:9784818528406 |
★★平和的生存権を前文に掲げた日本国憲法は、全世界の人々が「ひとしく恐怖と欠乏から免れ」ることを目標に掲げている。そして、平和とは単に戦争がない状態というだけでなく、すべての人々が自らの生存と尊厳を確実に手にすることによって達成されると説く人間の安全保障論は、日本が国連において賛同した議論でもあった。それをいかに実現していくのか、経済学者センの冷静な議論に耳を傾けたい。 目標のないところには希望も方策も生まれない。(山室) |
【19】 | 世界政治―進歩と限界 | |
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メイヨール,ジェームズ【著】〈Mayall,James〉 / 田所昌幸【訳】 2009/03 (勁草書房) 標準価格:税込\2,625 ISBN:9784326351459 |
★★戦争がもう一つの手段をもってする政治であるとするならば、世界政治を動かしている民主主義やナショナリズムなどの要因や、主権と国際法などのシステムがいかなる変容を遂げてきているのかを知ることが不可欠となる。 本書は、ゲーム論などによらずに、深い古典的教養を基盤にした人間観察と国際政治史の蘊蓄をもとに世界政治の流れを示して含蓄に富む。また、訳者による国際政治に関する文献案内も有益である。(山室) |
【20】 | 日露戦争の世紀 (岩波新書) 連鎖視点から見る日本と世界 | |
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山室信一 2005/07 (岩波書店) 標準価格:税込\819 ISBN:9784004309581 |
★★最後に拙著で恐縮ながら、日本の近現代史は世界との繋がりのなかでしか理解することはできないという意味での連鎖視点を提起し、その適用を試みた新書を挙げさせて戴く。 もちろん、ある視点を提示することは、逆にそこから排除してしまう領域を生むことになるが、東アジア的な冊封・朝貢体制と国際法体系との相克のなかで生じた戦争とそれに対抗する思索と運動のなかで発せられた非戦論の連鎖の意味について考えて戴くための一助となれば幸いである。(山室) |
3.山室信一氏 その他の著作より |
【1】 | 明六雑誌 (岩波文庫) 上 | |
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山室信一 / 中野目徹 1999/05 (岩波書店) 標準価格:税込\903 ISBN:9784003313015 |
明六雑誌〈中〉 (岩波文庫) | ||
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山室信一 / 中野目徹【校注】 2008/06 (岩波書店) 標準価格:税込\987 ISBN:9784003313022 |
明六雑誌(下) (岩波文庫 青130−3) | ||
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山室信一【校注】 / 中野目徹【校注】 2009/08 (岩波書店) 標準価格:税込\1,050 ISBN:9784003313039 |
★森有礼26歳、福沢諭吉39歳、加藤弘之37歳、西周44歳…。明治7年に創刊された『明六雑誌』は、近代日本における最初の総合学術雑誌であり、政治・経済から男女平等論まで、様々なテーマがそこで議論されている。 全三巻で、同誌に発表された全論文154篇を収録。下巻は今月刊行予定。 |
【2】 | キメラ―満洲国の肖像 (中公新書) (増補版) | |
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山室信一【著】 2004/07 (中央公論新社) 標準価格:税込\1,008 ISBN:9784121911384 |
★1932年3月、中国東北地方に忽然と出現し、わずか13年5カ月後に姿を消した国家、満洲国。今日なおその影を色濃く残す満洲国とは何だったのか。 建国の背景、国家理念、統治機構の特色を明らかにし、そこに凝縮して現れた近代日本の国家観、民族観、そしてアジア観を問い直す― |
4.関連ブックフェアのご紹介 新宿本店5階「じんぶんや」第五十三講 山室信一選 ― 戦争と人間そして非戦 |
★ 8/10より新宿本店5階にて、当テーマのフェアを開催しております。 東京近郊の方は、ぜひご来店ください。 ◇開催場所 : 紀伊國屋書店新宿本店 5階カウンター前 ◇会 期 : 2009年8月10日 〜 2009年9月13日 ◇お問合せ : 紀伊國屋書店新宿本店 03-3354-0131 http://www.kinokuniya.co.jp/04f/d03/tokyo/01.htm ※「じんぶんや」とは― 2004年9月から開始した「月替わりのテーマ、月替わりのプロの選者」をコンセプトにした、新宿本店人文書売場オリジナルの常設コーナーです。 これまでの「じんぶんや」はこちらから ⇒ http://www.kinokuniya.co.jp/04f/d03/tokyo/jinbunya/jinback.htm |
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