| 【2008年度「サントリー学芸賞」&「毎日出版文化賞」受賞作!】 (No.233 2008.11.18配信号) |
さる11月3日、2008年度サントリー学芸賞、および毎日出版文化賞が発表されました。 ここでは、このふたつの賞の本年受賞作をご紹介致します。 |
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1.★2008年度(第30回)「サントリー学芸賞」受賞図書★ |
「サントリー学芸賞」では、前年1月以降に出版された著作物を対象に選考されます。本年も「政治・経済」「芸術・文学」「社会・風俗」および「思想・歴史」の4部門に対し、8名が選ばれました。 *第30回「サントリー学芸賞」 選評・受賞理由など http://www.suntory.co.jp/news/2008/10269.html |
【政治・経済部門】 |
【1】 | アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書) | |
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![]() | 堂目卓生【著】 2008/03 (中央公論新社) 標準価格:税込\924 ISBN:9784121019363 |
★政府による市場への規制を撤廃し、競争を喚起することによって経済効率を高め、豊かで強い国を作るべきだ―「経済学の祖」アダム・スミスの『国富論』はこのようなメッセージをもつと理解されてきた。 しかし、スミスは無条件にそう論じたのであろうか。本書はスミスのもうひとつの著作『道徳感情論』に示された人間観・社会観を通して『国富論』を読み直し、社会の秩序と繁栄に関する一つの思想体系として再構築する。 |
【2】 | 江戸の知識から明治の政治へ | |
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![]() | 松田宏一郎【著】 2008/02 (ぺりかん社) 標準価格:税込\5,040 ISBN:9784831511980 |
★徳川から明治への激変期にかけて、人々は、統治者の資質と力量に対して知識と思考能力がどのように関係すると考えたのか、また、知識人たちによって、「伝統」や「日本」がどのように定義づけられ構成されていったのかを跡付ける。 |
【芸術・文学部門】 |
【1】 | 国家と音楽―伊澤修二がめざした日本近代 | |
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![]() | 奥中康人【著】 2008/03 (春秋社) 標準価格:税込\2,625 ISBN:9784393930236 |
★明治維新期、急進的に西洋音楽を輸入した日本。しかしその目的は、西洋芸術音楽を吸収し芸術音楽家を育成することではなく、中央集権国家の確立と欧米並の文明国家としてのアピールを急激に実現することにあった。 日本人が欧米のスタンダード音階(ドレミ)を歌えるようになること、有機的な国家意識をもつことなどが急務であり、恰好の教育手段として「唱歌」は使われたのである。 「唱歌」の重要性を深く認識していた東京芸術大学音楽学部の創設者伊澤修二。その生涯を通して、当時の為政者側のもくろみを知り、国家形成に果たす音楽の役割を考える。 |
【2】 | 藤田嗣治作品をひらく―旅・手仕事・日本 | |
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![]() | 林洋子【著】 2008/05 ((名古屋)名古屋大学出版会) 標準価格:税込\5,460 ISBN:9784815805883 |
★越境する創造者―。パリ、ニューヨーク、サンパウロ、北京……異文化を放浪して藤田が追い求めたものは何か。絵画にとどまらず、写真、映像、装丁、衣装にいたるまで、豊穣な創作活動を徹底検証。これまでの評伝を超え、多数の図版掲載を実現して作品から画家に迫った意欲作。 |
【社会・風俗部門】 |
【1】 | 音盤考現学 片山杜秀の本1 | |
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![]() | 片山杜秀 2008/02 (アルテスパブリッシング) 標準価格:税込\1,785 ISBN:9784903951041 |
片山杜秀の本〈2〉音盤博物誌 | ||
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![]() | 片山杜秀【著】 2008/05 ((稲城)アルテスパブリッシング) 標準価格:税込\1,995 ISBN:9784903951072 |
★政治、社会、思想、演劇、芸能…全方位に伸びる好奇心のアンテナは現代音楽になにを聴き取ったのか。音盤の博物学者・片山杜秀が渡り歩いた音楽評論の傑作・問題作。 ★第18回「吉田秀和賞」同時受賞。 |
【2】 | 磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ | |
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![]() | 平松剛【著】 2008/06 (文藝春秋) 標準価格:税込\2,299 ISBN:9784163702902 |
★85年、新宿新都庁舎コンペ(設計競技)。建築界の天皇・丹下健三に、弟子の磯崎が挑み、敗れた「幻の」都庁をめぐるノンフィクション。 著者は、過去に『光の教会――安藤忠雄の現場』で大宅壮一ノンフィクション賞も受賞しており、今回も建築界の知の巨人の思索の軌跡をていねいに辿っている。 |
【思想・歴史部門】 |
【1】 | 東京裁判 (講談社現代新書) | |
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![]() | 日暮吉延【著】 2008/01 (講談社) 標準価格:税込\1,155 ISBN:9784062879248 |
★東京裁判は「国際政治」の産物以上のものではない。イデオロギーを排し、徹底的な実証と醒めた認識で「文明の裁き」と「勝者の報復」をめぐっての不毛な論争にいまこそ終止符を打つ―。 *東京裁判については、11/11配信のe-Alert Plus!【東京裁判―判決から60年 これまでの成果と新たな動向】もご覧下さい。 http://www.kinokuniya.co.jp/03f/ealert/eA_231.html |
【2】 | 列島創世記―旧石器・縄文・弥生・古墳時代 (全集 日本の歴史〈第1巻〉) | |
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![]() | 松木武彦【著】 2007/11 (小学館) 標準価格:税込\2,520 ISBN:9784096221013 |
★文字が発達する前の社会は、「モノ」が文字の代わりだった。 「モノ」と人との相互関係に注目すれば、見慣れた土器も埴輪も刀も古墳も、みんな多彩な意味を語り出す。4万年を一気に描く、全く新しい列島文化史。 *『全集 日本の歴史』 http://www.shogakukan.co.jp/nrekishi/ |
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2.★2008年度(第62回)「毎日出版文化賞」受賞図書★ |
