出版部 図書目録

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文学(小説・詩・伝記・エッセイ)

【1】娘時代―ある女の回想1
娘時代の画像シモーヌ・ド・ボーヴォワール(著)
朝吹登水子(訳)1961

46判 342頁 定価2,520円(本体2,400円+税)
ボーヴォワールの代表作として全世界の絶讃を浴びる自伝の第一部。パリの弁護士の長女シモーヌ。両親の期待は、娘を良家の淑女に仕立てることにあった。告白。聖体拝受。やがてこの感受性に富んだ少女に目覚めが訪れる。級友ザザと従兄ジァークへの愛のあと、ひとり思想の自立を求めて旅立とうとする彼女の前に現われたのが、サルトルとそのグループであった。

【2】女ざかり<上>―ある女の回想2
女ざかり<上>の画像シモーヌ・ド・ボーヴォワール(著)
朝吹登水子,二宮フサ(訳)1963

46判 346頁 定価2,625円(本体2,500円+税)
女ざかり<下>―ある女の回想2
女ざかり<下>の画像シモーヌ・ド・ボーヴォワール(著)
朝吹登水子,二宮フサ(訳)1963

46判 238頁 定価2,100円(本体2,000円+税)
大学卒業後、高校教師として赴任するボーヴォワールとサルトル。ふたりの間に育ちゆく愛情と仕事への情熱。しかし世界の情勢は厳しい。スペイン内戦、ナチスの抬頭、そして大戦。召集されてゆくサルトルや抵抗運動に斃れた親友や仲間たち。やがて来るパリ解放まで、これはきびしい試練と闘いつつ変貌するひとりの女の実存の姿を描く一大モニュメントである。

【3】或る戦後<上>―ある女の回想3
或る戦後<上>の画像シモーヌ・ド・ボーヴォワール(著)
朝吹登水子,二宮フサ(訳)1965

46判 308頁 定価2,625円(本体2,500円+税)
或る戦後<下>―ある女の回想3
或る戦後<下>の画像シモーヌ・ド・ボーヴォワール(著)
朝吹登水子,二宮フサ(訳)1965

46判 400頁 定価2,940円(本体2,800円+税)
回想はようやく戦後に入る。フランスの代表的知識人として世界で注目を浴びるようになった二人。しかし彼らを取り囲む環境は厳しい。朝鮮戦争、アルジェリアの独立戦争、ドゴール政権の誕生。一切の俗物精神と果敢に闘いつつ、若々しい情熱をもって労作を生んでゆく彼らの姿は、単なる個人的回想にとどまらず、優れたフランス戦後文学史・社会史ともなっている。

【4】決算のとき<上>―ある女の回想4
決算のとき<上>の画像シモーヌ・ド・ボーヴォワール(著)
朝吹三吉,二宮フサ(訳)1973

46判 272頁 定価2,415円(本体2,300円+税)
決算のとき<下>―ある女の回想4
決算のとき<下>の画像シモーヌ・ド・ボーヴォワール(著)
朝吹三吉,二宮フサ(訳)1973

46判 224頁 定価2,100円(本体2,000円+税)
自伝四部作の完結篇。1963年以降の彼女の著作活動、読書生活、日本をはじめ中東、東欧、ソヴィエトなどへの旅行、友人たちとの交流、五月革命や女性解放運動への対応などとともに、現代の政治や文化のさまざまな問題に言及しながら、作家としての彼女の活動を自己の人生に明確に位置づけている。

【5】おだやかな死
おだやかな死の画像シモーヌ・ド・ボーヴォワール(著)
杉捷夫(訳)1995

46判 178頁 定価1,630円(本体1,553円+税)
「つらい仕事である。死ぬことは。生をこんなに強く愛しているときは」。突然倒れた母親の病名は癌だった――ボーヴォワールが自身の母の入院からその死にいたる、4週間の出来事を書き綴った身辺記。愛する母を看取る苦悩の中で、それでも「母の死」という普遍的な問題に作家としての厳しい眼差しを向け、「人にとって死とは/つまり生とはなにか」を問いかける。

