商品詳細まだ時間はあるのです。世界が終わる瞬間にはゆっくりとたどり着くはずだから。
幼い頃に父を工場の事故で亡くしたソラとナナは、生活の意欲を失っていく母と行き着いた暗い半地下の住居で少年ナギと出会う。「無理してがんばったって、人生はある日突然断ち切られて、それでおしまい」。そう繰り返す母の言葉から抜け出せないまま大人になる姉妹と、行き場のない思いを抱え、暴力に飲み込まれていくナギ。世界の片隅でひっそりと寄り添う3人に訪れる未来のかたちとは――。
誰かを思う気持ち、拒む気持ち、責任、放棄、やすらぎ、恐れ……。現代韓国文学の旗手が、みずみずしくも濃密に生の息遣いを描く。第23回大山文学賞受賞作。
著者情報ファンジョンウン[ファンジョンウン]
黄貞殷。1976年、ソウル生まる。2005年、短編「マザー」で作家活動を始める。08年、最初の短編集『7時32分象列車』を発表すると、現実と幻想をつなぐ個性的な表現方法が多くの人の心を捉える。10年、最初の長編小説『百の影』で韓国日報文学賞を受賞。以後、12年『パ氏の入門』で申東曄文学賞、14年短編「誰が」で李孝石文学賞、15年『続けてみます』で大山文学賞、17年中編「笑う男」で金裕貞文学賞など、名だたる文学賞を受賞している
オヨンア[オヨンア]
呉永雅。翻訳家。在日コリアン三世。慶應義塾大学卒業。梨花女子大学校通訳翻訳大学院博士課程修了。2007年、第七回韓国文学翻訳新人賞受賞。梨花女子大学校通訳翻訳大学院講師、韓国文学翻訳院翻訳アカデミー教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)