毎日出版文化賞は、第二次世界大戦後間もない1947年に出版文化の向上を願って創設されました。本年も、5作品が文学・芸術/人文・社会/自然科学/企画(全集、講座、辞典、事典等)の4部門・特別賞として選ばれています。 |
【文学・芸術部門】 |
【1】 | 双調平家物語〈1〉序の巻 栄花の巻(1) | |
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![]() | 橋本治【著】 1998/10 (中央公論社) 標準価格:税込\1,680 ISBN:9784124901214 |
双調平家物語〈2〉栄花の巻(1)承前 | ||
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![]() | 橋本治【著】 1999/01 (中央公論社) 標準価格:税込\1,785 ISBN:9784124901221 |
双調平家物語 (栄花の巻2) 3 | ||
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![]() | 橋本治 1999/03 (中央公論新社) 標準価格:税込\1,785 ISBN:9784124901238 |
双調平家物語〈4〉栄花の巻(3) | ||
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![]() | 橋本治【著】 1999/06 (中央公論新社) 標準価格:税込\1,680 ISBN:9784124901245 |
双調平家物語〈5〉父子の巻・保元の巻 | ||
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![]() | 橋本治【著】 1999/10 (中央公論新社) 標準価格:税込\1,785 ISBN:9784124901252 |
双調平家物語〈6〉保元の巻(承前) | ||
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![]() | 橋本治【著】 2000/06 (中央公論新社) 標準価格:税込\1,890 ISBN:9784124901269 |
双調平家物語〈7〉乱の巻 | ||
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![]() | 橋本治【著】 2000/12 (中央公論新社) 標準価格:税込\1,890 ISBN:9784124901276 |
双調平家物語 (乱の巻(承前) 平治の巻) 8 | ||
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![]() | 橋本治 2001/09 (中央公論新社) 標準価格:税込\1,890 ISBN:9784124901283 |
双調平家物語 (平治の巻(承前)) 9 | ||
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![]() | 橋本治 2002/08 (中央公論新社) 標準価格:税込\2,047 ISBN:9784124901290 |
双調平家物語 (平治の巻(承前) 平家の巻) 10 | ||
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![]() | 橋本治 2003/03 (中央公論新社) 標準価格:税込\2,205 ISBN:9784124901306 |
双調平家物語〈11〉平家の巻(承前) | ||
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![]() | 橋本治【著】 2003/12 (中央公論新社) 標準価格:税込\2,310 ISBN:9784124901313 |
双調 平家物語〈12〉治承の巻 | ||
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![]() | 橋本治【著】 2004/10 (中央公論新社) 標準価格:税込\2,310 ISBN:9784124901320 |
双調 平家物語〈13〉治承の巻2 | ||
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![]() | 橋本治【著】 2006/01 (中央公論新社) 標準価格:税込\2,415 ISBN:9784124901337 |
双調 平家物語〈14〉治承の巻2(承前)・源氏の巻 | ||
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![]() | 橋本治【著】 2006/12 (中央公論新社) 標準価格:税込\2,415 ISBN:9784124901344 |
双調平家物語 (源氏の巻(承前) 落日の巻 灌頂の巻) 15 | ||
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![]() | 橋本治 2007/10 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,360 ISBN:9784124901405 |
★「『双調 平家物語』は中国の叛臣伝と、飛鳥・平安時代の政争の歴史から書き起こした橋本流平家物語という二つの物語をふまえた全15巻からなる長篇小説・叙事詩である。平家物語はかなり著者流に読み込まれている。 発想の自由さから、木曽義仲なども運命に翻弄されるままの人物として描かれているが決して原典から離れている訳ではない。 文章が口語になっているばかりでなく、現代の感覚で読むとこうなるという見本を示していると言えよう。この二つの調べの間から、栄枯盛衰は世の常という主題が浮かび上がってくる。これは古典に圧倒されることなく創造性を確保しつつ現代に再生する手法を鮮やかに見せた作品と言うことができる」 (辻井喬氏・選評より) |
【人文・社会部門】 |
遣唐使 (岩波新書) | ||
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![]() | 東野治之【著】 2007/11 (岩波書店) 標準価格:税込\735 ISBN:9784004311041 |
★中国で、遣唐留学生「井真成」の墓誌が発見されたというニュースは、まだ耳に新しい。国家の使節として、また留学生・留学僧として海を渡った人々は何を担い、何を求め、何を得てきたのだろうか。 遣隋使と遣唐使を通時的にとらえる視点から、7、8、9世紀の約300年にわたる日本古代外交の実態と、その歴史的な意義を読み解いていく。 |
【自然科学部門】 |
黄河断流―中国巨大河川をめぐる水と環境問題 (地球研叢書) | ||
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![]() | 福嶌義宏【著】 2008/01 ((京都)昭和堂) 標準価格:税込\2,415 ISBN:9784812207758 |
★1997年、黄河には一滴の水もなく、河原では農民がただ一人立ちすくんでいた―。 中国第二の流量と流域面積を誇る黄河に、何が起こったのか? 歴史と自然、政策を統合して検証、巨大国家・中国を襲う環境問題に迫る。 |
