1518年、ヘンリー8世によって設立された英国王立内科医協会（Royal College of Physicians）は、より厳密な医療ガイドラインの必要性に応えるべく設立されました。当時、多くの医療従事者が正式な訓練、知識を習得しないまま実務に携わっており、 適切な技術を備えた医療従事者が正式な資格を与えられ、資格を持たないままに医療に従事した場合は、処罰の対象となるべきであるという協会の規範設立が急務となっていました。 　　　　　　

英国王立内科医協会は、英国最古の歴史を持つ医学協会であるのみならず、世界の医学コミュニティにおける最も重要な機関とみなされてきました。数世紀にわたり、同協会は日々の公衆衛生上の課題に取り組む一方で、医療規格を設定し、促進するという極めて重要な役割を担い続けてきました。今日、同協会はよりよい健康管理をめざし、病気を減らし、促進する一方で、診断技術の向上、患者のケア、世界人口の保健への進歩を促す使命を追及しています。

2018年に英国王立内科医協会は創設500周年を迎えました。 5世紀におよぶ歴史の中で、協会会員が遺してきた研究の成果を記録したユニークな一次資料コレクションは、今日までその大部分が現地でのみ閲覧が可能な状態となっていました。整理・電子化は不可能に近いとされてきたこれらの資料を会員および研究現場に広く公開すべく、英国王立内科医協会はWileyと提携し、Wiley Digital Archivesとしてそのコレクションを電子化・保存し、世界中の研究者にアクセスする機会を提供することになりました。 　　　　

本コレクションには5世紀におよぶ医学の進歩を形成してきた膨大な範囲・量の一次資料が含まれています。これらの資料をOCR処理により全文検索を可能にし（手書部分を除く）、手稿に関しても人名、地名、日付情報を索引化することで、検索の利便性を高めました。さらに検索結果の視覚化・分析機能、拡張メタデータと索引等、批判的な視点からの研究活動を容易にするためにデザインされたプラットフォームでご提供します。 未知の歴史的文脈において新たな側面から研究を活性化させ、現在の研究を批判的に解釈する機会を提供し、新たな発見へと駆り立てます。

• 収録年代：
  
  1494〜1974年（協会創設は1518年ですが、それ以前の協会のルーツまで遡ります。
  
  
• ファイルの種類：
  
  書籍、証書、勅許、法規、私的文書、質問票、委員会記録、図版、スケッチ、描画、医学教科書、書簡、日誌、会議録、内部マニュアル、地図、治療記録　他多数
  
  
• 学際的な研究を支援する多彩な分野：
  
  医学史、非西洋医学、中世・初期近代の病気／治療、初期の医学教科書、英国王立内科医協会史、解剖学、規制、法、政策、統制、国際保健、公衆衛生／通常疾患、中世・初期近代医学、ワクチン接種、軍事医学　他多数
  
  

• ハイライト・コンテンツ
  
  • Studies of John Dee

    John Dee (1527-1608/09)は、ルネサンス時代の著名な科学者で、エリザベス1世の相談役でもありました。彼の研究は数学、科学から魔術、占星術まで広範囲に亘りました。本コレクションは、最先端のスキャニング技術を用い、フルカラーでジョン・ディー・コレクションを提供します。

  • William Harvey Studies

    William Harvey (1578-1657)は、王立内科医協会の特別研究員として「実験により自然の秘密を調査し見つけ出す」よう仲間を鼓舞しました。彼が提唱した、血液は心臓から出て体を巡るという血液循環説は、観察による実証のもとに打ち立てられた科学分野における努力の遺産です。　

  • Women in Medicine

    医学分野における女性史は、ジェンダーの平等における挑戦、障害、そして達成の繰り返しでした。米国初の女性医師Elizabeth Blackwell (1821-1910)や英国初の女性医師Elizabeth Garrett Anderson (1836-1917)のような著名なパイオニアを含む、あらゆる女性が医学分野において直面した障壁は、英国王立内科医協会アーカイブのいたるところに見受けられます。

  　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

• 主な医師・医学者関連コレクション
  
  • Allchin, William Henry（1844 - 1903）

    英国の医師ならびに比較解剖学、生理学、病理学の講師William Henry Allchinの講義ノート。

  • Bagshawe, Arthur William Garrard（1980-1909）

    アフリカ睡眠病局（Sleeping Sickness Bureau）局長Bagshawe、ドイツの生化学者Paul Ehrlich、英国の寄生虫学者Patrick Mansonの間で交わされた書簡。局の業務やアフリカ睡眠病についてとりあげています。

