商品詳細
同世代・同時代の小説家である村上春樹に深い関心を持ちつづけた文芸評論家・加藤典洋が節目節目に発表してきた作品論や書評を集成。小説家に対し一貫して好意的だったが時に厳しくもあった批評の射程は、デビュー作『風の歌を聴け』から最新長編『騎士団長殺し』にまで及んでいる。本書は村上春樹の小説世界に分け入る際の良い手がかりになるだけでなく、「批評」とはどのような営みなのかを読者に知らず知らずのうちに伝えてくれる、他に類を見ない評論集。遺稿「第二部の深淵――村上春樹における「建て増し」の問題」収録。
1
村上春樹の世界
2 作品論
自閉と鎖国/「世界の終わり」にて/不思議な、森を過ぎる/夏の十九日間/行く者と行かれる者の連帯/村上春樹の短編から何が見えるか/小説が時代に追い抜かれるとき
3 書評
『国境の南、太陽の西』/『ねじまき鳥クロニクル』/『ねじまき鳥クロニクル』第三部 /『女のいない男たち』/『騎士団長殺し』第1部・第2部
4 遺稿
第二部の深淵
解説
著者情報
加藤典洋[カトウノリヒロ]
1948・4・1~2019・5・16。文芸評論家。山形県生まれ。1972年、東京大学文学部仏文科卒。国立国会図書館勤務、明治学院大学教授、早稲田大学教授を経て、2014年、同大学名誉教授。85年、最初の評論集『アメリカの影』刊行。97年、『言語表現法講義』で新潮学芸賞、98年、『敗戦後論』で伊藤整文学賞、2004年、『テクストから遠く離れて』『小説の未来』で桑原武夫学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)