【企画部門】 |
梵漢和対照・現代語訳 法華経〈上〉 | ||
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![]() | 植木雅俊【訳】 2008/03 (岩波書店) 標準価格:税込\5,460 ISBN:9784000247627 |
梵漢和対照・現代語訳 法華経〈下〉 | ||
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![]() | 植木雅俊【訳】 2008/03 (岩波書店) 標準価格:税込\5,460 ISBN:9784000247634 |
★経典のサンスクリット原典を、綿密な校訂作業と曖昧さを残さない正確な読解を通して、読みやすいこなれた現代語に移しかえた画期的達成。深い仏教理解に基づく詳細な注解を付した本書は、仏教の教えを学ぶ最良の書と言えよう。 |
【特別賞】 |
哲学の歴史〈第1巻〉哲学誕生―古代1 | ||
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![]() | 内山勝利【責任編集】 2008/02 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,675 ISBN:9784124035186 |
哲学の歴史〈第2巻〉帝国と賢者 古代2 | ||
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![]() | 内山勝利【編】 2007/10 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,465 ISBN:9784124035193 |
哲学の歴史〈第3巻〉神との対話―中世 信仰と知の調和 | ||
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![]() | 中川純男【責任編集】 2008/01 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,780 ISBN:9784124035209 |
哲学の歴史〈第4巻〉ルネサンス 15‐16世紀 | ||
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![]() | 伊藤博明【責任編集】 2007/05 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,360 ISBN:9784124035216 |
哲学の歴史 (デカルト革命小林道夫) 第5巻(17世紀) | ||
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![]() | 2007/12 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,780 ISBN:9784124035223 |
哲学の歴史〈第6巻〉知識・経験・啓蒙―18世紀 人間の科学に向かって | ||
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![]() | 松永澄夫【責任編集】 2007/06 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,360 ISBN:9784124035230 |
哲学の歴史〈第7巻〉理性の劇場―18‐19世紀 カントとドイツ観念論 | ||
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![]() | 加藤尚武【責任編集】 2007/07 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,570 ISBN:9784124035247 |
哲学の歴史 (社会の哲学伊藤邦武) 第8巻(18−20世紀) | ||
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![]() | 2007/11 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,675 ISBN:9784124035254 |
哲学の歴史〈第9巻〉反哲学と世紀末 19‐20世紀 マルクス・ニーチェ・フロイト | ||
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![]() | 須藤訓任【責任編集】 2007/08 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,675 ISBN:9784124035261 |
哲学の歴史〈10〉危機の時代の哲学―20世紀1 | ||
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![]() | 野家啓一【責任編集】 2008/03 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,675 ISBN:9784124035278 |
哲学の歴史〈第11巻〉論理・数学・言語 20世紀2 | ||
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![]() | 飯田隆【責任編集】 2007/04 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,360 ISBN:9784124035285 |
哲学の歴史〈第12巻〉実存・構造・他者 20世紀3 | ||
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![]() | 鷲田清一【編】 2008/04 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,885 ISBN:9784124035292 |
哲学の歴史〈別巻〉哲学と哲学史 | ||
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![]() | 中央公論新社編集部【編】 2008/08 (中央公論新社) 標準価格:税込\3,675 ISBN:9784124035308 |
★「中央公論新社刊『哲学の歴史』は、日本で最初の本格的な「哲学通史」である。そこでは、人類の叡智の歴史という途方もないドラマが、手に汗握るスペクタクルとして展開されている。 哲学研究の最高水準が結集されていながら、無用に専門的なアカデミズム臭を廃し、一般読者にも容易にアクセス可能な仕掛けが随所に凝らされたこの企画は、読書界に幅広く支持された。本賞によって顕彰されるにふさわしい優れた出版物と思う」 (松浦寿輝氏・選評より) *『哲学の歴史 全12巻+別巻1』 http://www.chuko.co.jp/zenshu/tetsugaku/ |
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