  • Baillie, Matthew（1790 - 1799, 1854）

    英国の医師、病理学者Matthew Baillie関連文書。聖ジョージ病院での症例記録（1790年、製本版）、「人体の最重要部の病理解剖学」（1793年、本人の署名、修正点の付記入）、Bailleの著作に図版をつけたWilliam Cliftの原画（鉛筆画、水彩着色）、「図解　人体の最重要部の病理解剖学」（A Series of Engravings Tending to Illustrate the Morbid Anatomy of Some of the Most Important Parts of the Human Body）の銅板、Baillieの自伝的メモの逐語記録（息子のWilliam Hunter Baillieの書簡付）、Cliftの図版のモノクロ写真。

  • Baly, William And Family（1807-1878）

    英国の医師William Balyと父母姉妹の書簡。家族間で交わされたものの他、友人や家族がBalyの生活やキャリアに言及した書簡も含みます。その他、Balyの職業に言及した文書やメモ、ロンドン、フランス、ドイツで過ごした学生時代、一般開業医見習い任命、女王付特別医師への任命などの各種任命書、肖像、写真、訃報、バリー記念財団（Baly Memorial Fund）関連資料、家系図など。

  • Bateman, Thomas（1792 - c.1817）

    著書「皮膚病の描写」（Delineations of Cutaneous Diseases...）の手稿の写し（1817年頃、図版付）、皮膚疾患に関する製本版の水彩図版（Bateman他、100点強）、書簡（John Winslow MaydがBatemanにあてたものなど）、メモ、疾病リスト、Bateman直筆の手稿など。

  • Brain, Walter Russell（1865 - 1977）

    神経内科医Walter Russel Brain関連文書。症例記録付文書、Brainの哲学、文学的な嗜好に関する文書、家族関連の文書等、公私両面の文書を含みます。

  • Bright, Richard（[1822] - [1839]）

    腎臓病研究の先駆者、英国の医学者Richard Bright関連文書。著書「病理解剖学に基づく症例報告選」（Reports on Medical Cases, Selected with a View to Illustrate the Symptoms and Cure of Diseases by Reference to Morbid Anatomy）に使われた300年頃の水彩解剖図や、未刊の病理学的図版を含み、図版の多くがFrederick Richard SayとC.L. Cantonによるものです。その他、症例報告、手稿など。

  • Broadbent, William Henry, Sir（1886 - 1907）

    英国の神経内科医で神経学、心臓学における権威だったWilliam Broadbent関連文書。ジョージ王子（のちのジョージ5世）の病に関するメモや書簡、パリの病院視察旅行関連文書、アルバート・エドワード王子（のちのエドワード7世）、英国の外科医Joseph Lister、コノート公等から送られた書簡、Broadbentに関する新聞記事の切り抜き、訃報など。

  • Brown-Sequard, Charles Edouard and Family（1787-1963）

    ブラウン・セカール症候群を発表したモーリシャスの生理学者・神経学者Charles Edouard Brown-Sequard関連文書。書簡や公私文書。家族との書簡、生物学者Thomas Huxley、自然科学者Charles Darwin、細菌学者Louis Pasteur等の著名人とかわした書簡、詩や文学的なメモ、任命書、受賞関連、講義録、Brownが執筆した記事、彼の業績に関する新聞記事の切り抜き、医学関連の記事、症例報告、処方箋、写真、漫画、訃報・評伝記事、家族関連文書など。

  • Bruce, John Mitchell（1881）

    英国の病理学者、生理学者John Mitchell Bruceがディズレーリ元英相の死病に言及した書簡およびメモ。

  • Burges, John（1769 - c.1790s）

    英国の聖職者、医師John Burges関連文書。症例記録、"St George's Pharmacopoeia"の複製（Burgesの注釈付）、メモ、講義メモ（薬物学、油圧システム、化学システム他）など。

  • Colebrook, George（1650 - 1716）

    講義録、疾病関連の論文など。

  • Drewitt, Frederick George Dawtrey（1876 - 1881）

    医学、鳥類学、動物学研究家Frederick Dawtrey Drewitt関連文書。咽頭ジフテリア、壊血病、くる病、天然痘他の症例など病理学関連の図版（水彩、鉛筆によるスケッチ）を含みます。