【6】プルースト・母との書簡―1887〜1905
プルースト・母との書簡の画像フィリップ・コルブ(編)
権寧(訳)1999

46判 268頁 定価2,520円(本体2,400円+税)
マルセル・プルーストと、彼の最愛の人、母との書簡集。16歳の時に最初のものを書き、母の死によって交信が永遠に途絶える彼の34歳までの149通を収録する。これらの手紙は、人格形成の重要な時期におけるプルーストの内面生活の深いところまで、われわれを導くものであり、彼が生長していった環境を十全に物語ってくれる修正なしのポートレートである。

【7】トーマス・マン日記 1933−1934
トーマス・マン日記 1933−1934の画像トーマス・マン(著)
岩田行一,浜川祥枝,森川俊夫(訳)1985

46判 720頁口絵16頁 定価8,971円(本体8,544円+税)
マンの死後20年たった1975年に初めて公にされた膨大な量の日記を、無削除でかつ編集者の手を加えずにそのままの形で公刊したものに詳細な注が付されている。トーマス・マン研究家やドイツ文学者には必備の資料であるが、ヨーロッパ精神史上の貴重なドキュメントでもある。マンの日記の第1巻にあたる本書は、1933年3月から1934年12月末までの2年間分を収める。

【8】トーマス・マン日記 1935−1936
トーマス・マン日記 1935−1936の画像トーマス・マン(著)
森川俊夫(訳)1988

46判 760頁 定価8,400円(本体8,000円+税)
この巻に収められた1935年から1936年にあたるマンの日記は、1933年から1934年にいたる日記に直接つづくもので、合衆国への二回目の旅行、ヴィーン、プラハ、ブダペストへの三回の講演旅行、チェコ国籍の取得、ドイツ国籍の剥奪などが詳しく記されている。追放4年目の終る頃、マンは真の自己自身にたちかえり、自己が帰属している人間愛の世界概念にたちかえる。

【9】トーマス・マン日記 1937−1939
トーマス・マン日記 1937−1939の画像トーマス・マン(著)
森川俊夫(訳)2000

46判 984頁 定価12,600円(本体12,000円+税)
第二次世界大戦前夜から開戦にかけて、緊迫する世界情勢のなかで綴られた日記。「ヒトラーの無血侵攻くらい厭うべきものはなく、それ以外ならなんでもいいというほどだ」――マンは、政治の推移を見守りつつ、ヒトラーへの激しい怒りを募らせる。亡命の身の上から合衆国への移住に踏み切り、ファシズムとの新たな闘いを開始する。

【10】トーマス・マン日記 1940−1943
トーマス・マン日記 1940−1943の画像トーマス・マン(著)
森川俊夫,横塚祥隆(訳)1995

46判 1280頁 定価12,233円(本体11,650円+税)
戦乱のヨーロッパを追われたマンは、合衆国で新生活を始める。本書に収められた1940年から1943年の4年間は、マンがかつてない集中度と影響力をもって自身の時代のために活動した時期である。「デモクラシーの巡回説教師」として講演旅行、ローズヴェルト大統領との面談を果たすなど、激動の時代のただなかにあって綴られた、歴史ドキュメントの傑作。

【11】トーマス・マン日記 1944−1946
トーマス・マン日記 1944−1946の画像トーマス・マン(著)
森川俊夫,佐藤正樹,田中暁(訳)2002

46判 928頁 定価14,700円(本体14,000円+税)
第二次世界大戦の嵐が吹き荒れるなか、合衆国に生活の拠点を移したマンは、精力的に活動を続ける。ラジオ放送でドイツへの呼びかけを行い、パレスティーナ白書について声明文を出し、ユダヤ人芸術家への迫害に抗議する――衰えない自身の執筆活動だけでなく、激動の時代のただなかで声をあげ続ける、作家マンの姿が収められた、歴史的な証言となっている。

