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「ラストマンになれ」
私がこの言葉を聞いたのは、三〇代のころです。
当時の私は日立工場に勤めていて、たしか設計課長に昇進したときのことだったと思います。
日立工場長だった綿森力さんが、工場の執務室の窓の前でこう言いました。
「この工場が沈むときが来たら、君たちは先に船を降りろ。
それを見届けてから、オレはこの窓を蹴破って飛び降りる。
それがラストマンだ」
――そのときから、私の胸に「ザ・ラストマン」という言葉が深く刻まれています。【序章より】
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「自分の後ろには、もう誰もいない」――ビジネスマンに必須の心構えとは。
決断、実行、撤退…一つひとつの行動にきちんと、しかし楽観的に責任を持ってやり抜けば、より楽しく、成果を出せる。
7873億円の赤字から会社を再生した元日立グループ会長が、苦境の日本経済で戦い続けるビジネスパーソンに贈るメッセージ。
新規収録原稿「若い企業人の皆さんへ」「ポストコロナ時代の企業」
※本書は二〇一五年三月に小社から刊行された同名の単行本を加筆・再編集したものです。
著者情報
川村〓[カワムラタカシ]
日立製作所名誉会長。1939年、北海道生まれ。62年東京大学工学部電気工学科を卒業後、日立製作所に入社。電力事業部火力技術本部長、日立工場長を経て、99年副社長に就任。その後、2003年日立ソフトウェアエンジニアリング会長、07年日立マクセル会長等を歴任したが、日立製作所が7873億円の最終赤字を出した直後の09年に執行役会長兼社長に就任、日立再生を陣頭指揮した。10年度に執行役会長として最終利益の過去最高を達成し、11年より取締役会長。14年には取締役会長を退任し16年まで相談役。10年~14年日本経済団体連合会副会長、14年~19年みずほフィナンシャルグループ社外取締役、15年~17年カルビー社外取締役、16年~17年ニトリホールディングス社外取締役、17年~20年6月東京電力ホールディングス社外と・会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)