商品詳細
確かなものに思われた日常の続きをふと見失った「私」は、病み上がりのけだるい心と体で、比叡高野等の神社仏閣を巡る旅に出る。信仰でも物見遊山でもない中ぶらりんの気分で未だ冬の山に入った「私」を囲み躁ぐ山棲みのモノ達――。現在過去、生死の境すら模糊と溶け合う異域への幻想行を研ぎ澄まされた感覚で描写。物語や自我からの脱出とともに、古典への傾斜が際立つ古井文学の転換点を刻する連作短篇集。
無言のうちは
里見え初めて
陽に朽ちゆく
杉を訪ねて
千人のあいだ
海を渡り
静こころなく
花見る人に
肱笠の 肱笠の
鯖穢れる道に
まなく ときなく
帰る小坂の
著者から読者へ
著者情報
古井由吉[フルイヨシキチ]
1937・11・19~。小説家。東京生まれ。東京大学大学院修士課程修了。大学教員となりブロッホ等を翻訳。文学同人誌「白描」に小説を発表。1970年、大学を退職。71年、「杳子」で芥川賞受賞。77年、高井等と同人誌「文体」創刊(80年、12号で終刊)。83年、『槿』で谷崎潤一郎賞を、87年、「中山坂」で川端康成文学賞を、90年、『仮往生伝試文』で読売文学賞を、97年、『白髪の唄』で毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
この著者の他の商品・シリーズ
n裸々虫記
小説家の帰還 古井由吉対談集
古井由吉翻訳集成:ムージル・リルケ篇
連れ連れに文学を語る 古井由吉対談集成
この道
往復書簡 『遠くからの声』『言葉の兆し』
東京物語考
われもまた天に
水
木犀の日 古井由吉自選短篇集
こんな日もある 競馬徒然草