【12】トーマス・マン日記 1946−1948
トーマス・マン日記 1946−1948の画像トーマス・マン(著)
森川俊夫,洲崎惠三(訳)2003

46判 1000頁 定価16,800円(本体16,000円+税)
大病を患い手術。生還したマンは、それまでにもまして執筆活動に情熱を燃やし、晩年の代表作『ファウストゥス博士』や『選ばれし人』を完成させる。この時期、マンは戦後初めてヨーロッパ各国への旅行を敢行、戦争の傷跡を肌で感じ、講演をして歩く。が、母国ドイツへの入国は許されない。戦後体制づくりと混迷の中で自らの立場を鮮明に打ち出すマン…

【13】トーマス・マン日記 1949−1950
トーマス・マン日記 1949−1950の画像トーマス・マン(著)
森川俊夫,佐藤正樹(訳)2004

46判 776頁 定価14,700円(本体14,000円+税)
16年ぶりに祖国ドイツを(東独も)訪問、ゲーテ賞を受賞する。帰国したマンを待っていたのは、朝鮮戦争と東西冷戦のさなか、マッカーシズムが吹き荒れる合衆国で、「共産主義者」としての迫害だった。FBIの尾行もつく中で、欧州へ住居を移すことを思案し始める。『選ばれし人』を執筆、「老いての最後の恋」が芽生える。時代の証言者としてのマンの心中は?

【14】トーマス・マン日記 1951−1952
トーマス・マン日記 1951−1952の画像トーマス・マン(著)
森川俊夫(訳)2008

46判 880頁 定価16,800円(本体1,600円+税)
朝鮮におけるアメリカの卑屈なふるまい(李承晩、蒋介石ら同盟者との腰の低い付き合いぶり)、原子力スパイとされたローゼンバーグ夫妻への死刑判決、「非米活動委員会」による監視と訊問、「左翼反逆グループ」に分類された人々の公職追放、移民法の強化による滞在条件の困難化…マンは苦悩の決断として亡命生活に終止符を打ち、スイスへの移住を決める。

【15】生誕の災厄
生誕の災厄の画像E.M.シオラン(著)
出口裕弘(訳)1976

46判 288頁 定価3,150円(本体3,000円+税)
これは痛覚で書かれた本、痛覚で読むべき本である。アフォリズムとは暖のとれない火だと自らを皮肉るシオランの「毒」と「徳」には一層磨きがかかり、内的哄笑を誘う独特のユーモアと強烈なシニシズムは類を見ない。暗黒の詩情に満ち男っぽく屈折した文体で人間観察の鋭さを示したシオランの真髄を、流麗な日本語になった本書において、存分に味わって頂きたい。

【16】思想の黄昏
思想の黄昏の画像E.M.シオラン(著)
金井裕(訳)1993

46判 280頁 定価2,548円(本体2,427円+税)
祖国からフランスに移って3年。シオランが移住後にルーマニア語で書いた唯一の著作、したがって母語で綴った最後の著作が本書である。「熱狂的なリリシズム」にとらわれていた当時の心境を、喩的表現を多用する屈折した詩的文体のうちにあらわす、独特な語り口の一冊であり、東欧的「激情」からパリ文化の影響で微妙に変移していった彼の軌跡が読みとれる。

【17】海辺のフィアンセたち
海辺のフィアンセたちの画像ミシェル・トゥルニエ(著)
松田浩則(訳)1998

46判 288頁 定価2,625円(本体2,500円+税)
「家」「身体」「子供たち」「イメージ」「町」「風景」「本」「死」――魅力的な8つのテーマをめぐる61の世界の断面。著者はドゥルーズと哲学を学び、バシュラールとも親交があったゴンクール賞作家。美しい死、ヌードの肖像写真、お尻礼讃、ルイス・キャロルのエロチシズム、聖書をめぐる考察などについて、自在な語り口を披露する、待望の短篇集。

