商品詳細
懐かしの童謡、唱歌の世界。歌でたどる都市の風俗――折口信夫の高弟にして、日本芸能研究の重鎮である著者の歌と言葉をめぐる軽妙なエッセイの数々。小学生時代と重なる大正期、その時、口ずさんだ童謡や唱歌を記憶のなかから甦らせ、都市の風俗と言語生活の変遷をたどり、宝塚少女歌劇から戦後の歌謡曲まで、そこに息づく庶民の心を読み解く。軍歌の一方的排斥に異を唱え、歌詞のなかの言葉遣いへの辛辣な評言も著者ならでは。
◎「文学の歴史の叙述にも、文学作品そのもの、あるいは作者の歴史に対して、読者の歴史が書かれなければならないように、歌の場合にも、それを聴き、習い、歌った、つまり与えられた側の歴史が書かれてもいいと、わたしはかねて思っていた。わたし達のまわりにあるものは、それを制作して与えてきた側の記述が多く、それを聴き、習い、歌った側の記述がほとんどないからである。それには、わたしはかなり不満であった。」<「あとがき」より>
著者情報
池田彌三郎[イケダヤサブロウ]
1914・12・21~1982・7・5。国文学者。民俗学者。東京生まれ。1937年、慶応大学国文科卒。折口信夫に師事し、学問のみならず人格形成においても多大な影響を受ける。『折口信夫全集』の編集に尽力するとともに、国文学研究に民俗学的手法を取り入れ、独自の学風を築く。またNHKの解説委員・用語委員をはじめとして、社会的活動も多方面にわたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)