  • Farre, Frederic John（[1883]）

    英国の医師Frederic John Farreの手による王立内科医協会の未刊行の歴史記録。描画のスクラップブック、地図、写真、メモなども含みます。

  • Ferguson, Robert（1821-1864）

    ヴィクトリア女王付医師Robert Ferguson関連文書。産科、婦人科関連のメモ（図、スケッチ、水彩描画入りで症例を参照したものも含みます）。幼児の疾病や生理学等の一般診療等、様々な医学関連のメモ（水彩描画入りで症例を参照）。ナポレオン3世に関する書簡やメモも含みます。その他、講義メモ、哲学、文学関連メモ、学生向けの文章、日記など。

  • Ferrier, David（1873 - 1913 (1873 - 1883; 1906; 1913）

    英国の神経学者、倫理学者David Ferrier関連文書。実験ノート（大脳皮質関連、スケッチ、写真付など）脊髄癆の性質や生理学、脳脊髄液関連の草稿等。

  • Fox, Henry Richard Vassall（1806 - 1819）

    英国の貴族Henry Richard Vassall Fox関連文書。叔父であるホイッグ党指導者Charles James Foxおよび彼の家族の病と死に関する書簡を含みます。

  • Gee, Samuel Jones（1860 - 1904）

    古くから知られていたセリアック病（Gee症候群）を再紹介した英国の医師関連文書。医学関連のノート（索引付）、聖バーソロミュー病院の臨床実習リスト、"Caelius Aurelianus, Swift Passion Books I-III"のGeeによる翻訳手稿など。

  • George III, King Of Great Britain And Ireland（1788 - 1886）

    ジョージ3世の精神疾患に関する書簡および文書。

  • Goodhall, Edward Wilberforce（1895 - 1936）

    大部分が第一次世界大戦中のチフス関連の文書。

  • Greenhill, William Alexander（1839 - 1894）

    英国の医師William Alexander Greenhill関連文書。主に医学関連の人物関連の書簡と文書。

  • Halford, Henry（1767 - 1843）

    英国の王室付医師Henry Halford関連文書。ノート、処方箋、備忘録、講義メモ、大学での講義他文書、"Moore's Almanack"の写し、葉書他。

  • Hamey, Baldwin（1611 - c.1660）

    英国の医師Baldwin Hamey関連文書。Caspar Bartholin著「人体解剖学教程」（Anatomicae Institutiones Corporis Humani）の写し（Hameyの書込入）、見習い時代の医学関連のメモ、17世紀中葉の「薬局方」の訂正示唆他。

  • Heberden, William（c.1744 - [1784]）

    狭心症を命名したイギリスの内科医William Heberden関連文書。著書"Commentaries on the History and Cure of Diseases"のラテン語原本と思われる資料（1782年）や、"An Introduction to the Study of Physic"（1744-1755年頃）、"Preliminary Observations"（1782年頃）の手書きの写し等。

  • Hutchinson, Jonathan（1889 - 1906）

    イギリスの外科医、病理学者で先天梅毒研究の先駆者Jonathan Hutchinson関連文書。著書"Archives of Surgery"（1889-1900）献呈版（Jonathanの手書きの注釈付）。同書で症例が取り上げられている患者からの手紙が挿入されています。

  • Jackson, John Hughlings（1868 - 1898）

    イギリスの神経医で、幅広い領域で業績を残し、英国神経学の父と仰がれるJohn Hughlings Jackson関連文書。タイプ打ちの文書、限られた範囲で配布されたパンフレット、未発表の文書の断片。

  • Jenner, Edward（1787 - 1806）

    近代免疫学の父と呼ばれるイギリスの医学者Edward Jenner関連文書。1787年から1806年にかけての日記。カッコウの観察やその他の鳥類や家畜の詳細な分析を含みます。

  • Lawrence, Thomas（c.1750 - 1766）

    英国の医師Lawrence, Thomas関連文書。1767年に王立内科医協会の会長に就任。医師Frank Nicholls著"Compendium Anatomicum"（1750年頃）の講義メモ、Lawrence自身による病理および治療に関する概説や講義（1750年頃）、王立内科医協会で行われた消化に関する講義（1750年頃）王立内科医協会で行われた炎症、肝臓、腎臓に関する講義、著名な辞書編集者Samuel Johnsonによる校正入りの、生理学に関する未刊行の手稿"De Natura Animali"など。

  • Milroy, Gavin（1870 - 1885）

    スコットランドの医師Gavan Milroy関連文書。Milroyと植民地省の間で交わされた報告書や書簡。ハンセン氏病、特にその触染、具体的には西インド諸島におけるLouis Daniel Beauperthuysのハンセン氏病の治療に関する調査をとりあげています。