【18】コーヒーの水
コーヒーの水の画像ラファエル・コンフィアン(著)
塚本昌則(訳)1999

46判 420頁 定価3,990円(本体3,800円+税)
シャモワゾーと並び称される著者のノヴァンブル賞受賞作。20年の放浪を経て、故郷マルチニックのグラン・タンスに帰ってきた「私」は、少年時代の思い出の美少女アンティーリャの正体と死の真相を探る決意をする。やがてアンティーリャの謎を探るのは、町の歴史と人々の人生を知ることなのだと気づいていく。豊穣な表現と生命力に満ちた、クレオール文学の金字塔。

【19】朝まだきの谷間
朝まだきの谷間の画像ラファエル・コンフィアン(著)
恒川邦夫(訳)1997

46判 264頁 定価2,310円(本体2,200円+税)
クレオール文学の若きリーダーである著者が、「シャバン」(混血児)と呼ばれる自らの少年時代を、闊達な文章で描いた話題作。カリブ海のマルチニックに育った少年が、奴隷だった自分たちの歴史を知り、やがて作家への道を選ぶまでを、カーニヴァルの喧騒や不思議な風習、魅力的な人物たちをめぐるエピソードとともに語る。カサ・デ・ラス・アメリカナス賞受賞作。

【20】カリブ海偽典―最期の身ぶりによる聖書的物語
カリブ海偽典―最期の身ぶりによる聖書的物語の画像パトリック・シャモワゾー(著)
塚本昌則(訳)2010

46判 972頁 定価6,930円(本体6,600円+税)
カリブ海の小さな島で、一人の老人が死の床に就いている。彼は、第2次大戦後に世界各地の植民地独立戦争に参加したかつての島の英雄である。今では忘れられたこの老人が身ぶりで語るその生涯を、言葉の記録人シャモワゾーが必至に書き取っていく。植民地支配に抵抗した老人の闘いとは?その闘いの持つ意味とは?クレオール文学を越えた世界的傑作、ついに翻訳!

【21】幼い頃のむかし
幼い頃のむかしの画像パトリック・シャモワゾー(著)
恒川邦夫(訳)1998

46判 198頁 定価2,100円(本体2,000円+税)
クレオールの作家として、初めてゴンクール賞を受賞した著者が、みずからの子供時代をふりかえった珠玉作。貧しいながらも、生命力にあふれる魅力的な母親や、個性的な兄弟たちに囲まれて、内気だった少年は、やがて作家となるべき意識を育てていく。クレオール語を詩的に練りあげた文章でつづる、マルチニックの少年の物語。カルベ・ド・ラ・カリブ賞受賞作。

【22】ゴールド・マウンテン―ある中国系移民家族の百年
ゴールド・マウンテン―ある中国系移民家族の百年の画像リサ・シー(著)
住友進(訳)1999

46判 512頁 定価3,990円(本体3,800円+税)
大陸横断鉄道の敷設、中国人排斥、世界恐慌、15年戦争……激動するアメリカ社会、時代の波に飲み込まれながらもたくましく生きていく中国系移民たちがいた。差別と闘い、自分たちの 居場所を獲得しようとする彼らの姿を、中国南部の貧村からアメリカに渡り、チャイナタウンの「ゴッドファーザー」に成り上がった男とその家族を中心に描くノンフィクション巨編。

【23】ブーヘンヴァルトの日曜日
ブーヘンヴァルトの日曜日の画像ホルヘ・センプルン(著)
宇京頼三(訳)1995

46判 392頁 定価2,854円(本体2,718円+税)
強制収容所の日曜日。それは苛酷な労働の中で束の間許された、哲学と文学を語り合う恩寵の時間だった。厳しい社会状況の中でつねに戦い、作家・政治家として活躍してきた“スペインのアンドレ・マルロー”による回想録。著者は自らに問い続ける「文学の不思議な力はどこまで生に及ぶのか」。フランス、リーニュ誌の「94年度最良の書」に選ばれた他フェミナ賞を受賞。

【24】不真面目な十七歳
不真面目な十七歳の画像バルバラ・サムソン(著)
鳥取絹子(訳)1996

46判 268頁 定価1,835円(本体1,748円+税)
1994年4月、フランスのTV番組「エイズ・アクションの夕べ」に登場したバルバラは何百万人という視聴者に大きなショックを与えた。初めての恋でエイズ患者になった彼女は、同世代に向けて自分の経験を語ったのだ。彼女は言う。「私は自分のことを〈今世紀の子供の告白〉のシンボルだと感じている」。現代フランスの青春記としても貴重な本。

