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14歳の夏休みに、養家の盛岡を訪れ、そこで知った親戚の少女に淡い恋心を抱いた思い出を語る表題作。家を出て、大阪での芸者との恋愛・結婚の経緯を清新に描いた「妻を買う経験」等、自伝とフィクションを綯い交ぜに、流暢な文体と精妙な会話で、人の心の機微を巧みに描いた名作5篇を収録。明治、大正、昭和の文芸界を悠々と生き抜いた「馬鹿正直」で「一徹」で「涙脆い」、白樺派最後の文士・里見弴の真骨頂。
人の生の営みの機微を描いた心温まる短篇集――“最後の文士”里見は、94歳の最期まで現役作家として活躍した。抒情的で穏やかな、哀愁を帯びた感動を与える私小説の世界。読売文学賞受賞の表題作他6篇。
恋ごころ
妻を買う経験
縁談窶
やぶれ太鼓
大火
著者情報
里見〓[サトミトン]
1888・7・14~1983・1・21。小説家。横浜市生まれ。本名=山内英夫。学習院を経て、東京帝国大学文科英文科中退。有島武郎、生馬は実兄。1910年「白樺」の創刊に参加。16年最初の短篇集『善心悪心』で文名を確立。19年には吉井勇、久米正雄らと「人間」を創刊。47年日本芸術院会員となり、59年文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)