  • Munk, William（1849 - 1922）

    英国の医師William Munk関連文書。Benjamin Hutchinson著"Biographia Medica"の写しにMunkが新たな人物情報を付記したもの（著書"Roll of the Royal College of Physicians"の基礎となったとされる）、Munk著"Biographia Medica Devoniensis"の手書きの写し（1860年頃、人物情報50点を含む）、"Notae Breves ad Medicina Praxin Praecipue Pertinentes"と題されたノート（1889-1891年頃、主に処方で構成）、王立内科医協会の歴史に関連する資料。Munkの手によるタイプ打ちの原稿の写し、新聞の切り抜き、メモ、処方、評伝情報など。

  • Murchison, Charles（1863 - 1874）

    英国の医師Murchison関連文書。1873年の腸チフスの流行に関する新聞の切り抜き、書簡。発熱、コレラ、ペスト、牛疫に関する新聞の切り抜き、書簡等。

  • Ogle, John William（1782 - 1975）

    英国人医師William Ogleの書簡と文書。王立内科医協会の監査官を務め、毎年同協会で行われるハーヴェイ記念講演の演者（Harveian Orator）にも選ばれています。

  • Richardson, Benjamin Ward（1846 - 1897）

    局所麻酔のためのエーテル噴霧器の発明でしられる英国の医師Benjamin Richardsonの書簡および文書。講義録、小論文、未完の自伝"Vita Medica"など。

  • Sibson, Francis（c.1840 - c.1860）

    英国の医師、解剖学者Francis Sibsonの解剖図。病理・臨床の両方を含み、水彩、ペン、インクによるスケッチなど多彩。その多くが"著書Medical Anatomy"や医学論文に利用されました。

  • Sieveking, Edward Henry（1846 - 1960）

    英国の医師Edward Henry Sieveking関連文書。医学ノートおよび症例ノート（1846-1873年）。著書"On Epilepsy and Epileptiform Seizures"の献呈版（1855年、手書きの注釈付）、日記（1863-1873年）および書簡、著書"physical organisation of the human race"の一部、書簡、職務への任命文書他。

  • Smith, Robert William Innis（c.1900 - c.1935）

    主に1920年代から1930年代にかけての医学史や人物情報に関するR.W. Innes Smithの研究内容を反映した文書。16世紀から18世紀にかけてのヨーロッパの大学で学ぶ英国人医学生に関心を寄せ、著書"English speaking students of medicine at the University of Leiden"へとつながりました。医学生時代のノートも含みます。

  • Tritton Oriental Manuscripts（12th - 20th centuries）

    手稿約70点。医学関連の手稿が大半。一部宗教関連の資料を含みます。

  • Walshe, Francis Martin Rouse（1904, 1915 - 1926）

    英国の神経学者Francis Walshe関連文書。1915年から1926年にかけての書簡。University College時代の解剖学関連のノートおよび描画を含みます。

  • Willcox, William Henry（1911 - 1915, 1923 - 1924 and 1932 - 1941）

    殺人の裁判、堕胎罪、インシュリンの利用と食卓塩の製造に関する論文。

• その他のコレクション
  
  • Autograph Letter Sequence（17-20世紀）

    様々な書簡。寄付、購入の両方によるものがあります。

  • College Collection（1800-1923）

    王立内科医協会関連文書コレクション群

  • 王立内科医協会関連文書。スタッフ・会員、教育活動、財務、行事、役割、創設関連、規約、図書室および情報サービス、会議議事録、不動産、出版など。

    RCP Library（1700-1923）

    王立内科医協会所蔵資料700点弱。王立内科医協会は、1518年の創設以来、図書室を保有しており、協会会員が数世紀にわたって寄贈してきた貴重書を所蔵します。中には14世紀の書籍も含まれます。主題範囲は医学、科学にとどまらず、法律、建築、紀行、料理、一般向けの医学書などを含みます。

    Regulation of Clinical Practice and Standards（1640 - 1990）

    臨床実践、規格他。国民保険サービスの設立関連の文書を含みます。
    

買切契約でのご提供となります。維持費はかかりません。
FTE（在籍者数）ベースの価格が適用されます。個別にお見積申し上げますので、最寄の営業部/所までご用命ください。 　　　　　　
　　　　　　

• ニューヨーク科学アカデミー・アーカイブに関する情報はこちら

• 英国王立人類学協会アーカイブに関する情報はこちら

  今後も新アーカイブのリリースを予定しています。ご期待ください。

  プラットフォームの説明その1〜基本的な機能〜はこちら
  プラットフォームの説明その2〜ユニークな機能〜はこちら

Wiley のWEB商品は無料トライアルが可能です。
書籍・データベース営業部または最寄りの営業所までお問い合わせください。