【25】神様がくれたHIV〈増補新装版〉
神様がくれたHIVの画像北山翔子(著)
岩室紳也(解説)2010

46判 232頁 定価1,785円(本体1,700円+税)
医療ボランティアとして訪れたタンザニアで恋に落ち、HIVに性感染したひとりの女性。〈死〉への不安、世間の目、職場復帰、両親への告白、新しい恋…。2000年に刊行され、日本人女性による初のカミングアウトとして話題をよんだ感動の手記に、それからの10年を加筆。感染者の妊娠・出産に関する現状も盛りこみ、エイズ問題をあらためて問い直す。

【26】母の手を逃れて
母の手を逃れての画像ジョジアーヌ・ペラン(著)
朝比奈弘治,岩澤雅利(訳)2002

46判 208頁 定価1,680円(本体1,600円+税)
少女は、兄弟の中で唯一母親から執拗にいじめられ続け、医者の通報で保護された。施設のシスターや、同じ境遇の仲間とのかかわりの中で、自身の人生を歩む勇気と智恵を学び、母との決別に至るまでを追想した、フランス人女性の自叙伝。多感な少女群像をみずみずしく描きつつ、児童虐待問題の根絶を願う著者の、切なる思いにあふれた感動の実話。

【27】美しい鹿の死
美しい鹿の死の画像オタ・パヴェル(著)
千野栄一(訳)2000

46判 160頁 定価1,680円(本体1,600円+税)
「カレル・チャペックの再来」と絶賛されながら、本書を残して急死した作家の待望の連作短編集。強制収容所へ行く息子の最後のご馳走のために、命をかけて禁じられた鹿狩りをする表題作はじめ、ユダヤ系の父親と家族の絆を、愛情とユーモアに満ちた文章で描いている。本書は戦後チェコ最大のベストセラーとして、今なお愛蔵版が作られ続けている。

【28】砂の子ども
砂の子どもの画像ターハル・ベン=ジェルーン(著)
菊地有子(訳)1996

46判 216頁 定価2,243円(本体2,136円+税)
喧騒の広場に現れた、謎の講釈師が「女でありながら男として育てられた少女・アフマド」の摩訶不思議な物語を語りだす。物語は真実なのか? それとも講釈師が嘘をついているのか? やがて講釈師は突然姿を消し、残された人々は思い思いに「〈自分の〉アフマドの物語」を語り始める−。絢爛な文章と詩的なイメージによる、現代の「アラビアンナイト」の誕生!

【29】聖なる夜
聖なる夜の画像ターハル・ベン=ジェルーン(著)
菊地有子(訳)1996

46判 208頁 定価2,243円(本体2,136円+税)
フランスで異例の90万部を記録した前作、『砂の子ども』の姉妹編。さまざまな語り手をとおして語られた、“女でありながら男として育てられた少女・アフマド”が、本書では自らの人生を物語る。「私の人生は物語ではない。だから事実を立て直し、あなた方に秘密を解き明かしたい」。華麗な文章と豊かなイメージで、読者をアラブの愛の迷宮へといざなう。

【30】最初の愛はいつも最後の愛
最初の愛はいつも最後の愛の画像ターハル・ベン=ジェルーン(著)
堀内ゆかり(訳)1999

46判 240頁 定価1,890円(本体1,800円+税)
《これらの物語は愛についてしか語っていません。愛、すなわち孤独や秘密、それが生み出す無理解について/著者の言葉から》。アラブの男女の愛を描きつづけている、モロッコ人初のゴンクール賞作家による、16の愛の物語。夫を共有しようとした二人の女の企みの結末や、嫉妬に狂った男の選択――愛を求めて、互いに求め続ける男女の性愛を描いた待望の短編集。

【31】あやまちの夜
あやまちの夜の画像ターハル・ベン=ジェルーン(著)
菊地有子(訳)2000

46判 320頁 定価2,310円(本体2,200円+税)
魅惑の街・タンジェに住む少女ジーナは、成長して不思議な力を発揮し、自分や女たちを傷つけてきた男たちに復讐を始める。はたしてジーナとは何者なのか? 彼女の物語につかまった講釈師やスーフィの5人の謎の男、ジーナに付き従う5人の女の正体は? 物語はやがて、サルマン・ラシュディやアラブの現在に至る、壮大な流れに巻き込まれていく。

【32】東四丁目
東四丁目の画像ジェローム・ワイドマン(著)
常盤新平(訳)2000

46判 294頁 定価2,310円(本体2,200円+税)
1920年代のニューヨーク、ヨーロッパからの移民が暮らす貧しい町を舞台に、一人のユダヤ系少年の成長を描いた自伝的小説。愚直に自分の信念を貫く父親や生命力あふれる母親をはじめ、友達や教師、魅力的な町の人々を、少年の目から生き生きと描く。当時の移民コミュニティや大恐慌、戦時下の生活もよくわかる。

【33】この不思議な地球で 世紀末SF傑作選
この不思議な地球で―世紀末SF傑作選の画像巽孝之(編)1996

B6変型判 328頁 定価2,548円(本体2,427円+税)
20世紀は、科学技術文明と電脳的想像力が築きあげた「SFの世紀」だった。その20世紀が終わろうとするいま、時代を撃つ最も現在的なSFを追い求めた編者会心のアンソロジー。 〈収録作家〉W.ギブスン/B.スターリング/P.マーフィー/M.ディケンズ/I.クリアーノ/O.S.カード/F.M.バズビー/S.コンスタンティン/E.ハンド/J.G.バラード

【34】夢の城
夢の城の画像ミシェル・ジュヴェ(著)
北浜邦夫(訳)1997

46判 400頁 定価3,570円(本体3,400円+税)
眠りと夢を探究する「私」が偶然見つけた不思議な日記。それは夢の謎に魅了された、18世紀の貴族の男、ユーグ・ラ・セーヴが綴った,研究の記録だった。博物学が盛んになり,さまざまな近代科学が産声をあげた18世紀ヨーロッパを舞台に、一人の自由人が繰り広げる不思議な冒険は、やがて現代の沖縄で幕を閉じる。自身が一流の睡眠研究者である著者による、画期的な小説。

【35】感覚の幽い風景
感覚の幽い風景の画像鷲田清一(著)2006

46判 216頁 定価1,785円(本体1,700円+税)
「じぶんが感じていることについてきめこまかに語りたいとだれもがおもう。けれども、言葉はいつもちぐはぐ。いつも外れ」(本書より)。捉えたとおもえば零れ落ち、言い当てたとおもえば逃れ去る、そんな身体の記憶を手繰り寄せ、人間の感覚の襞へと分け入り、感触の肌理を写し取る――文章家・鷲田清一の魅力を存分に堪能できる、珠玉のエッセイ集。

【36】愛という試練―マイナスのナルシスの告白
愛という試練―マイナスのナルシスの告白の画像中島義道(著)2003

46判 240頁 定価1,470円(本体1,400円+税)
人気の哲学者による、愛をめぐる哲学エッセイ。暴力的なまでに愛を強要する社会の欺瞞を糾弾しながら、人を自然に愛することができない人間の苦悩を描き、生い立ちや両親の関係を赤裸々に語り、ついには病的に肥大した自らの自己愛(マイナスのナルシス)へも鋭いメスを入れてゆく。壮絶な内省録でありながら、どこか痛快で清々しい印象を与える希有な一冊。

【37】エッフェル塔のかけら―建築家の旅
エッフェル塔のかけら―建築家の旅の画像岡部憲明(著)1997

46変型判 288頁 定価1,890円(本体1,800円+税)
パリのポンピドゥー・センター、関西国際空港旅客ターミナルビルなどのプロジェクトにかかわってきた建築家によるエッセイ。石造りのパリの街、生活の匂いが壁に染み込んだやわらかなイタリアの都市、地形に溶け込むギリシャの集落など、さまざまな土地を巡りながら人間のための空間のありかたを探りつづける「建築家の旅」を、美しいスケッチと共に綴る。

【38】光の誘惑―わが聖地行
光の誘惑―わが聖地行の画像松永伍一(著)1994

46判 320頁 定価2,039円(本体1,942円+税)
エーゲ海に臨む半島の端にある「修道院国家」アトスは、地上の天国ともいわれ、千年もの長きに渡り静かな時を刻んできたギリシャ正教の聖地。一方、エルサレムはユダヤ、キリスト、イスラムの三つの宗教の聖地がせまい市の中で混在し、血で血を洗う混乱と戦争が続いてきた。「静」と「動」。「純」と「濁」。「単」と「複」。対極をなす二つの聖地で詩人が見たものは……

【39】反ユートピアの旅
反ユートピアの旅の画像巖谷國士(著)1992

280頁 定価2,345円(本体2,233円+税)
人間の文明が追い求めつづけてきた「ユートピア」とは、実は、囲いこまれ画一化された、清潔だが退屈な世界であった。そして、管理と制御の行き届いた高度テクノロジー社会こそ――つまりは現代の日本こそ、最も「ユートピア」的な場所ではないのか。そんなとき、人間は旅に出るしかない――反ユートピア的世界のなかへ。鋭い洞察と豊富な話題にみちたエッセイ集。

【40】終末のソリチュード
終末のソリチュードの画像塚原史(著)1992

46判 272頁 定価2,243円(本体2,136円+税)
20世紀末を迎えた今日、人びとは時代の曲がり角をまがろうとしている――そこは、終末の宣告を受けとる場所なのだろうか?ボードリヤールの消費社会論、ダダやシュルレアリスムを「新しく」体験しながら、今世紀の人間がたどった流転の途を世紀末の現在から逆照射する、斬新な20世紀文化論の試み。……終末の孤独には、起源の驚きが隠されている。

【41】珈琲記
珈琲記の画像黒井千次(著)1997

小B6判 120頁 定価1,470円(本体1,400円+税)
自他ともに認める「珈琲党」の著者による、珈琲をテーマにしたエッセイだけを集めた1冊。珈琲の種類はもちろん、いれかたから器、喫茶店の雰囲気まで、作家の日常を彩る珈琲の魅力について珠玉の文章で綴る。街や旅先、思わぬ場所での珈琲との出会いは人との縁をも思わせる。 マツモト・ヨーコの描き下ろしイラスト7点を収録。

【42】色のことば
色のことばの画像銀座和光(編)1994

B6判 224頁 定価1,529円(本体1,456円+税)
薔薇色、青磁色、マリンブルー、雲色――さまざまなジャンルで活躍する48人が、一つの色を選んで書いたエッセイをまとめたアンソロジー。女優が舞台で切り裂く絹の紅色、作家が出会った桜色の思い出、演出家が舞台に咲かせる緋色の花々――が語りかけてくるものは? それぞれの「人」と「色」がくりひろげる、魅惑の世界。

【43】60歳で夢を見つけた―動物園長、世界を駆ける
60歳で夢を見つけた―動物園長、世界を駆けるの画像増井光子(著)2005

46判 232頁 定価1,575円(本体1,500円+税)
キラリと光る白髪、しっかり焼け込んだクッキーフェース、動物とともに生きた時間の勲章の色、少女のようないたずらっぽい目が笑う。日本人初の女性動物園長が、還暦を前に乗馬のマラソンへの挑戦を決断。人馬一体となって繰り広げる冒険と涙の物語。 吉永みち子氏推薦

【44】怪しの世界
怪しの世界の画像橋本治,夢枕獏,いとうせいこう(著)2001

46判 214頁 定価1,680円(本体1,600円+税)
狂言、講談、琵琶――人気作家による新作台本と対談、エッセイを収録。「日本の芸能のわからなさ」の理由と「わかりかた」の秘密を書いた巻頭エッセイはじめ、対談には丁寧な脚注と写真が入り、入門書としても画期的な一冊。演者の野村萬斎、宝井馬琴、友吉鶴心と各作家の対談は、面白く貴重。古典芸能のファンだけでなく、わかりたい人にもお薦めの本。

【45】イギリス人は「理想」がお好き
イギリス人は「理想」がお好きの画像緑ゆうこ(著)2002

46判 208頁 定価1,680円(本体1,600円+税)
イギリス人と結婚、ロンドン近郊に暮らす作家が出会った、イギリスの本当の姿とは。医療費無料のおかげで受診は一年も先。政府の持ち家政策で国民は借金だらけ。庶民のガーデニングは植えては抜く活け花方式……それでも「イギリスは理想の国」だと信じるイギリス社会を考察した、ユーモアとスパイスの効いたエッセイ集。

【46】イギリス人は「建前」がお得意
イギリス人は「建前」がお得意の画像緑ゆうこ(著)2002

46判 232頁 定価1,680円(本体1,600円+税)
『イギリス人は「理想」がお好き』に続く第2弾。「イギリスの建前と本音から日本の将来を占う」視点で、ユーロ・家族・教育・若者・老人介護、と“ゆりかごから墓場まで”の各シーンにおけるイギリス社会の建前と本音を、明晰に読み解く。返す刀で「大人の国」ってホントにいいの? と日本人に問いかける、軽快でユーモラス、そしてピリッと辛い比較文化論。

【47】植物になって人間をながめてみると
植物になって人間をながめてみるとの画像緑ゆうこ(著)2010

46判 336頁 定価1,890円(本体1,800円+税)
ロンドン郊外に暮らす“植物おたく”の著者が、ふと庭仕事の手を止めて考えた――もしかして私、植物に働かされてる?! サトウキビ、綿、紅茶、ゴム…植民地政策で一大帝国を築き上げた英国はじめ人間は長く植物を利用してきたと思っている。しかし、実はその逆だったとしたら…?! エネルギー、食糧、環境問題…植物目線で歴史を読み替えると見えてきた、意外な真実。

【48】気弱な精神科医のアメリカ奮闘記
気弱な精神科医のアメリカ奮闘記の画像岡野憲一郎(著)2004

46判 240頁 定価1,680円(本体1,600円+税)
英語は苦手、性格は気弱、勤務先は難しい患者が集まる州立病院……。アメリカ中部の田舎町で17年の臨床経験をもつ精神科医が、日々悪戦苦闘する中で、時に大真面目に時にユーモラスに綴った比較文化論風エッセイ。〈目次〉精神病院から見たアメリカ/アメリカ人だって対人恐怖になる/精神科医、このやっかいなもの/やはりヘンだ、日本の父親/他

【49】ちょうちょ地雷―ある戦場外科医の回想
ちょうちょ地雷―ある戦場外科医の回想の画像ジーノ・ストラダ(著)
荒瀬ゆみこ(訳)2002

46判 248頁 定価1,680円(本体1,600円+税)
アフガニスタン、ボスニア、クルディスタン、ルワンダなど、世界中の紛争地域で医療活動をしてきた外科医による日記風エッセイ。過酷な野戦病院の現実、地雷や爆撃などで傷を負った患者たちとのふれあい、さまざまなジレンマに悩む医師の心境が率直に綴られ、そこに生きる人々の声がじかに聞こえてくるようで、読む者の心を揺さぶらずにはおかない一冊である。

【50】砂浜
砂浜の画像佐藤雅彦(著)2004

46判 160頁 定価1,575円(本体1,500円+税)
テレビCM、映画、ゲームソフト、経済入門、教育番組……常に新しいジャンルに挑戦し、独自の世界を創造してきた表現者が長年温めてきた、初めての物語集。みずからの原風景とも言うべき「砂浜」を舞台に、少年たちの小さな世界をそのままそっと封じ込める。早乙女道春氏による生き生きとした挿絵、辻村益朗氏による飽きのこない装丁も味わい深い。